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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
暗黒の書と黒への信心(新スタンダード)
何度だって、チャレンジしたい。新セットがリリースされる度にこう考えている。
何の話かって? 当コラムでは毎回デッキリストを紹介させてもらっている。トーナメントで結果を残したものを中心に、強いもの・今後流行りそうなもの・独創的で面白いものなどを紹介させてもらっている。
ただ新セットリリース直前直後においてはスケジュールの都合もあって実際に使用されたデッキを紹介することはできないので、毎度僕自身が考えてみたリストを中心に新カードを使ったデッキのサンプルを取り上げさせてもらっている。
で、ここ最近そのいつものシーズンに差し掛かるとチャレンジしているのが「黒単信心」の構築である。現行のスタンダードでは《アスフォデルの灰色商人》が使用可能である。
このゾンビは戦場に出た際にコントロールしているパーマネントが持つ黒マナシンボルの数、即ち信心の数だけ対戦相手のライフを失わせ、こちらに与える。黒マナシンボルが濃ければ濃いほどその一撃は重たいものになる。つまりはパーマネントを大量に並べるか、少数でもシンボルの濃いものを出しておくと効果大。
後者を狙う場合、黒マナを得られる土地ばかりが必要になってくる、ということで《アスフォデルの灰色商人》を用いる際には、単色かほぼそれに準じた構成の「黒単信心」というデッキに相成るのである。
新セットに黒のシンボルが濃厚なカードを見つけると思わず信心したいという欲求が高まり、リストを考えてしまう……ということ。前回は《デーモゴスのタイタン》というなんともそそる、信心4つも稼げる1枚があった。これで黒単の時代が来るか!と思ったが、なかなかそうはならなかったねぇ。
それでも、諦めない! 『フォーゴトン・レルム探訪』でもまた、シンボルの塊を発見したからだ。その名も《不浄なる暗黒の書》。
いかにもファンタジーRPGらしい、心の底にある何かに訴えかけてくる名前がたまらないね。
ただシンボルが濃いだけでなく、このカードは特定の3枚を揃えて合体させられるという、これまたそういうものに飢えている気持ちを絶妙にくすぐってくるデザインとなっているからもうたまらない。今回も黒単、いっちゃうぞ!
20 《沼》 2 《ロークスワイン城》 2 《目玉の暴君の住処》 -土地(24)- 2 《ひきつり目》 2 《死より選ばれしティマレット》 4 《残忍な騎士》 2 《ロークスワインの元首、アヤーラ》 2 《デーモゴスのタイタン》 1 《荒涼とした心のエレボス》 1 《悪ふざけの名人、ランクル》 4 《アスフォデルの灰色商人》 2 《不気味な放浪者》 -クリーチャー(20)- |
3 《無情な行動》 2 《大群への給餌》 1 《詩人の羽ペン》 2 《アガディームの覚醒》 3 《不浄なる暗黒の書》 2 《アイ・オヴ・ヴェクナ》 2 《ハンド・オヴ・ヴェクナ》 1 《蜘蛛の女王、ロルス》 -呪文(16)- |
2 《スフィアー・オヴ・アナイアレイション》 4 《スカイクレイブの影》 3 《強迫》 1 《環境科学》 2 《エルズペスの悪夢》 1 《壊死放出法》 1 《害獣召喚学》 1 《オニキス教授》 -サイドボード(15)- |
信心を稼げる《不浄なる暗黒の書》、その肝心の能力は?まず、自ターンにライフを2点以上失っているとゾンビ・トークンを生成する。これはアンタップ状態で戦場に出るのでブロックにも回せる点が隙が無くGOOD。
2点以上のライフを自分のターンに失うにはどうするか? これは結構簡単な話。《残忍な騎士》を出来事として唱える、《大群への給餌》で2マナ以上のパーマネントを除去、クリーチャー死亡時に《荒涼とした心のエレボス》で支払うなど、何かのついでに自らライフを削ることが可能なリストを意識してみた。
そして《アイ・オヴ・ヴェクナ》。
《不浄なる暗黒の書》のテキスト内にも名が書かれているこのアーティファクトもまた、2点のライフを糧に手札が得られるので積極的に用いるべし。
同じくテキストに書かれた《ハンド・オヴ・ヴェクナ》も装備するのにライフの支払いという形式を用いることが可能なので、無理のない範囲で支払っていこう。
この装備は《残忍な騎士》をサイズアップさせて失ったライフを回復するのも助けてくれる。
そしてライフを失わせるこのヴェクナ一式と《不浄なる暗黒の書》が揃ったら……合体の時間だ!暗黒の書の2つ目の能力でこれら3つのアーティファクトを追放し、ゾンビであり神であるヴェクナを呼び覚まそう。破壊不能を持った8/8で、かつ3つのアーティファクト全ての誘発型能力を有しているので、なんて説明したらいいのか……とにかくすごいことになってしまう。
破壊不能ではあるが追放や手札に戻す類の除去をされるとカード3枚分の損失になってしまうこと、また暗黒の書がなくなるので信心が減ってしまい、アスフォデルの火力が落ちることなど必ずしも合体することがゲーム展開を良くするとは限らないが、隙あらばヴェクナの圧倒的な制圧力を楽しもう。
というわけでヴェクナ降臨のメカニズムを仕込んだ、中速のデッキである。クリーチャーデッキ相手には除去を連打するコントロール寄りに動き、コントロールデッキ相手にはアドバンテージの勝負を挑む。いずれにせよ《アスフォデルの灰色商人》の能力がゲームを大きく動かすことになるだろう。
《ロークスワインの元首、アヤーラ》や《デーモゴスのタイタン》で生け贄に捧げるクリーチャーは《ひきつり目》やその能力で持ってきた《害獣召喚学》の邪魔者など。
こうしてエレボスや《蜘蛛の女王、ロルス》の能力を誘発させたり、あるいは《不気味な放浪者》を戦場へ送り出したりと、生け贄をポジティブに行っていこう。リストに余裕があれば《悪夢の番人》も採用し、アスフォデルを生け贄に捧げて戻してと使いまわしで一瞬でライフを失わせたかったところだが……新カードを優先した結果上記のようなリストになっている。
パックを剥いて暗黒の書+ヴェクナセットが揃ったら、これらを使ったデッキを組んでみないとね。その際には信心の高さを活かすためにこういう構築もあり……かもしれない。実際に試してみて、ヴェクナが一番大暴れできるデッキを目指したい。そして「黒単信心」にスポットライトが当たれば……感無量なんだがなぁ。
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