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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

デミリッチ×フェニックス(ヒストリック)

岩SHOW

 『フォーゴトン・レルム探訪』であなたに最もインパクトを与えたカードって何だろう。僕の場合は……《デミリッチ》だなぁ。

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 何よりもまずそのアート! ダンジョンらしき空間で宙に浮かんだ人間の髑髏! 頭蓋骨というものは万人に対して恐怖を与えるものだが、このデミリッチは経年を感じさせる茶色というのがリアルであると同時に、眼窩にはギラギラしたものが収まっている。

 デミリッチというものに対して調べてみたところ、眼球の代わりに宝石が収まっているのが割と一般的なようだ。オーパーツとか好きな人間には響くビジュアルだね。デミリッチという名前も独特な響きでなんか心地よい。

 そもそも一体なんなのか? 調べてみた。リッチ(lich:死体の意)とは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の世界における、骨と皮だけの怪物のこと。それらは元々人間で、かつ自己の意志でその姿になった連中だ。人間の一生というものは知識を探求するには短すぎる、永遠に知識を追い求められる肉体を!と願った結果、自身に魔術を施して、不死の存在へと変貌した高位の魔術師や僧侶がリッチと呼ばれる。低級なゾンビやスケルトンなんかとは格が違い、生前に収得した魔法を用いてプレイヤーを苦しめる、危険なモンスターとされている。

 で、このリッチがさらに進化したのがデミリッチ。デミとはdemigodで亜神を意味したりと、これが付くことで「半分○○」という意味合いになる。そのまま受け取れば半リッチということになるわけだが、これ「半分リッチになった人間」というわけではなく、その逆。リッチが次のレベルに差し掛かっている状態なのだとか。悠久の時を過ごし、肉体を持った状態で得られる知識を極めてしまったリッチは……精神の受け皿である肉体を離れ、別の次元での知識の探究を行うようになる。肉体を骨と皮として残すための魔術の効力は弱まるため、肉体はどんどんと朽ちてゆく。結果《デミリッチ》のイラストに描かれたような頭蓋骨のみ、あるいは片腕の骨のみが残っているといった様相になるのだとか。半分リッチ、半分はより高位の存在にってことでデミリッチなんだな。

 そんな状態になってもその力は驚異的で、プレイヤー側の攻撃はほとんど受け付けない難敵なのだとか。ぜひとも一度はデミリッチと戦う冒険をプレイしてみたいところだが、マジックであれば今後は気楽に《デミリッチ》をプレイすることが可能というのが嬉しいね。

 さて、このギラギラしたスケルトン・ウィザード。一体どのようなデッキで使えばそのポテンシャルを引き出せるだろうか。{U}{U}{U}{U}という濃厚すぎるシンボルなので青単でと思ってしまうが、そのマナはインスタント or ソーサリーを唱えることで軽減可能。また攻撃すれば墓地のインスタントかソーサリーのコピーを唱えられ、墓地にあるそれらの呪文4枚を追放すれば墓地からも唱えられると、とにかくインスタントとソーサリー、そして墓地に関する能力を与えられている。殴りだせば強力なアドバンテージが得られて、かつ一度破壊されたくらいでは猛攻は終わらないしぶとさがこのカードの強み。そのポテンシャルを活かしてやるには……

  • インスタントとソーサリーを1ターンに複数回、3枚以上唱えられることが望ましい
  • 墓地から唱えられる特性を活かすため、手札から捨てたりライブラリーから墓地に置くカードと組み合わせられるとなお良し

 これらの条件をクリアできるデッキであれば《デミリッチ》のカードパワーを引き出せそうだ。

 ここまで読んで、何かのカードに似ているなと思った方もいらっしゃるでしょう。そう、《弧光のフェニックス》!

 ヒストリックにおいて最強デッキ候補「イゼット・フェニックス」を成立させる名カードだ。同一ターンにインスタントかソーサリーを3回唱えることを条件に墓地から戦場に戻るその能力は《デミリッチ》と共通するところがある。

 そして面白いことに、両者は同じデッキに採用してもトラブルが発生しない。フェニックスは墓地利用カードではあるが、参照するのは自身のみなので一緒に埋まっている呪文が追放されようが影響はない。そのために《アゴナスの雄牛》をオプションとして採用しているリストも少なくない。

 であれば《デミリッチ》とフェニックスの同居だって可能なはずだ。というわけで、今回はデミリッチ×フェニックスなリストを考えてみた!

岩SHOW - 「イゼット・デミリッチ」
ヒストリック (~『フォーゴトン・レルム探訪』)[MO] [ARENA]
3 《
2 《
4 《蒸気孔
3 《硫黄の滝
3 《尖塔断の運河
4 《河川滑りの小道
2 《寓話の小道
-土地(21)-

4 《スプライトのドラゴン
4 《弧光のフェニックス
1 《弾けるドレイク
1 《嵐翼の精体
3 《デミリッチ
-クリーチャー(13)-
4 《渦まく知識
4 《選択
4 《信仰無き物あさり
3 《火柱
1 《稲妻の斧
1 《マグマのしぶき
4 《表現の反復
2 《巧みな軍略
2 《君は囚人を見つけた
1 《君は近づいてくる護衛兵に気づいた
-呪文(26)-

 一般的なフェニックスのリストをベースに『フォーゴトン・レルム探訪』のカードを追加してみたものだ。《渦まく知識》《選択》と1マナドロー呪文がフェニックス復活の条件を満たすとともに《デミリッチ》のコストも軽減していく! 綺麗に決まると気持ちいいね。

 《信仰無き物あさり》でデミもフェニもまとめて捨てることで、本来手札が減る呪文を損せずに運用可能なのも優れている。

 墓地への依存度が高まったので《巧みな軍略》で一気に肥やして3~4ターン目に仕掛けるというパターンも備えた。

 《表現の反復》による圧倒的な手数で、破壊系除去であれば何度使われても戦場をフェニックスとスケルトンで満たすことが可能となるだろう。

 個人的にカード名が好みな「君は~」シリーズも採用してみた。《君は囚人を見つけた》は《デミリッチ》で使いませれば思いもよらないぶっ飛んだゲーム展開を演出しそうで、なんだかゾクゾクする。アーティファクトを破壊できるという堅実な仕事っぷりも《墓掘りの檻》というデッキの弱点をカバー。

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 《君は近づいてくる護衛兵に気づいた》はコストの軽さから使いやすく、攻撃を無理やり通す際や追放除去からクリーチャーを護る際に役立つ、地味ながらやりよる1枚な予感がする。

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 執筆時点ではまだリリース前なので試せていないが、どちらもレアリティが低く入手しやすいのですぐにも実戦投入できるのが嬉しい。

 見た目、名前ともにインパクトにあふれた《デミリッチ》。スタンダードやヒストリックなどのフォーマットにも衝撃を与える存在となるだろうか? すべては知識を追求したプレイヤーの腕にかかっている、ってところかな!

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