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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

死せる生:工作員参入!(モダン)

岩SHOW

 1枚のカードで呪文2つ分唱えられたら……簡単にアドバンテージが取れるのにね。まあ、世の中そんなに甘くない。そういったカードは限られたり、コストやリスクが大きなものだったりする。

 そんな中でも「続唱」という能力はこの願望を比較的簡単に叶えてくれる能力。続唱を持つカードを唱えた場合、その呪文を解決する前に先に続唱能力が誘発。ライブラリーの上から順番にカードを公開し、この呪文よりもマナ総量が小さい呪文が公開されたらストップし、その呪文をマナを支払わずに唱える。カード1枚でまんま2枚分の挙動になるわけで、かなり強い能力だ。

 《血編み髪のエルフ》はリリースされた当時のスタンダードにて大暴れ、スタンダード落ちした後もモダンやレガシーなどのフォーマットで存在感を発揮したほどで、この能力の強さを実感できる。あまりに強い能力なので、スタンダードに帰ってくることはもうないかもしれない。

 ただ人気の能力なので特殊セットには収録されることが多く、統率者系のセットや『モダンホライゾン2』などには再録されている。

 中でも『モダンホライゾン2』に《断片無き工作員》が再録されたってのは驚いたなぁ。

 かつては統率者戦とレガシーやヴィンテージでしか使えなかった名カードが満を持してモダンに殴り込みだ。続唱抜きで考えれば3マナ2/2。《スケイズ・ゾンビ》と同スペックなのに、続唱がつくだけでバケモンみたいに強くなるんだから、いかにこの能力が強いかってことだなぁ。

 モダンと言えばすでに続唱をキーとしたデッキは存在しているわけで、工作員はその選択肢の1つとして参入してきたわけである。他の続唱カードもキャリアが長く、プレイヤーの信頼を勝ち取っているわけだが、さて新参者はどういう扱いを受けるのか?

 答えは……ガッチリとニーズに応えておりました!

MZBlazer - 「死せる生」
Magic Online Modern Preliminary #12312100 4勝0敗 / モダン (2021年7月5日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
2 《繁殖池
2 《蒸気孔
4 《霧深い雨林
2 《沸騰する小湖
3 《植物の聖域
3 《尖塔断の運河
1 《沈んだ廃墟

-土地(19)-

4 《断片無き工作員
1 《厚かましい借り手
4 《意思切る者
4 《秘法の管理者
4 《悲嘆
3 《緻密
4 《通りの悪霊
2 《風呼びのエイヴン
4 《縞カワヘビ
2 《波起こし

-クリーチャー(32)-
3 《死せる生
4 《暴力的な突発
2 《否定の力

-呪文(9)-
4 《フェアリーの忌み者
2 《厚かましい借り手
4 《基盤砕き
2 《否定の力
1 《活性の力
2 《死亡 // 退場

-サイドボード(15)-

 

 「死せる生コンボ」はモダンでもかなりキャリアの長い名デッキの1つ。デッキを構成するカードを3マナ以上の呪文に絞り、それ以下のカードは土地と《死せる生》のみに。

 すると続唱からは必ず《死せる生》が唱えられる。これで戦場のクリーチャーを墓地に送り込みつつ、こちらの墓地のクリーチャーを一気に戦場に展開して勝負を決める。

 肝心のクリーチャーを墓地に仕込むのには2マナ以下の呪文が使えないので苦労しそうだが、その問題をサイクリング能力で解決。《通りの悪霊》などを捨てながら準備を進めて、頃合いを見てコンボを仕掛けて圧勝する。

 テクニカルかつ鮮やかなこのデッキの続唱役として、工作員が新規参入したというわけだ。

 工作員の枠は以前は主に《悪魔の戦慄》が担っていた。これよりは2/2のクリーチャーとして自身も戦闘を行える工作員の方が優れていると多くのプレイヤーが判断したのだろう。

 また、工作員が青いカードであるというのも無視できないポイント。青いということは……《否定の力》の代替コストとして追放することができる!

 これまでは3マナ以下の呪文を採用できないということで打ち消しという選択肢を与えにくかった《死せる生》デッキだが、コンボの始動役である続唱が青くなったのであれば問題はない。手札を捨てさせようとするものやコンボを潰そうとする打ち消しを《否定の力》で弾いて勝負を決める。デッキとしての安定感は大きく高まった。リストを見ればわかる通り、青いサイクリング持ちのクリーチャーもたっぷりいるしね。

 青がメインカラーとなった恩恵は《緻密》が使用可能になったという形でも反映されている。

 クリーチャーに対する咄嗟の呪文バウンスは、むしろ相手の《忍耐》などの対インカーネーションにおいて効果を発揮するだろう。こちらは《通りの悪霊》など黒いカードが入っているのを良いことに《悲嘆》を使わせてもらおうという抜け目のなさからも強デッキの風格が感じられる。

 サイドボードには2マナの呪文でありながらそのマナ総量は4なのでコンボを阻害しない《基盤砕き》の姿も。

 青と緑の要素が強まった『モダンホライゾン2』以降の《死せる生》デッキは、以前と同じような勝ち方をしてくる全く別のデッキになったと言っても過言じゃあないね、こりゃ。より厄介に、柔軟に立ち回ってくるようになったコンボデッキ。どのように対策するのか? 大会に参加する際にはそこをしっかり考えて臨もう!

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