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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:電位式ストーム(レガシー)

岩SHOW

 「今週のCool Deck」、連載始まって以来のギブアップ宣言!?

 いやもうね、選べませんッ! こんなのどのデッキもクールでどうしようもないじゃないかと。『モダンホライゾン2』リリース直後に書いているのだけれども、もう新カードを採用したデッキがあるわあるわ。モダンだけでなくレガシーでも、新カードは大活躍。新しいカード、新しいデッキ、新しい戦術…目に映る全てがクール! たまりませんなぁ~嬉しい悲鳴というやつかな。

 どれもこれも紹介したいが、誌面とスケジュールの都合で1つ選ばなければならない……悩んだ末に、今週、私岩SHOWが個人的に最もクールだなと感じたデッキを決めさせていただきやしたッ! リスト拝んで驚きやがれ、レガシーで新旧ホライゾンが交錯するッッ!

Martin Eriksen - 「電位式ストーム」
レガシー (2021年6月6日、~『モダンホライゾン2』)[MO] [ARENA]
1 《
1 《Volcanic Island
1 《Taiga
4 《沸騰する小湖
-土地(7)-
 
-クリーチャー(0)-
4 《金属モックス
4 《オパールのモックス
4 《水蓮の花びら
4 《ライオンの瞳のダイアモンド
3 《ウルザのガラクタ
3 《ミシュラのガラクタ
4 《ギャンブル
4 《炎の儀式
4 《一攫千金
1 《信仰無き物あさり
4 《燃え立つ願い
4 《防御の光網
3 《電位式リレー
4 《創造の歌
3 《永劫のこだま
-呪文(53)-
2 《ザンティッドの大群
3 《自然の要求
2 《蒸気の連鎖
1 《信仰無き物あさり
1 《破壊放題
1 《ぶどう弾
1 《紅蓮地獄
1 《巣穴からの総出
1 《恭しき沈黙
1 《苦悶の触手
1 《永劫のこだま
-サイドボード(15)-
Martin Eriksen氏のTwitter より引用)

 

このクールなデッキは?

 このクリーチャーやプレインズウォーカー不採用、かつ土地の枚数が異様に少ないリストを見ればわかる通り、このデッキはコンボだ。

 コンボにもいろいろと種類はあるが、このデッキは「ストーム系」に属する。ストームという能力は、それを持つカードを唱えた際にそのターンにその呪文より前に唱えられた呪文の数だけコピーを作成するというもの。2つの呪文を唱えてからストーム持ちを唱えれば、コピーが2つ生まれて計3つの呪文が解決されることになる。

 増えれば増えるほどその威力が高まるので、ドロー呪文とそれらを唱えるためのマナ加速で構成するというのがストームデッキの定石であり、このリストもそれに倣っている。

 《暗黒の儀式》《むかつき》《苦悶の触手》で構成された「むかつきストーム」はレガシーでも歴史の長いデッキだが、このストームデッキは黒主体のそれとは異なり赤がメインになっている。それでは詳細を見ていこう。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:それは赤い《精神の願望》か《むかつき》か

 かつて最強のストーム呪文と謳われ、レガシーにて現在でも禁止されている呪文がある。《精神の願望》だ。

 ライブラリーの一番上のカードを公開してそれをマナを支払わずに唱えられるというデンジャラスな1枚で、マナ加速とドローの連打からこれを唱えるだけで後は自動的に勝利というデッキが横行した時代があった。

 さすがにそれほどの強さのカードがもう作られることはないと思われるが……この度『モダンホライゾン2』で調整された《精神の願望》とでも呼ぶべき1枚が登場した。《電位式リレー》だ。

 まず、なんとなくわかるけどもよくわからない名前がクールだ。このストーム呪文は願望と同様にライブラリーの一番上のカードを追放し、次の自分のターン中それを唱えられるようになる!……ただしマナは真面目に支払ってねという、言うなればドロー呪文の変化球的なデザインが施されている。その分3マナと軽いので、ストームデッキには組み込みやすい。

 追放したカードをプレイできるのは次の自分のターンであるため使ったターン中のストームを爆発的に増やす訳ではないが、例えば《金属モックス》《オパールのモックス》《睡蓮の花びら》などのマナを生み出す0マナのマナ・アーティファクトを連打した後にこれを唱えると、次のターンには潤沢なマナと擬似的な新しい手札を用意した上で連鎖に入ることができるという寸法だ。

 ストームを稼ぐ途中でトドメをさせないことが判明しても、次のターンに十分な望みを繋げられるのも素晴らしいところ。最後は従来のストームデッキと同じく、《燃え立つ願い》からサイドボードにある《苦悶の触手》《ぶどう弾》《巣穴からの総出》のいずれかを引っ張ってきてジ・エンドだ。

 《精神の願望》的でもあり、一風変わった《むかつき》のような運用にもなる《電位式リレー》。このカードのために盤面に疑似《睡蓮の花びら》を残しつつストームを稼げる《一攫千金》まで採用されているのがクールだな。

クールポイントその2:交錯する地平線

 《電位式リレー》に加えて手数を稼ぐ手段は《創造の歌》。

 0~1マナの呪文を連打してマナを得ているだけでそれの使い道を得られる。《一攫千金》も0マナ2枚ドローとして機能するわけだ。

 この歌とリレーでも十分そうだが、このデッキにはさらにアドバンテージを得る手段が。初代『モダンホライゾン』より《永劫のこだま》である。

 お互いの墓地と手札をリセットして7枚引こうという派手なソーサリーで、普通に唱えれば6マナと重いが墓地からフラッシュバックでなら3マナと手ごろなコストで唱えられる。

 レガシーならではのコンボが、これと《ライオンの瞳のダイアモンド》の組み合わせだ。

 ダイアモンドを起動して手札を全て捨てて3マナ得て、それにより捨てられた《永劫のこだま》をフラッシュバックさせるという2枚コンボである。

 これでいざという時は手札を7枚得られるし、使い切りのマナ加速もライブラリーに戻るので、ストームを繋げられる可能性はかなり高まる。「モダンホライゾン」の1と2がこういう形で共演するって、なんだかクールじゃないか。

 《ギャンブル》でこだまをサーチしてきてそのまま捨てて、それをフラッシュバックで唱えるというクールすぎるプレイも決めてみたいところ。

 対戦相手も7枚カードを引くというのが気になるところだが、その点も抜かりはない。《防御の光網》をメインから4枚バッチリ採用し、対戦相手がカードを引いても打ち消しでコンボを妨害してくる心配はグッと抑えられるぞ。

クールなまとめ

 《電位式リレー》と《永劫のこだま》、モダンホライゾンのバトンは繋がっていく。《電位式リレー》はまさかのコモンというのもあって、入手もしやすいのが嬉しい。さらにコモンであればパウパーでも使用可能ということで、モダン・レガシー・パウパーとクールなデッキが誕生していきそうな予感だ。地平線からやってきた嵐が吹き荒れるのか?

 それでは今週はここまで。Stay cool!! Play with storm!

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