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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

クアンドリクス・ストンピィ(新スタンダード)

岩SHOW

 『ストリクスヘイヴン:魔法学院』リリース前のデッキ案、毎度おなじみのこのシーズンはワクワクが止まらないね。

 今回は2色がメインテーマのセットということもあって、金色の枠の多色カードが盛りだくさん、ビジュアル的にも眩しいセットだ。最近マジックを始めたプレイヤーにとっては非常にゴージャス、豪華絢爛なセットに見えるんじゃないかな。

 多色セットにも色々あるが、今回は対抗2色の組み合わせが5グループ登場。2色のカードというのは多色の中でもまだ縛りがマシな方で、それらを用いたデッキを組むハードル自体は低めだ。多色デッキを組む際には2色以上を供給できるレア土地が欲しいところだが、2色であれば最低限のもので済むのがありがたい、言ってしまえば基本土地オンリーでもなんとかなる。まあそれも、シンボルが薄いものに限る話ではある。

 どういうことかというと、同じ2色のカードでもそのコストにより多くの色マナシンボルを要求する、つまりシンボルが濃いカードは唱える難易度が高い。マナ総量(点数で見たマナ・コスト)とかそれ以前の問題でね。

 《研究体》は効果は絶大だが、その分シンボルが濃厚。これに比べて《ターナジール・クアンドリクス》は青と緑のシンボルが1つずつで、《》4枚《》1枚みたいな状況でも唱えられる。マナ・シンボルがそれぞれ1つずつくらいの薄さが、気軽に2色デッキを組ませてくれるカードってことだ。

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 ちょうどサンプルで取り上げた《ターナジール・クアンドリクス》、5マナ4/4飛行で、さらにクリーチャーのサイズに関する能力を2つ持っている。構築のハードルが低くて、かつクリーチャーで攻めるデッキを組みたいのであれば、このエルダー・ドラゴンが狙い目かも?ということで、スタンダードのデッキ案を考えていこう!

 戦場に出た際に対象のクリーチャーに置かれている+1/+1カウンターの数を倍にし、また攻撃時にすべてのクリーチャーの基本のパワーとタフネスを自身のそれと同じにするのがクアンドリクスの能力だ。基本のサイズというのは、呪文や能力やカウンターなどで修正されていない状態を意味する。

 たとえば《群れのシャンブラー》は基本のパワーとタフネスが0/0で、これに+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出るので実質1/1。

 これに対して《ターナジール・クアンドリクス》の能力を用いると……カウンターの数が倍になって2個、そして基本のサイズが4/4になるので、なんと6/6に! 十分に対戦相手を圧倒するスペックとなる。もちろんシャンブラーの能力でカウンターは増やせるし、クアンドリクス自身もカウンターを得て4/4よりも大きくなれば破壊力は更に増す。こりゃあ強そうだ。

 サンプルとして提示したシャンブラーを使うデッキと言えば、『カルドハイム』環境初期のスタンダードで活躍した「緑単アグロ」。「ストンピィ」とも呼ばれる形で、マナ・コストの軽いところから重めなところまで取り揃えたクリーチャーを毎ターン展開し、対戦相手に淡々と攻撃を仕掛けてサイズの暴力で圧倒するデッキだ。

 個人的にも、以下のようなリストを2月ごろは好んで使っていた。

岩SHOW - 「緑単ストンピィ」
スタンダード (2021年2月)[MO] [ARENA]
18 《冠雪の森
4 《ギャレンブリグ城
-土地(22)-

3 《群れのシャンブラー
4 《絡みつく花面晶体
3 《漁る軟泥
4 《カザンドゥのマンモス
4 《恋煩いの野獣
2 《老樹林のトロール
3 《水晶壊し
2 《探索する獣
2 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス
4 《石とぐろの海蛇
-クリーチャー(31)-
2 《吹雪の乱闘
2 《グレートヘンジ
2 《原初の力
1 《解き放たれた者、ガラク
-呪文(7)-

