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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
オルゾフ・ブリンク(ヒストリック)
強いチャンピオンには強いカードがよく似合う。
昨年開催された世界選手権2019で優勝したのはブラジルのMPL所属選手であり、「PV」の愛称で知られるパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa。自身の最後の目標である世界王者の称号を勝ち取った。
え、最後の? そう、彼はこれまでのキャリアでグランプリやプロツアーといった競技シーンで幾度も上位入賞と優勝を重ねてきたのだが、世界選手権でもトップ8に複数回入賞するも、優勝は逃してきた。昨年、ハワイの地でついにその栄冠を勝ち取ったことで、これまで以上に世界中のプレイヤーからの尊敬を集める存在となったのだ。
そんなPVに与えられた世界王者の副賞は、自身が描かれたカードが作られるというもの。それは『ストリクスヘイヴン:魔法学院』に収録された《精鋭呪文縛り》だ。
3/1飛行と攻撃的なスペックに搭載された能力は、これまた相手にとってはイヤ~な手札追放。黒の手札破壊のように捨てさせたり追放して終わりというわけではなく、余分に{2}支払って唱えてねという疑似的な手札破壊だが、追放されたカードによってはその2マナが捻出できずに致命傷になったりもする。
対戦相手のペースを崩しながらパワー3で空から殴る、3マナにしてはかなり優秀なクリーチャーであり、まさしく歴史上最強のチャンピオンと呼ばれるPVに相応しい1枚に仕上がっている。
今日はこの《精鋭呪文縛り》を使ったデッキを紹介しよう。正直なところ、白くてクリーチャーが主体であればどんなデッキにも馴染む、構築を選ばないカードではある。つまりこれが主役になるデッキというよりは、さまざまなデッキの3マナの選択肢としてあっちこっちに引っ張りだこという形で活躍することになるだろう。
ただ、そんな中でも呪文縛りをとことん活かしきる構築をしているデッキを見つけた。フォーマットはヒストリックだ。
2 《平地》 2 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《孤立した礼拝堂》 4 《秘密の中庭》 2 《陽光昇りの小道》 1 《アーデンベイル城》 1 《ロークスワイン城》 2 《寓話の小道》 -土地(22)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《収得の熟練者》 4 《シルバークイルの口封じ》 3 《魅力的な王子》 2 《ドラニスの判事》 4 《精鋭呪文縛り》 4 《スカイクレイブの亡霊》 3 《聖堂の鐘憑き》 2 《貪欲なチュパカブラ》 -クリーチャー(30)- |
4 《儚い存在》 4 《思考囲い》 -呪文(8)- |
3 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《疫病造り師》 4 《致命的な一押し》 2 《墓掘りの檻》 2 《安らかなる眠り》 2 《ファイレクシアの闘技場》 -サイドボード(15)- |
《収得の熟練者》《聖堂の鐘憑き》と対戦相手の手札を攻めるカードが複数採用されている。
これらと呪文縛り、そして《思考囲い》で徹底的に手札を攻めるデッキ……でもあるが、それだけがこのデッキの本質ではない。
まず手札破壊系のコントロールとしては圧倒的にクリーチャーが多い。そしてそれらクリーチャーには共通点が見られる。そのほとんどが「戦場に出た時に○○する」と書かれた誘発型能力を持っているのだ。
その中でも《魅力的な王子》は、他のクリーチャーを追放して戦場に戻すため、クリーチャーの能力をもう1回誘発させられる。
この王子と同じ働きをするのが、このデッキの《思考囲い》以外の唯一の非クリーチャー呪文である《儚い存在》だ。
1マナという軽さで王子と同じくクリーチャーを出し入れできる。インスタントなので、対戦相手の除去を避けたり、攻撃クリーチャーをブロックした後に追放することでクリーチャーを失わずに攻撃を防いだりといったトリッキーなアクションが可能だ。
そして何より、反復がついているので、次の自分のアップキープにもう一度唱えられる。これで呪文縛りたちを何度も出し入れすれば、対戦相手の手札はグズグズだ!
このようにクリーチャーを出し入れする動きのことを「ブリンク」と呼ぶ。このデッキは「オルゾフ(白黒)ブリンク」と呼ぶのが良いだろう、クリーチャーをブリンクしまくり、ゲームをひっかき回す。好きな人にはとことん刺さるデッキだな。
呪文縛りたち手札干渉組以外には、ドローに繋げる《スレイベンの検査官》、クリーチャー除去担当《貪欲なチュパカブラ》。
パーマネントに対する万能除去である《スカイクレイブの亡霊》ももちろんフル投入だ。
これらを展開しつつ、必要であればブリンクしてアドバンテージを得ていこう。
注目の1枚は《シルバークイルの口封じ》。
直接的に盤面に影響を及ぼすわけではないが、戦場に出た際にカード名を指定し、その指定したカードを対戦相手が唱えたらライフを3点失わせつつこちらが1枚ドロー。何の下準備もなくとも、対戦相手が1ターン目に《島》を置いてきたなら《渦まく知識》、のようにある程度相手のデッキを予測して、一番唱えてきそうなカードを指定するだけでもそこそこ強い。
これに《思考囲い》《精鋭呪文縛り》による手札確認が加わることで、その精度はバッチリ100%! その手に持っているカードを指定することで、イヤ~なプレッシャーをかけられる。そのカードがもう唱えられてしまったら、ブリンクして別カードを指定することで嫌がらせ続行も可能だ。
2マナでパワー3あって、対戦相手の攻撃クリーチャーと相討ちもしやすいし、ノンクリーチャーデッキ相手ならガンガン殴りにもいけるのが優れているね。
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のリリースによりヒストリック環境に誕生した新しいタイプのブリンクデッキ。《儚い存在》は他にもまだまだ使いまわして美味しいカードがあるし、今後もどんどんと出てくることは間違いないので、今後よく見る1枚となることだろう。《精鋭呪文縛り》もセットで、いろいろなデッキに出張する可能性は高いね。
世界チャンピオンの雄姿を、ぜひ君の盤面で目に焼き付けよう!
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