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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
マリガンは勝利への道。初手依存コンボまとめ!(モダン&ヒストリック)
今回は開幕いきなりデッキリストからだ。その方がインパクト大に違いないからね。
3 《山》 1 《血の墓所》 1 《蒸気孔》 1 《インダサのトライオーム》 1 《ラウグリンのトライオーム》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《樹木茂る山麓》 3 《乾燥台地》 4 《ラムナプの遺跡》 4 《宝石の洞窟》 4 《ミシュラの工廠》 4 《光輝の泉》 4 《陽焼けした砂漠》 1 《爆発域》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -土地(40)- 4 《ドラコの末裔》 4 《土着のワーム》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(12)- |
4 《計算された爆発》 2 《ちらつき蛾の注入》 2 《混沌の辛苦》 -呪文(8)- |
1 《爆発域》 3 《すべてを護るもの、母聖樹》 3 《ネファリアのアカデミー》 4 《乱暴 // 転落》 4 《徙家 // 忘妻》 -サイドボード(15)- |
これって本当にデッキリストなんですか?と疑問を持たれてもしょうがないなという、一見ストレージをひっくり返したようなカードの束。40枚の土地で構成されたそれは、デッキと呼ぶにはあまりに禍々しい姿をしている。
しかしながらこのリストは、Magic Onlineのモダンリーグを無傷の5連勝で完走している。正真正銘のちゃんとしたデッキなのだ。使用したプレイヤーがそもそも強いというのは置いといて、《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ドラゴンの怒りの媒介者》らが加わって速度の増したモダンにおいてそれだけ勝てるというのは注目しなければならないものであることは間違いない。
土地以外に採用されているのは、マナ総量が12から15までのひっくり返るほど重いカード。このデッキはこれらを土地を出しまくって唱えるのかというと、ある1枚を除いてそんな気は全くない。このデッキは《計算された爆発》でめちゃ重カードを公開し、カード1枚で12~15点のダメージを叩き込むことを狙っているのである!
そのため、大ダメージに繋がらない有象無象に用はない、マナ総量11を超えてから出直してこいと、こう……クレイジーな思想で組まれているのである。土地は爆発で捲っても邪魔しないからたんまり入れてね。
12マナの《ドラコの末裔》だけはその大量の土地の中から基本土地タイプを複数持つものを並べることで唱えて戦場に出すことができる。
爆発のダメージとドラコの攻撃で20点、爆発を3ターン目に唱えて5ターン目にフラシュバックで決める、あるいは対戦相手が土地や呪文のためにライフをガンガン支払うモダンなのでそもそも15点で一発KO……勝ちに至るプランはそんなところだ。
土地をたっぷり入れられるので、ただ何もしない土地を置いてもしょうがないなとそのチョイスにも工夫を凝らしてある。
《宝石の洞窟》は後手でゲームを開始した場合に自動的に戦場に出るマナ加速として、爆発を唱えるターンを2ターン目に早めてくれる。他のマナ加速は理論上入れることができないからね。
《ミシュラの工廠》はドラコと同じく殴ってライフを減らす、貴重な戦闘要員。いざとなったらブロック役として盾にする手もある。
《ラムナプの遺跡》《陽焼けした砂漠》も最後の2~3点を削り取るための飛び道具。これらのおかげで荒唐無稽とも言えるコンボがしっかりと対戦相手を葬れるものとして機能しているのだ。
勝ち方はわかったが、デッキに4枚の《仕組まれた爆発》を引かなかったらどうなるのかって? 例外中の例外として採用している2枚の《混沌の辛苦》でちょろっと水増しはしているが……微々たるものだわな。山と積み重なったライブラリーからこれを引く確率はかなり低い。
だったら、初手で持ってりゃ良いじゃないかと。幸い、マジックにはマリガンがある。ゲーム開始時の手札、いわゆる初手が気に入らなければ引き直すことができる。ただしその初手の総数はマリガンを重ねるごとに減っていく。少ないに越したことはないが、勝つためには枚数が減ることを享受する場面も多々あるものだ。
