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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
グルール・アグロ:あの命令を使いこなせ(ヒストリック)
ドラゴンは命令するのがお好きらしい。多元宇宙でも武力と知力、双方で頂点に君臨するような生き物なので当然と言えばそうかもしれない。自身よりも弱く愚かな生き物を従えて命令を下す。
現在スタンダードやヒストリック、モダンなどでは《プリズマリの命令》がよく見られる。
プリズマリ大学の命令と見ることもできるが、その創始ドラゴンであるプリズマリ本人の命令と捉えることもできるね。
創始ドラゴンによる命令は、あるサイクルを思い出させる。『タルキール龍紀伝』の命令サイクルだ。
各氏族の長であるドラゴンたちによる命令サイクルは『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の命令と同じく2色の呪文である。そもそも命令は『ローウィン』が初出で、それらの共通点は《謎めいた命令》のように複数あるモードの中から望む2つを選んで使用するというもの。同じカードでも状況に応じてベストなモードで唱えられ、戦術の幅が出る強力な呪文たちである。
龍紀伝の命令サイクルも面白いカードだったよなぁと、ストリスヘイヴンの命令サイクルをプレイしながら思い出していたら……まさかの龍紀伝の命令がMTGアリーナに参入だ。『ヒストリック・アンソロジー5』には5つの命令が収録されたので、これで10種類のドラゴンによる命令サイクルを備えたファンデッキを組むことも可能となった!
というのは置いといて。この命令サイクルは2~5マナとコストに幅があり、当時強力なデッキを成立させたものや、あまり使われなかったものまで幅がある。最もよく見かけたもので、今でもモダンなどで使われているのは《アタルカの命令》だ。
モード呪文と言っても、この命令はほぼ同じモードが選ばれていた。対戦相手に3点ダメージ+自身の全クリーチャーに+1/+1修整と到達、で使うのだ。攻撃してブロックされなかったクリーチャーが1体いれば3+1=4点。2マナのインスタントとしては破格のダメージだ。
ブロックされなかったクリーチャーが増えるほどその威力は増していくし、なんだったら対戦相手にブロックさせた上でこちらのクリーチャーを強化し、一方的に討ち取ったり相討ちに持ち込んだりとコンバットトリックとして用いても強烈。コストパフォーマンスに非常に優れた、アグレッシブなデッキの必殺技なのである。
ヒストリックでこの《アタルカの命令》が使用可能になったというのは無視できることではない。このフォーマットにはすでに赤緑2色のアグロデッキがあふれており、それらはこのたび新たな武器を手に入れたのだ!
6 《森》 4 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《岩山被りの小道》 2 《ハシェプのオアシス》 3 《ラムナプの遺跡》 -土地(23)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《生皮収集家》 4 《炎樹族の使者》 4 《通電の喧嘩屋》 4 《砕骨の巨人》 4 《グルールの呪文砕き》 2 《運命の神、クローティス》 2 《探索する獣》 -クリーチャー(28)- |
4 《アタルカの命令》 2 《原初の力》 3 《エンバレスの宝剣》 -呪文(9)- |
2 《暴れ回るフェロキドン》 1 《運命の神、クローティス》 2 《変容するケラトプス》 3 《墓掘りの檻》 2 《マグマのしぶき》 2 《削剥》 2 《燃えがら蔦》 1 《ドムリの待ち伏せ》 -サイドボード(15)- |
スタンダードの「グルール・アグロ」と同じく、ヒストリックのそれもクリーチャーがデッキの大部分を占め《エンバレスの宝剣》で押し込む構成のものがよく見られる。
《ラノワールのエルフ》と《生皮収集家》という強力な1マナクリーチャーからゲームを始められるのがヒストリックならではだ。
それぞれにロケットスタートを演出してくれるもので、ラノワールスタートの場合は2ターン目に《グルールの呪文砕き》や《運命の神、クローティス》など3マナのカードで単体のパワーで勝負!
生皮スタートの場合は《炎樹族の使者》→《通電の喧嘩屋》と連打することでいきなり生皮が3/3に!
《炎樹族の使者》の連打は後の《アタルカの命令》の火力を底上げしてくれるしエンバレスのコスト軽減の頭数にもなるので、早いターンから積極果敢に展開しよう。
このリストはエンバレスの二段攻撃&トランプルの威力をさらなる高みへと引き上げる接死持ち、速攻にブロックを回避する能力も持つ《探索する獣》を採用しているのが特徴だ。
ラノワールから3ターン目に走らせると言うまでもなく強いものだが、このリストではラノワール以外にもこの「3ターン目に獣」という必殺ムーブを可能にする1枚がある。そう、それも《アタルカの命令》!
ほとんどの場合、対戦相手にダメージを与えつつクリーチャー強化で使うことを考えるカードだが、場合によっては2ターン目に《炎樹族の使者》から出たマナの使い道にして本体ダメージを与えつつ、土地を出すモードも選んで3ターン目に4マナ出せる状況を作るという使い方が最も勝利に貢献することもある。無理に狙わなくても良いが、上手くハマりそうな時には決めてみよう。
対戦相手がライフを得られないモードも、《稲妻のらせん》をプレイされた時に解決前にこれで唱えることでダメージ計算が狂わなくて済むという場面もあるだろう。
最強のダメージ優先モードでプレイすることが理想的ではあるが、状況によっては他の役目も果たせる。これぞモード呪文の最高峰、命令サイクルの真骨頂だ。
このリストとは異なり《集合した中隊》を用いる既存のグルールのスタイルも変わらず強く、中隊と命令の両方を採用している欲張りなリストまである。
モードを選ぶ命令のように、グルールもどんな形で組むかを選ぶ時代がやってきたのかもしれない。自分に適した形を見つけて、気持ちよくビートダウンを決めていこう!
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