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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
イゼット・コントロール(スタンダード)
早いもので、今週末にはテーブルトップに先行してMTGアリーナとMagic Onlineにてローテーションが行われ、新しいスタンダード環境がスタートする。
一体どんなマジック体験が我々を待っているのか。悩む間もなくその時はすぐにやってくる。『エルドレインの王権』から『基本セット2021』までのセットはローテーションによりスタンダードを去る。これらのセットにお疲れさまと言ってやりたいね。
スタンダードというフォーマットの歴史は実に26年目を迎えている。この長い年月において、過ぎ去ったスタンダードが同一の形で戻ってくるということは一度もない。いつだって変化し続けているのだ。
スタンダードという枠組みで、思い入れのあるカードやデッキでは二度と遊べないというのは寂しいことなのは事実。しかしながら変化が起き続けるというのはそれに勝る大きな喜びでもあることを忘れずに。別れの後には出会いがある、さあ『イニストラード:真夜中の狩り』でやってくるカードと既存のカードを組み合わせ、未だ見ぬデッキを作り上げよう!
今回は現行スタンダードでの最後の大型イベントとなったMPLガントレットで使用されたデッキを見てみよう。環境最後の大舞台にて現れたデッキは、特定の層の好みにビビッとくるようなシブいデッキだった。
プロツアー殿堂顕彰者である「LSV」ことルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasなどが使用した「イゼット・コントロール」をご覧あれ!
7 《冠雪の島》 7 《冠雪の山》 4 《天啓の神殿》 4 《河川滑りの小道》 3 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 4 《廃墟の地》 4 《寓話の小道》 -土地(33)- 4 《砕骨の巨人》 -クリーチャー(4)- |
3 《霜噛み》 2 《無効》 1 《棘平原の危険》 4 《燃えがら地獄》 4 《軽蔑的な一撃》 4 《表現の反復》 4 《海の神のお告げ》 2 《バーニング・ハンズ》 2 《本質の散乱》 2 《ジュワー島の撹乱》 1 《否認》 1 《焦熱の竜火》 2 《プリズマリの命令》 2 《襲来の予測》 4 《サメ台風》 4 《キオーラ、海神を打ち倒す》 1 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(43)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 2 《灰のフェニックス》 1 《厚かましい借り手》 2 《マインド・フレイヤー》 1 《レッドキャップの乱闘》 2 《バーニング・ハンズ》 2 《精神迷わせの秘本》 1 《垣間見た自由》 1 《否認》 1 《才能の試験》 1 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
今回MPL昇格を懸けた勝負のステージにLSVが持ち込んだのは……青赤2色のコントロール! それも《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒にしたデッキだ。
メインはクリーチャーが《砕骨の巨人》4枚のみに抑えられた構成が特徴的。ここから読み取れることは、とにかくインスタント・タイミングで動いて対戦相手に干渉する、生粋のコントロールデッキだということ。LSVはラヴニカにおけるギルドの中ではイゼット派であり、またカードをドローすることをこよなく愛するプレイヤーであるので、このデッキチョイスには納得である。
インスタント・タイミングで動けるカードの中で、打ち消しは13枚、クリーチャーやプレインズウォーカーにダメージを与える除去が17枚、ドローが6枚と、対戦相手のターンにその動きを確認してから動くという選択肢はタップリ。
マジックというゲームは毎ターン浮上するいくつもの選択肢からベストなものを選ぶことが勝利への近道である。相手が何をしてくるのか予測しながらこれを行うのは簡単なことではないが、それを見てから決めてOKと言われれば幾分ハードルは下がるというもの。
もちろん後出しが完全有利というわけではなく、インスタントというものは基本的にソーサリーなどに比べてカードパワーが低めに設定されている。1枚の威力は低いため、その分戦略で勝負するという形だ。常に集中力を要求されるため、このようなデッキで長丁場を戦うというのは熟練度なしでは難しい。とはいえ、ランク戦やカジュアルに遊ぶ分には気軽に挑んでみてほしい。
ヨーリオンデッキなので総枚数は80枚。スタンダードで当たり前のように見られたこの光景も見納めになるなぁ。
80枚ということは言うまでもなく、各カードを引ける確率は60枚デッキの時よりも低くなる。そのためあらゆるカードを4枚フル投入して引ける確率をわずかでも上昇させる……という構築はしていないのがこの手のヨーリオン系コントロールの面白いところだ。
例えば《バーニング・ハンズ》のような特定の相手に効くカードをメインから忍ばせたり、《無効》《否認》のように同じような役割のカードをばらけさせて採用したりしてデッキの引き出しを拡げている。
状況次第では60枚の普通のデッキよりも強力に立ち回れるということで、リスクに見合うリターンで勝負だ。
散らす構築をしつつも、根幹とも言える部分はしっかりと4枚採用している点にも注目。《表現の反復》《海の神のお告げ》といった手札を整えるカードはやはり最重要。
お告げはヨーリオンでも使いまわせる点でも外せないし、反復の生み出すアドバンテージはレガシーでも重宝されるレベルなのでスタンダードでは言うに及ばず。
打ち消しの枠では《軽蔑的な一撃》が最重視の4枚。《出現の根本原理》《軍団のまとめ役、ウィノータ》などマナ総量4以上の致命的なカードへの警戒がその理由だ。
《燃えがら地獄》もウィノータデッキや白単など、並べるデッキが多数登場することを見込んでのもの。
対して《サメ台風》《キオーラ、海神を打ち倒す》はこのデッキの重要な勝利手段。
インスタント・タイミングで隙なく大型クリーチャーを用意でき、対戦相手のクリーチャーをブロックすることで除去にもなり得る《サメ台風》はこの手のデッキにとっては救世主的な至高の1枚である。もちろん戦場に出れば後は適当にコントロールしているだけで戦場が地獄と化す。
《キオーラ、海神を打ち倒す》は巨大なトークンを展開しつつ、パーマネントのタップとアンタップ阻害でこちらの不利な状況でもなんとか持ちこたえさせる。これをヨーリオンで出し入れすることで、圧倒的不利な状況からの逆転劇だって夢ではない。いつまでもインスタントでのらりくらりとかわし続けることは難しいので、最後はこのようなパワーカードで強引にでもゲームを終わらせに行くのだ。
最小限のクリーチャーとどっさり山盛りのインスタント、青赤2色で80枚。一目ぼれしてしまったプレイヤーもいることだろうこのコントロールデッキは、オンラインでは9月17日以降、スタンダードにて使用できなくなってしまう。デッキを構成する大部分のカードが抜け落ちるので、次期スタンダードで再現するということも難しいか……
しかしながら《襲来の予測》《燃えがら地獄》《プリズマリの命令》《表現の反復》といったコントロールが欲しいと思えるカードは次期スタンダードにも残るので、『イニストラード:真夜中の狩り』次第では青と赤のコントロール、まだまだやれるのかもしれない。
2020年から2021年まで続いたスタンダード・シーズンよ、さようなら。いつの日か良き思い出として振り返る時が来るだろう。そして2022年に向かうスタンダードよ、待ってろよ! 遊びつくしてやるからな! 前に向かう精神で、さあ旅立ちの時だ。
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