このマリガン、昔のルールで考えれば、やればやるほど引き直せる枚数は減っていく。やればやるほど欲しいカードが引ける可能性は下がっていくので、ジリ貧だったものだ。ただ、今は違う。どれだけマリガンしようが、7枚引くことが可能。キープした際にそこからマリガンした回数分だけライブラリーに戻すという仕様になったため、このような初手依存の高いコンボデッキを無理やり回すことが可能になったのだ。
例えばこのデッキの場合は、極端な話、後手だったら手札が《仕組まれた爆発》1枚になるまでマリガンしたってかまわない。ライブラリーに40枚の土地があるのであれば、3ターン連続土地を引いて3ターン目に爆発させる確率は結構高い。もちろん、そこまでになる前に見つかるのが何よりだが、マリガンを2~3回したって勝てるデッキというのはそれが大きな強みではあるよね。
4 《山》 1 《島》 4 《蒸気孔》 4 《天啓の神殿》 4 《河川滑りの小道》 1 《霊気拠点》 4 《バグベアの居住地》 4 《ちらつき蛾の生息地》 3 《廃墟の地》 4 《光輝の泉》 -土地(33)- 1 《セラの使者》 4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(5)- |
3 《ティボルトの計略》 4 《混沌の辛苦》 4 《出現の根本原理》 1 《アールンドの天啓》 4 《マグマ・オパス》 1 《全知》 1 《目覚めた猛火、チャンドラ》 4 《精霊龍、ウギン》 -呪文(22)- |
4 《黄金架のドラゴン》 3 《星山脈の業火》 4 《サメ台風》 1 《創造の発露》 3 《目覚めた猛火、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
こちらも現在のマリガンルールがあるからこそ成立しているようなデッキだ。フォーマットはヒストリック、新たに《混沌の辛苦》が参入したことで大幅強化された《ティボルトの計略》デッキだ。
自分自身の呪文を対象に計略を唱え、これによりライブラリーから超巨大な呪文を公開してマナを支払わずに唱えて一瞬で勝つ、豪快なコンボデッキである。
以前までは計略の対象にするため、{0}で唱えられるカードが必要だった。それは2ターン目にコンボを成立させるが、しかしながら計略でそれらハズレを引いてしまうという、致命的な弱点をデッキに与えていた。計略と{0}カードの2枚が揃わないと動けず、いかにマリガンが追い風であるとは言っても不安定なコンボだった。
《混沌の辛苦》はそんな諸問題をまとめて解決する。デッキ内にはこれよりコストが軽いカードは計略のみであり、辛苦を唱えれば確定で続唱から計略がポンと飛び出て、まだ解決されていない辛苦を対象としてそれを打ち消す。あとはどのビックリドッキリカードが飛び出すかを見守るだけだ。
このコンボは不純物がめくれて空振りすることがなく、辛苦1枚で成立する。4ターン目まで真面目に待つ必要はあるが、それまでにライフを0にしてくるような相手でなければ1枚で大逆転。《マグマ・オパス》で一応最速3ターン目にも唱えられるという工夫も施されている。
後は土地が多くなる関係で、上記のモダンのリストと同様に回復したりクリーチャー化する土地を盛り込んで、ゲームが長引いた際にもコンボ以外でなんとか勝てるように構成されている。《精霊龍、ウギン》を唱えるというのもこれだけ土地が多ければ不可能ではない話だ。
最後に大事な話を。いくらマリガンがこれらのデッキを後押ししてくれるとはいえ、最終的にはただ純粋な運にすべてを委ねることになるのは忘れてはならない。理論上、何回かマリガンすれば《仕組まれた爆発》や《混沌の辛苦》といったキーカードは7枚の手札にやってくる。しかしこれはあくまで理論上、だ。
僕も試しに新《ティボルトの計略》デッキを回してみたが、7回マリガンしても辛苦を引けないということが2回あって、このデッキは自分には回せないなと悟った。7回目のマリガンをすれば初手は0枚になるので意味はないが、6回目で引けなけりゃもうどうしようもないのは同じだろうと怒りのマリガン敢行だった(笑)。
僕自身、土地が27枚のデッキで土地が1枚もない初手が3回連続でやってくるようなマリガンの化身なので、同じような宿命を背負っているようなプレイヤーにとってはこれらのデッキを使いこなすのは一種の憧れ、遥か彼方の理想なのかもしれない。あるいはこのマリガンという試練に打ち勝つことでしか、呪いは断ち切れないのだろうか。
少しでも興味を持ったのであれば、これらの尖ったコンボデッキに挑んでみると良い。一見簡単に勝つデッキのようだが、勝ち続けるには己を研ぎ澄まして直感を高め、揺るがぬ忍耐をもって運にその身をゆだねる、そんな覚悟が必要だ。気楽に遊ぶ分にはそこまで構えなくても良いけどもね!
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