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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
人を呪わば穴…四つ? リンディで統率者!(統率者戦)
新セットリリースの際、今ではもうすっかり定番となったのが「統率者デッキ」の同時リリースだ。
統率者戦、およびレガシーやヴィンテージで使用可能な、通常セットには含まれないカードたち。そして過去セットより再録された数々のカードで構成された統率者デッキは、毎回各セットの世界観に合わせたテーマを取り扱っており、そのまま遊んでも十分に統率者戦というフォーマットを楽しめることだろう。
でもやっぱりこのフォーマットの醍醐味は、自分が気に入った伝説のクリーチャーを統率者としたデッキを構築するところにある。勝ちに行くデッキ構築ももちろん重要だが「今日はこんなデッキを持ってきたよ!」というある種のドヤ、マイデッキ品評会的な楽しみ方こそこのカジュアルフォーマットをプレイすることの最たる理由だと個人的には考えている。なので皆にも統率者戦のデッキ構築に挑戦してほしいね!
『イニストラード:真夜中の狩り』も魅力的なカードがたっぷりで、統率者戦デッキの組み甲斐は大いにありそうだ。個人的に最もビビッときた伝説のクリーチャーは……《陽気な拷問吏、リンディ》で間違いない。
(編注:《陽気な拷問吏、リンディ》は『イニストラード:真夜中の狩り』統率者デッキには収録されておらず、セット・ブースターおよびコレクター・ブースターに一定の確率で封入されます。)
リンディって名前はかわいらしいのに、拷問吏とかいう厳ついお仕事をしているというギャップがたまらないね。拷問吏とは拷問官のことで、被疑者に拷問を行って取り調べをする裏の役職だ。彼女もイニストラードのどこかで拷問を執り行い、何か事件を調査しているのかもしれない。
その拷問の方法は「呪い」。『イニストラード』が初出のエンチャントのサブタイプであり、特徴としてはプレイヤーにつけることでそのプレイヤーに何らかのデメリットを与えるというものだ。呪いタイプを参照するカードも少なからず存在し、一部愛好家は常にこれの新作を求めているものだ。
メインとなるセット内にも統率者デッキ内にも、新作の呪いはたっぷりとある。リンディはこれらの呪いが戦場から墓地に置かれる際に、一度それをコントローラー自身で引き受けて、その後アップキープにその呪いを他人に移すという非常に独自性の高い能力を持っている。そうすることでカードを2枚も引けるというなかなか素敵なオマケもついてくるので、むしろいったんは自分に呪いをかけてその後よそへとかけ直すという工程をわざわざ踏んでも良いくらいだ。
というわけで今回はリンディを用いた呪いデッキを考えてみることにしよう!
まず、呪いをおさらいすることからスタート。リンディの色とマッチする青黒赤の3色の歴代呪いカードを以下にまとめた。
- 《血まみれの書の呪い》
- 《忘却の呪い》
- 《惰性の呪い》
- 《死の支配の呪い》
- 《貫かれた心臓の呪い》
- 《うろつく餌食の呪い》
- 《夜毎の狩りの呪い》
- 《こだまの呪い》
- 《不幸の呪い》
- 《渇きの呪い》
- 《流血の呪い》
- 《浅すぎる墓穴の呪い》
- 《混沌の呪い》
- 《感染性の呪い》(第1面:《呪われた魔女》)
- 《復讐の呪い》
- 《侵入者への呪い》
- 《残酷な現実》
- 《正気減らし》
- 《スカラベの責め苦》
- 《饒舌の呪い》
- 《騒然の呪い》
- 《豪奢の呪い》
- 《愚者の知恵の呪い》
- 《狂乱の呪詛》
- 《監視の呪い》
- 《ヒルの呪い》(第2面:《血吸いの闇潜み》)
- 《揺らぐ信仰の呪い》
- 《解放の呪い》
- 《眠れぬ死者の呪い》
- 《執着の呪い》
結構な数だなぁ! イニストラード系のセットはもちろん、統率者系のセットでも根強く収録されているのでちょっとした大所帯である。
これらの呪いすべてをデッキに入れるという手もあるが何せ30枚、統率者デッキと言えど三分の一が呪いになってしまっては少々動きに問題も出てくることだろう。それに1点ダメージを与えたり2枚切削したりと、ライフもライブラリーも通常のゲームより多い統率者戦の舞台では効力が非常に薄い呪いもあるしね。というわけで、この枠は厳選して15~20枚くらいに抑えるのが無難な構築になるかな。
呪いは基本的にはじわじわと締め上げるようなカードである。なのでこれを対戦相手につけたらそれで終わりというわけではなく、呪ってから生き延びてこそその恩恵を受けられるというものだ。なのでしっかりと対戦相手の展開するクリーチャーでの攻撃や、あるいは各種コンボに倒されてしまわないようなコントロールデッキとして組む必要がある。
統率者の基本であるマナ・アーティファクトでやりたいことをきちんとできるだけのマナを安定して得られるようにしつつ、クリーチャー除去と打ち消しで自衛。そして強気のゲームプランを仕掛けてきたプレイヤーに呪いをかけることで卓内のバランスを調整する政治的要素。
これらを踏まえて《陽気な拷問吏、リンディ》デッキをなんとなく形にしてみたぞ。
1 《陽気な拷問吏、リンディ》
