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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラクドス・ルールス:墓地こそが戦場(モダン)
気付けば7月に突入しており、もうすっかり夏。夏と言えば……怖い話、怪談でしょう。
なぜ人は夏になると怖いものを求めるのか、やはり背筋にゾクッとくる涼感を求めてのことなのだろうか。あるいは、日本の場合はお盆との関連もあるのやも。夏は先祖らがあの世から帰ってくる季節ということで、お墓参りに行くのが恒例となっている家もあるだろうね。
墓地というのは不気味な空間というイメージもあるが、厳かで落ち着いた雰囲気も漂っており、ただ恐れるだけの場所ではない。リスペクトを持ってお掃除したいものだ。
マジックにおける墓地だって、ただ死亡したクリーチャーや唱え終わった呪文を置いておく使い捨てのもので満たされた場というだけでなく、思いを込めれば恩恵を与えてくれる、ある種神聖な領域である。
墓地からクリーチャーを戦場に戻すリアニメイト戦術、墓地から唱えられるフラッシュバックなどの呪文、墓地を追放することでマナの代わりにしたりライフを得たり、墓地が一定枚数存在することでボーナスを得るなども……とにかく、この領域は活用しなければ損、損、大損だ。そして同時に、対戦相手の墓地を野放しにすることは危険と直面することでもある。
なので、自身のデッキを墓地活用できるものにしつつ、対戦相手の墓地対策も考えなくてはならない。すなわちこの両方を同時に行えるデッキは強いということでもある。今日はそんなデッキのご紹介。
2 《冠雪の沼》 2 《冠雪の山》 4 《黒割れの崖》 3 《血の墓所》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《新緑の地下墓地》 1 《沸騰する小湖》 2 《偶像の石塚》 1 《死の溜まる地、死蔵》 1 《血に染まりし城砦、真火》 -土地(22)- 4 《ドラゴンの怒りの媒介者》 4 《敏捷なこそ泥、ラガバン》 4 《ダウスィーの虚空歩き》 3 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 2 《戦慄の朗詠者、トーラック》 -クリーチャー(17)- |
4 《ミシュラのガラクタ》 4 《コジレックの審問》 3 《思考囲い》 4 《稲妻》 3 《邪悪な熱気》 3 《コラガンの命令》 -呪文(21)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 3 《破壊放題》 2 《高山の月》 1 《黄鉄の呪文爆弾》 1 《思考囲い》 1 《発掘》 1 《邪悪な熱気》 2 《虚空の鏡》 2 《仕組まれた爆薬》 1 《虚空の杯》 -サイドボード(14)- |
モダンの赤黒2色デッキ。まず大前提として、相棒に《夢の巣のルールス》。デッキの顔がもう「墓地バリバリ活用しまっせ」と宣言している。
ルールスでクリーチャーや《ミシュラのガラクタ》を使いまわし、アドバンテージを稼ぐぞというコンセプトのもとに、2マナ以下のパーマネントを主体として組まれているデッキだ。
クリーチャーの枚数は17枚と、少なくはないが決して多くもない。それでも1マナ域は計8枚体制なので、アグロデッキの一種と見ても良いだろう。軽いクリーチャーの展開で押し切れなかった時のための保険として、ルールスでの立て直しが用意されている。逆にルールスが控えているからこそ、少数戦力も出し惜しみせずにアグレッシブに使っていける。
その1マナ域、まずはすっかりモダンでも定番となった《敏捷なこそ泥、ラガバン》。
まあこれは今回の墓地というテーマに関係なく、純粋にカードパワーの高さとルールスで使いまわせるという点を買ってのチョイス。とりあえず赤いデッキには入れておけの精神。
このリストでは同様の考えのリストと差をつけるため《死の溜まる地、死蔵》《血に染まりし城砦、真火》を採用しているのが面白い。
もう1つの1マナクリーチャーは《ドラゴンの怒りの媒介者》。
レガシーでも使用される、ラガバンに勝るとも劣らない赤い1マナのエース格だ。これは昂揚能力、墓地に4種類のカードが落ちている状況を求める。ルールスを用いる関係で、使いまわせる0マナドローとして《ミシュラのガラクタ》を採用しているのは媒介者にとってもプラスに働く。能動的に墓地に落とせるアーティファクトがあるので、あとは同じく能動的に墓地に落とせる《血染めのぬかるみ》などの生け贄土地、死亡したクリーチャーと唱えたソーサリーで簡単に昂揚の条件を満たせる。1マナ3/3飛行を早期ターンに作り出してガンガン攻めよう。
クリーチャーではないが、同じ1マナで昂揚を持つカードに《邪悪な熱気》がある。
通常時はプレイヤーに飛ばない《ショック》であるが、昂揚すれば驚異の1マナ6点ダメージというとんでもなく効率の良い除去に。
デッキとしては軽いクリーチャーを展開しながら、対戦相手の手札を捨てさせる呪文や能力で行動を制限するハンデス戦術を仕掛けて、ゲームを自分の好ましい方向へと手繰り寄せていく。《コジレックの審問》《思考囲い》《コラガンの命令》に加えて、クリーチャー陣では《死の飢えのタイタン、クロクサ》《戦慄の朗詠者、トーラック》もフル回転で対戦相手の手札をはぎ取る。
クロクサは脱出させることでフィニッシャーにもなる墓地利用であるが、その能力は一見昂揚との相性が悪いように思える。墓地を自ら追放するわけだからね。
まあ、これも複数枚あるタイプのカードから優先して追放すれば昂揚を保ちながらの脱出もできないことはないし、そもそも昂揚で押せ押せムードならそのまま押し切って、それができなかった時に脱出というオプションとして考えれば問題は起こらないんじゃないかな。
どちらの能力を優先すれば良いか、臨機応変に切り替えて戦えるデッキはそれだけで強みになる。クロクサはルールスから毎ターンねちねち投げ続けるだけでも強いしね。
さて、自分の墓地は昂揚か脱出で勝利を掴むための資源にするわけだが、対戦相手のそれは許さないのがこのデッキ。メインから採用された墓地対策は《ダウスィーの虚空歩き》だ。
虚空の名の通り、《虚空の力線》のように対戦相手の墓地に落ちるカードを問答無用で追放する、2マナという軽さで脅威のパフォーマンスを誇るアンチ墓地っぷりだ。
そしてこの能力で追放したカードは、虚空歩きを生け贄に捧げることで唱えることさえもできてしまう。しかもマナを払わずに! ワオ、初見の時には我が目を疑ったが、やっぱりこの能力は本当に印刷されているんだな。対戦相手の墓地悪用を懲らしめつつ、自分は美味しい思いをする。これぞ黒!
この能力だけでもイケているのに、2マナ3/2にシャドーという攻撃面でもかなり頼りになるスペック。墓地対策が効かなくとも殴りに徹すればそれだけで対戦相手にとっては厄介極まるもの。それに《思考囲い》で強いカードを捨てさせてそれをいただくという、もはやコンボとさえいえる動きもあるからね。ラガバンと並ぶパワーカードで、黒ければ使っておけの精神でも良いかもなぁというレベルだ。
墓地を制するものはゲームを制する、と言っても過言ではない現モダン。自分はたっぷりとその甘美を味わい、対戦相手からは搾り取る。こんなスタイルのデッキ、良い結果に繋がるんじゃないかな? さあ、『モダンホライゾン2』から君もモダンを始めてみよう!
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