 この緑単色のデッキは、単色ゆえに色マナトラブルとは無縁の安定した動きを見せるのが強みではあるが、緑にできることしかできないという弱点も抱えている。

 シンプルに言えば、《ドゥームスカール》などを使ってくるコントロールや《出現の根本原理》を唱えられたら終わりとか、そういう話。この弱点をカバーするためにサイドボードに《否認》などの打ち消しを用意した、俗にいう「タッチ青」の構成を使用するプレイヤーもいた。

 そして今回、ストリクスヘイヴンのクアンドリクス大学からはそんな悩みを解決してくれる素晴らしい1枚がやってきた。《断固たる否定》だ。

jp_2DNh1vSJit.png

 打ち消しは欲しいが、メインから採用した場合にそういうものを必要としないデッキ相手には腐ってしまうかもしれない。同じくメインに採用している《吹雪の乱闘》などの格闘呪文は緑にとって貴重なクリーチャー除去だが、これもまたクリーチャーを出してこない相手には無駄な手札になってしまう。

 その問題を一挙に解決したのがこの《断固たる否定》。クリーチャー・デッキ相手には格闘を、そうでないデッキ相手には非クリーチャー呪文に対する打ち消しとして使えるモード呪文だ。どちらのモードも2マナの呪文として見た場合、コストからすればやや抑え目の性能ではあるものの、どんなデッキ相手にも活用することができるという万能さはそれを補って余りあるもの。

 この便利な呪文と、強力な《ターナジール・クアンドリクス》をデッキに投入してみると……

岩SHOW - 「クアンドリクス・ストンピィ」
スタンダード (『エルドレインの王権』~『ストリクスヘイヴン:魔法学院』)[MO] [ARENA]
12 《冠雪の森
4 《樹皮路の小道
2 《神秘の神殿
2 《蔦明の交錯
2 《ギャレンブリグ城
-土地(22)-

3 《群れのシャンブラー
4 《絡みつく花面晶体
3 《漁る軟泥
4 《カザンドゥのマンモス
4 《恋煩いの野獣
2 《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ
2 《水晶壊し
1 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス
4 《石とぐろの海蛇
3 《ターナジール・クアンドリクス
-クリーチャー(30)-
4 《断固たる否定
2 《グレートヘンジ
2 《解き放たれた者、ガラク
-呪文(8)-

 ざっと組んでみた「クアンドリクス・ストンピィ」。緑単のクリーチャー枠で変更した部分は《老樹林のトロール》。同じコストなら《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ》の方がデッキにマッチしているので交換だ。

 基本のサイズが0/0で+1/+1カウンターを4個以上持つクリーチャーなので、《ターナジール・クアンドリクス》で無茶苦茶デカくなる! 《解き放たれた者、ガラク》でトランプルを付けて大ダメージを叩き込みたいところ。

 他に《ターナジール・クアンドリクス》との相性でいえば……《恋煩いの野獣》は長所も短所もある。

 短所は分かりやすく、《ターナジール・クアンドリクス》の能力で4/4にサイズダウンする可能性があること。長所は出来事で生成した1/1の人間・トークンも4/4にしてしまえば打点は大きく伸びる点。野獣は攻撃する際に1/1をコントロールしていればよく、攻撃が決定した後に1/1のサイズが変わってしまっても問題は起こらない。野獣サイズダウンの件も、《ターナジール・クアンドリクス》のサイズが大きくなっていればプラスに転じるものなので、実際に気になったら+1/+1カウンターを追加する手段を探そうかなというところだ。

 また、《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》と《ターナジール・クアンドリクス》の相性は言うまでもないだろう。倍になるカウンターをヴォリンクレックスでさらに追加、勝てないゲームの方がおかしいって話だ。

 単体強化と全体強化をこなし、飛行持ちという点でもストンピィ・デッキに足りなかったものを埋めるポテンシャルの《ターナジール・クアンドリクス》。そして安心してメインから採用できる除去であり打ち消しである《断固たる否定》。

 これらを備えたデッキがどれぐらい戦えるのか、まずはシンプルなこのデッキを新環境で試してみつつ、《クアンドリクスの命令》などの他の新カードにも手を出していって、最終的にはガッツリ2色のデッキを組んでも良いかもな、と現時点では考えている。早く新カードで遊びたいッッ!

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