-統率者(1)- 2 《島》 2 《沼》 1 《山》 1 《統率の塔》 1 《湿った墓》 1 《異臭の池》 1 《蒸気孔》 1 《血の墓所》 1 《泥濘の峡谷》 1 《汚染された三角州》 1 《沸騰する小湖》 1 《血染めのぬかるみ》 1 《崩れゆく死滅都市》 1 《地底の大河》 1 《水没した地下墓地》 1 《清水の小道》 1 《難破船の湿地》 1 《シヴの浅瀬》 1 《硫黄の滝》 1 《河川滑りの小道》 1 《硫黄泉》 1 《竜髑髏の山頂》 1 《憑依された峰》 1 《荒廃踏みの小道》 1 《風変わりな果樹園》 1 《廃墟の地》 1 《無限地帯》 1 《聖遺の塔》 1 《統率の灯台》 1 《不毛の大地》 1 《爆発域》 -土地(33)- 1 《夜景学院の使い魔》 1 《呪われた魔女》 1 《人質取り》 1 《恐怖の神、ターグリッド》 1 《ギルドの重鎮、ザナサー》 -クリーチャー(5)- |
1 《太陽の指輪》 1 《秘儀の印鑑》 1 《威圧のタリスマン》 1 《独創のタリスマン》 1 《耽溺のタリスマン》 1 《ディミーアの印鑑》 1 《イゼットの印鑑》 1 《ラクドスの印鑑》 1 《友なる石》 1 《思考の器》 1 《適合の宝石》 1 《不敬な教示者》 1 《白鳥の歌》 1 《汚損破》 1 《秘儀の否定》 1 《対抗呪文》 1 《サイクロンの裂け目》 1 《悪魔の教示者》 1 《否認》 1 《ストリオン共鳴体》 1 《君は囚人を見つけた》 1 《対抗変転》 1 《不気味な教示者》 1 《最後の生き残り》 1 《逆説のもや》 1 《プリズマリの命令》 1 《至高の意志》 1 《滅び》 1 《絶滅の契機》 1 《衰滅》 1 《石成エンジン》 1 《ネビニラルの円盤》 1 《再解釈》 1 《煙突》 1 《脱出》 1 《神秘の合流点》 1 《影の評決》 1 《崇高な天啓》 1 《ダークスティールの板金鎧》 1 《熱病の疑惑》 1 《豪奢の呪い》 1 《復讐の呪い》 1 《揺らぐ信仰の呪い》 1 《侵入者への呪い》 1 《混沌の呪い》 1 《ヒルの呪い》 1 《饒舌の呪い》 1 《眠れぬ死者の呪い》 1 《狂乱の呪詛》 1 《忘却の呪い》 1 《スカラベの責め苦》 1 《流血の呪い》 1 《死の支配の呪い》 1 《こだまの呪い》 1 《不幸の呪い》 1 《執着の呪い》 1 《監視の呪い》 1 《渇きの呪い》 1 《愚者の知恵の呪い》 1 《解放の呪い》 1 《残酷な現実》 -呪文(61)- |
当コラムでの統率者デッキは、これから統率者戦を始めるという人にも比較的入手しやすいカードを優先して構築しているので、統率者戦をゴリゴリにやっていてカードもたっぷり持っている人には物足りないリストになっているかもしれない。あくまでサンプルなので、各自が使いたいカードに適当に入れ替えてあなたの理想のリンディデッキを組んでみてほしい。
ここまで呪いを詰め込んだデッキというのは過去に見たことがない、人を呪わば穴二つというが統率者戦では対戦相手は2人以上。穴は2つで足りなくとも、これだけ呪いを揃えれば全員に呪い勝つことも不可能ではないはずだ。
その呪い戦術の柱となるのが《不幸の呪い》。
毎ターン呪いを持ってくる強烈な呪いカードを、自分自身にエンチャントするところからリンディの拷問は始まる。毎ターン引っ張ってきた呪いを、それを与えるのに適切な誰かに押し付けるのだ。
《石成エンジン》《ストリオン共鳴体》でこの誘発をコピーしたり、《逆説のもや》でアップキープを増やすことでこの工程を加速させることができれば……最高に気分が良いだろうね。
これらは対戦相手に貼り付けている呪いの誘発も増やすことができるので、臨機応変に使い分けて酷い目に遭わせてやろう。
クリーチャー除去は基本的に1枚で複数に対応できるものを選んでいる。単体のクリーチャーは《豪奢の呪い》のような、対戦相手が攻撃されることで誰かがボーナスを得られる呪いを使って攻撃先を誘導することで自分の身を護ろうという考え方だ。
それらの呪いでコントロールしきれなくなったらリセットしつつ、呪いの能力でも締め上げていくという具合。
対戦相手のパ―マネントを減らす手段の1つに《ネビニラルの円盤》がある。
クリーチャー、エンチャント、アーティファクトをまとめてふっとばすのだが、《ダークスティールの板金鎧》でリンディに破壊不能を付ければ自分の破壊された呪いはすべて回収し、次のアップキープからまた再配布していくことが可能だ。
同じくパーマネントを削るものとして《煙突》もあり、毎ターンのパーマネント生け贄要求には呪いをもって応えていくことで、自身はほぼ被害を受けず、対戦相手のみをゴリゴリすり減らしていくという邪悪な勝ち方もある。
ただしこんな世界中から恨まれるような行動をしては、対戦相手たち全員が結託してこちらに攻め込んでくるのは間違いない。私はただ呪いを使ってじわじわやりたいだけですよ、何も悪さはしませんよと平和主義者を演じつつ隙を見て全員を拷問してやるという、周到な計算が必要になってくるだろう。
今までの統率者にはなかった、とにかく面白いゲーム展開を提供する《陽気な拷問吏、リンディ》。彼女を手に入れたなら、ぜひとも呪いに塗れたデッキを組んでその邪悪な任務を全うさせてあげてね!
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