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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ドメインZoo:版図新時代(モダン)

岩SHOW

 『モダンホライゾン2』のカードを眺めた上での感想は……前作もそうだったが、新しいんだけど懐かしい、懐かしいんだけど新しいカードが満載だなと。

 このセットのための新しいキーワードなどは基本的には登場せず、既存の能力をベースにそれらを組み合わせたり発展させたもので、全く新しいカードを作っている。デザインだけでなく固有名詞やイラストなどの点からも、過去に登場したカードの後継というのが一目でわかるカードがあると、なんだか不思議な気持ちになるね。ちょっとしたタイムトラベルだ。

 今回のセットで特に懐かしいと思ったのは「版図」。この能力がここにきて再び新カードに与えられるとはね。コントロールしているパーマネントの基本土地タイプの種類数に応じて効果が変わるカードのことであり、『インベイジョン』ブロックで大きく取り上げられた、

 当時は版図という能力名はまだ付けられていなかったが、《連合戦略》などのカードを中心に5色デッキを組むのに熱中したのを覚えている。

 版図と言えば『インベイジョン』ブロックというプレイヤーの刷り込みに応えるかのように、『モダンホライゾン2』には当時を連想させる版図カードが収録されている。それらの名にはカヴーだのドラコだの懐かしい名が……今日はそんな版図カードを使ったモダンのデッキを紹介だ!

AlpInco - 「ドメインZoo」
Magic Online Modern League 5勝0敗 / モダン (2021年6月7日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《聖なる鋳造所
1 《寺院の庭
2 《蒸気孔
1 《繁殖池
1 《踏み鳴らされる地
1 《インダサのトライオーム
1 《ゼイゴスのトライオーム
4 《溢れかえる岸辺
4 《血染めのぬかるみ
4 《樹木茂る山麓
-土地(23)-

4 《縄張り持ちのカヴー
4 《フェールス・ロキーリク将軍
4 《カマキリの乗り手
4 《断片無き工作員
4 《血編み髪のエルフ
4 《ドラコの末裔
-クリーチャー(24)-
4 《稲妻のらせん
4 《部族の炎
4 《魔力変
1 《レンと六番
-呪文(13)-
1 《湧き出る源、ジェガンサ
-相棒(1)-

4 《浄化の野火
3 《呪われたトーテム像
3 《安らかなる眠り
4 《虚空の杯
-サイドボード(14)-

 

 名前も能力もインパクト満点な《ドラコの末裔》!

 あの伝説の{16}というコストを誇る《ドラコ》の血筋に名を連ねるアーティファクトのドラゴンだ。{12}というとてつもないコストと、版図でそのコストを軽減する能力は先祖から譲り受けている。

 コストが下がった分、サイズ自体は縮まったが、5種の基本土地タイプを有していれば{2}で4/4飛行が得られるのは十分に強力。

 さらにこの末裔は、他の各色のクリーチャーに能力を与える。これもなかなかイケており、青の呪禁や黒の絆魂はゲームを決定づけるレベルだ。

 版図デッキと言えばモダンの「ドメインZoo」。Zooとは《野生のナカティル》など1ターン目からクリーチャーを展開して、あっという間に押し切るアグレッシブなデッキ。土地のタイプを要求するナカティルなどを運用すると同時に《部族の炎》を採用し、これで5点ダメージを対戦相手に撃ち込んでの早期決着を狙ったタイプが「ドメインZoo」だ。

 このデッキはそれに《ドラコの末裔》を放り込んだような形ではあるが、ナカティルなどの1マナクリーチャーが不採用なのでZooと呼ぶかは微妙なところだが……《カマキリの乗り手》などドメインデッキの常連が名を連ねている。末裔が居れば乗り手に先制攻撃と呪禁がついてくるのはかなりアツいね。

 デッキとしては「ドメインZoo」に準じるもので、2ターン目からコストパフォーマンスに優れるクリーチャーを続々と展開して攻撃し、相手のクリーチャーは《部族の炎》《稲妻のらせん》で除去。

 あるいはこれらを対戦相手に撃ち込んで、最短ルートでライフを削り切ることを目指す。

 1ターン目には《溢れかえる岸辺》などのフェッチランドで、《インダサのトライオーム》か《ゼイゴスのトライオーム》を持ってくるのが基本の動きで、それらの3つのタイプに当てはまらない2タイプを持つ土地を2ターン目に出すことで最速ドラコが可能となっている。

 ドラコと同じく2マナ域のクリーチャーとして採用されているのは《縄張り持ちのカヴー》。

 基本土地タイプの数のパワー/タフネスになるので、2ターン目に5/5が降臨するというのはパワフル極まるね。

 攻撃することで手札の入れ替えか墓地対策が行えるという強すぎるオマケ能力も持っていてビビる。ドラコと並べば先制攻撃とトランプルも持つので、相手のブロックを許さない破壊神の誕生だ。

 3マナ域は《カマキリの乗り手》と、あとは新カードが担う。《断片無き工作員》はついにモダンにやってきた待望の1枚。

 続唱で2/2+カヴーか非クリーチャー呪文のいずれかが得られるというアドバンテージは強烈だ。4マナ域の《血編み髪のエルフ》とともにデッキのアドバンテージ稼ぎ役を担っている。

 そして完全新カードの《フェールス・ロキーリク将軍》!

 単色の除去を受け付けない除去耐性も頼もしいが、タフネス1なので少々攻撃はしにくい。その代わり、多色の呪文を唱えれば4/4のゴーレムを生成する。この能力、ちょっとブッ飛んでるよね(笑)。

 これのために1枚では何かするわけでもない《魔力変》を採用している。

 手札もマナも減らさずに多色の呪文を唱えるという条件を満たせる。これから他の多色呪文に繋げてゴーレム軍団をズラリと並べれば殴り合いではもう負けない。これだけ強けりゃ伝説でも4枚採用して何も問題ないね。

 『モダンホライゾン2』、つくづくパワフルなセットだなぁ。惚れ惚れするデッキを紹介させてもらった。もちろん、このデッキにも《血染めの月》のような1枚で機能不全に追いやられる弱点は存在するので、完全無欠というわけではないのがマジックの面白いところ。新デッキを使うか、狩る側になるか。いずれにせよ新しい体験がモダンで待っているぞ!

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