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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ランドスティルを継ぐデッキ:長期戦への愛は永遠(レガシー)
永遠に続くものはないというが、果たしてそれは真実だろうか。
このコラムで話すのであればデッキの話になるわけで。マジックのデッキというものがいつまでも同じ状態で存在し続けるということは難しいかもしれない。フォーマットの変遷、ルールの変革、新たなるカードの出現。数々のイベントを経て、デッキというものは時に姿を消し、また復活することもある。いずれにせよ、栄華を誇ったデッキがいつまでも頂点に君臨し続けるということはない。たとえ、その名が永遠を示すエターナル環境であってもだ。
エターナル、すなわちレガシーとヴィンテージはマジック黎明期から今日に至るまですべてのセットが使用可能で、いつまでも在りし日のカードがプレイ可能という形で永遠を体現している。
ただ、このフォーマットは意外にも最新セットの影響を受けやすい。カードの選択肢が広い分、新しいカードが参入した場合そのポテンシャルを引き出すカードも多い。多くのデッキはそのエース格をここ2~3年のうちにリリースされたカードに置き換えているほどだ。そういう意味で、いつまでも同じ構成のデッキで勝利するということは難しい。永遠に続くデッキなどないのだ。
とはいえ、それは悲観的な側面だけでなくポジティブな面もある。時代に埋もれていったデッキが、新カードによりテイストを一新させて復活することもあるのだ。今日はそんな復活デッキを紹介しよう!
2 《平地》 3 《島》 1 《山》 1 《神秘の聖域》 1 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《沸騰する小湖》 1 《ヘリオッドの高潔の聖堂》 1 《カラカス》 3 《虹色の眺望》 -土地(20)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《永久のドラゴン》 -クリーチャー(4)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 4 《行き詰まり》 3 《否定の力》 2 《至高の評決》 4 《意志の力》 3 《サメ台風》 3 《虹色の終焉》 2 《時を解す者、テフェリー》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(36)- |
3 《石鍛冶の神秘家》 1 《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》 1 《ヴェクの聖別者》 2 《外科的摘出》 1 《真髄の針》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《引き裂き》 1 《血染めの月》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
このリストについて紹介する前に、まずは在りし日の「ランドスティル」というデッキについて説明しておこう。
ランドは土地、スティルは《行き詰まり》のこと。
このエンチャントは、出しておけば対戦相手が呪文を唱えることを躊躇する。思い切って何か仕掛けてきた場合、こちらはこれを生け贄に捧げて3枚カードを引ける。たった2マナでこのアドバンテージは凄まじいもので、そうやって引いてきた《意志の力》で相手が覚悟を決めて唱えた呪文を打ち消したりしてゲーム展開を掌握するコントロールデッキである。
ただ、この《行き詰まり》戦術はこちらからも呪文が唱えられなくなってしまうが、そこで土地の出番。《ミシュラの工廠》を出して、これを起動して攻撃。土地を出しているだけなので《行き詰まり》は誘発しない。同じく呪文を唱えるわけではないのでノーリスクな《永遠のドラゴン》のサイクリング&回収で土地を得続け、一方的なゲームを仕掛けていく。しびれを切らした相手が動こうものなら3枚ドロー、たまったもんじゃないな。
長期戦好きに愛されたデッキであったが、この戦術も時代の変化とともに廃れていって今日では滅多に見かけないデッキとなった。
そして2021年、このリストが「ランドスティル」を蘇らせた。キーカードの《ミシュラの工廠》が入ってないじゃないか、というところだが……その設計思想はしっかりと引き継がれている。『モダンホライゾン2』の数々のカードがこの古のコントロールを2021年に引き戻したのだ。
まずは《永遠のドラゴン》、このカードは非常に味わい深く古くからのファンも多いが、現在のレガシー環境では少々悠長すぎるという弱点からその活躍は永遠のものではなくなってしまった。だが、このドラゴンを愛した皆の思いは永久に不滅!と言わんばかりの《永久のドラゴン》が登場だ。
先代と同じく平地サイクリングを持ち土地を得させてくれ、そして墓地から戦場にトークンとして出る永遠能力を持っている。《永遠のドラゴン》に永遠をつけるとはなんとも洒落が効いてるね。
《永久のドラゴン》の永遠は能力なので《行き詰まり》が誘発しない。なので蓋をしている状況から一方的に良いサイズのクリーチャーを展開して攻めていけるのだ。《サメ台風》のサイクリングと併せて、これら呪文でないクリーチャーたちで《行き詰まり》ロックを一方的なものにするのは、かつての《ミシュラの工廠》が行っていたそれと同じ仕事なのだ。
そして《サメ台風》《行き詰まり》による一方的なゲームを後押しするのが《ヘリオッドの高潔の聖堂》。
この土地はライブラリーの一番上に墓地のエンチャントを置くという、《ヴォルラスの要塞》《アカデミーの廃墟》に続くサイクルの1枚だ。多くのプレイヤーが待ち望んでいたもので、これにより《行き詰まり》を何度も回収してトップに置き続けるという、対戦相手からすれば地獄に等しい長期戦の構えを取れるようになった。《行き詰まり》を貼った後は《サメ台風》を毎ターンサイクリングしては回収し、サメを並べ続ければ素敵なことになるね。
メインの戦術とは直接的関係はないが、《虹色の終焉》もレガシーにもたらした影響は大きい。
1マナのクリーチャーやアーティファクトには{W}のみで唱えて追加の《剣を鍬に》のように用いて、相手のデッキによっては2色3色で唱えてもっと大きいものに対処しよう。そのために《Volcanic Island》と《山》が採用されているというわけ。これらはサイド後にも赤い打ち消し呪文や《血染めの月》を唱えるのに役立つので無駄にならない。
レガシーであれば《虹色の眺望》などのフェッチランドがあるので色を足すのはそれほど難しいことではなく、この手のデッキは2色を軸に3・4色目をチョイ足しすることであらゆるパーマネントに対処可能という美味しいところを享受できる。土地以外であればなんでも追放できるので、《虚空の杯》などの苦手なカードにもメインから難なく対処可能なのが偉いね。
かつての「ランドスティル」愛好家にはぜひとも試してみてほしい。新時代の、でもどこか懐かしい《行き詰まり》コントロールを紹介させてもらった。《行き詰まり》の呪文を唱えれば損をするという部分を自分だけ無視して、ドラゴンやサメを展開するゲームは一度体験すればクセになるかも。
レガシーの懐かしいデッキを『モダンホライゾン2』が復活させていく流れ、まだまだありそうな気がするなぁ。
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