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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アブザン・カウンター(ヒストリック)
変わらないものと変わりゆくもの。世の中のすべてのものがこれに大別されると思うが、マジックで考えてみよう。
たとえばパワーという概念は、マジックが生まれた最初のセットから今日に至るまで、変わることはない。しかし、そのパワーを取り巻く能力などは、時代を経るごとに変わっていく。
パワーが2以下を参照したり4以上だったり、セットを経るごとに取り扱っているテーマは変わらないのに、それぞれが全く別物として機能するよう常に変化を意識してデザインされたカードたち。これってさりげなく、すごいことだよなぁ。ヒストリックのような様々な時代のカードが集うフォーマットを遊んでいると、特に実感する。
さあデッキを組もう! 今日のテーマは○○だ! とカードフィルターで検索をかけると、そのバリエーションの豊富さや方向性、はたまたテーマ自体を取り扱う色の違いに驚かされることがある。
今回のデッキにおける変わらないものとは、+1/+1カウンター。クリーチャーに乗せることでそのサイズを永続的に修整するもので、これの存在が定義されてからその本質に変化は起こってはいない。
ただそれを扱うカードたちは、セットごとに千差万別。クリーチャーを成長させる緑が得意としているが、団結や武装を扱う白、吸血などにより増長する様を表現する黒にも、このカウンターを扱うカードは少なくない。
緑と白が+1/+1カウンターに関するカードを担当するセットもあれば、黒緑だったりはたまた白黒だったり。それらが一堂に集結するヒストリック、+1/+1カウンターデッキが今、面白い。
4 《草むした墓》 1 《花盛りの湿地》 1 《闇孔の小道》 4 《寺院の庭》 2 《陽花弁の木立ち》 2 《枝重なる小道》 3 《神無き祭殿》 1 《秘密の中庭》 1 《陽光昇りの小道》 1 《インダサのトライオーム》 -土地(20)- 4 《生皮収集家》 4 《石とぐろの海蛇》 4 《群れのシャンブラー》 3 《優秀な学徒》 4 《議事会の導師》 4 《光輝王の野心家》 4 《巻きつき蛇》 2 《ファートリの猛竜》 2 《光輝の学部長、シャイル》 2 《月皇ミケウス》 -クリーチャー(33)- |
4 《フレイアリーズの歌》 2 《テゼレットの計略》 1 《悪戦 // 苦闘》 -呪文(7)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 3 《アダントの先兵》 3 《思考囲い》 2 《血の長の渇き》 2 《耳の痛い静寂》 2 《消失の詩句》 2 《魔女の復讐》 -サイドボード(14)- |
クリーチャーに置かれるカウンターを増やす《巻きつき蛇》。『カラデシュ』時代には本当によく見た、間違いなく環境を定義する1枚だった。
そしてこの蛇と同様に+1/+1カウンターが置かれる個数を1つ増やす《議事会の導師》。
カウンター界の2大エンジンが揃っているのだから、このデッキは組まれべくして組まれたものと言えるだろう。
キーカードのわかりやすさから、デッキ内にはとにかくカウンターを置いてクリーチャーを強化する手段がてんこ盛りに採用されている。《群れのシャンブラー》のようにスタンダードでもお馴染みのものから、古いものでは初出が10年前の《月皇ミケウス》まで。
そんな中、最新のものから《優秀な学徒》が名を連ねているのは、マジックの歴史が今日まできちんと繋がっている感じがしてなんだか良いね。
出てくるときに置かれるカウンターの数が増え、死亡時に他のクリーチャーに置くカウンターの数も増えるので、2大エンジンとの相性は◎! 納得のチョイスだ。
デッキとしては《夢の巣のルールス》を相棒にした、2マナ以下で固めた構成。
だからといって侮っていると、蛇&導師でカウンターをモリモリに搭載したクリーチャーにひき潰されることになるだろう。
1ターン目《生皮収集家》から2ターン目に蛇or導師はロケットスタートだ。収集家に置かれるカウンターが増えているので2ターン目に3/3で攻撃が可能!
あるいは2ターン目に出すのが《ファートリの猛竜》でも同様に3/3を作り出せる。
収集家の能力を先に解決し、その後増殖するようにスタックに置くのを忘れずに。猛竜はその他カウンターが置かれた全員を強化する役目も担う。《テゼレットの計略》も同じくだ。増殖するカウンターの数も追加されるので、上手く展開してとんでもない戦場を作り上げてやろう。
このデッキのスピードと破壊力を倍増させるのが《フレイアリーズの歌》だ。
カウンターがまだ十分に置かれていないクリーチャーで攻撃しても、大きな成果は望めない。そこでそれらのクリーチャーからマナを得られるようにして、展開力を高めよう。
そうやって横に並べたクリーチャーたちを、Ⅲ章で強化して一気に勝負を決める。+1/+1カウンターが置かれるだけでなく、警戒・トランプル・破壊不能とあらゆる能力を付与してくれるので、これで全員攻撃! 警戒を持った《群れのシャンブラー》は攻撃しながらカウンターを増やす能力を起動できるのを忘れずに! この《フレイアリーズの歌》は増殖でカウンターを増やしてⅢ章能力までショートカット可能なのも把握しておこう!
+1/+1カウンターに関するカードと《巻きつき蛇》《議事会の導師》が噛み合うことで真価を発揮するデッキなので、やや動きにムラはあるのは事実だ。それでも《フレイアリーズの歌》を絡めて理想的な展開ができた際には、他のクリーチャーデッキではとてもじゃないが打ち勝てない強力無比なもの。一度使って、その爆発力に酔いしれてほしいね。
過去と現在の融合、これぞヒストリックの教科書のようなデッキで、まだまだ今後登場するであろう未来の+1/+1カウンターを迎え入れて強く面白くなっていくことだろうなぁ。
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