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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ナヤ・ルーン(スタンダード)

岩SHOW

 ルーンとは何か。僕はマジックで初めてこの言葉を知った。

 《黒の防御ルーン》など、なんとなく防護魔法的なものなのだろうと思っていた。《ルーンの母》が出てきて「え、誰のおかんなの?」となったのも懐かしい。

 ルーンとは古き時代の神秘的な文字のことであり、ファンタジーにおいては魔法が込められているというのを後から知って、いろいろと合点はいった。

 マジックのカードでもいくつか取り上げられたルーンは、『カルドハイム』にて独立したタイプとなった。パーマネントにつけるオーラであり、クリーチャーか装備品についているとそれに能力を与えるという共通点を持ったサイクルになっている。

 なぜこのセットでルーンが取り上げられたのかというと、古のルーン文字を用いたルーン魔術が北欧神話に登場するからだ。ルーンというタイプをデビューさせるにはここしかないだろう。

 できたてホヤホヤのルーンはまだ5種類しかないが、これとシナジーを形成するカードも同時に用意されている。《ルーン鍛えの勇者》だ。

 ルーンを1枚手札に加え、またルーンを{1}で唱えられてしまうという、アドバンテージと加速を1枚でこなすなかなかにすごいドワーフだ。ルーンはいずれも戦場に出るとカードを1枚引けるので、上手く繋がれば1マナでルーンを貼って引いてをザクザクと繰り返すことも可能だ。

 この可能性を感じるカードたちを使ったデッキのサンプルがこちら。

Victor Gerhardt - 「ナヤ・ルーン」
スタンダード (2021年3月22日)[MO] [ARENA]
5 《平地
1 《
1 《
4 《枝重なる小道
4 《針縁の小道
4 《岩山被りの小道
3 《寓話の小道
-土地(22)-

4 《無私の救助犬
3 《命の恵みのアルセイド
4 《卓絶した特使
4 《ルーン鍛えの勇者
3 《セテッサの勇者
2 《嵐の伝令
-クリーチャー(20)-
3 《歩哨の目
4 《強力のルーン
4 《速度のルーン
4 《持続のルーン
3 《きらきらするすべて
-呪文(18)-
4 《運命を紡ぐ者
2 《嵐の伝令
1 《長老ガーガロス
3 《乱動する渦
2 《戦茨の恩恵
3 《払拭の光
-サイドボード(15)-

 

 スタンダードのランク戦でミシックに到達したルーン・デッキのリストだ。「ナヤ・ルーン」と呼ぼうか、カラーリングは勇者の白に加えて赤と緑。それぞれの色にオーラと相性の良いカードがあって、またルーンの性能も良いということだな。

 使われているルーンは絆魂を与える《持続のルーン》、パワー上昇と速攻の《速度のルーン》、そしてパワー/タフネス両方の強化とトランプルを付与する《強力のルーン》。

 これらを勇者で{1}で唱えるだけでも十分に強そうだが、これに《卓絶した特使》が加わると……

 なんと{1}から{1}軽減されるので、ルーンを唱えるためのマナは{0}でOK! 2体並べばマナが無い状況からでもルーンの連打で速攻持ちのデカいクリーチャーを作って攻撃、なんて動きも可能なのだ。コンボ的な要素で、決まればかなり気持ちいい。

 勇者と特使とルーンだけでは枚数が足りないので、他にもオーラやそれと好相性のクリーチャーを採用してデッキに仕上げている。

 とりあえずルーンが与えられない警戒は《歩哨の目》でつけて、オーラデッキ最強の1枚となる《きらきらするすべて》は外せない。ルーンをベタベタと貼って、その火力を最大限に引き出そう。

 緑の《セテッサの勇者》はエンチャントが戦場に出ればサイズアップしてドローをもたらす。

 勇者ループを熱烈にサポートしつつ、デカくなったところに絆魂やトランプルを与えて殴りかかりたい。

 赤の戦力、《嵐の伝令》は対戦相手が除去に優れていた場合に戦況をひっくり返すとっておき。

 戦場に出た際に墓地のオーラをすべて拾って戦場に出せるので、これでルーンを戻してドロー、セテッサを育てる、《きらきらするすべて》で一撃必殺と、とんでもないことができてしまうポテンシャル。《空飛ぶ思考盗み》などで切削してくる「ローグ」デッキ相手にも一発逆転を演出してくれるだろう。

 オーラに頼るデッキは、それをつけるクリーチャーを破壊されると脆い。クリーチャーに複数のオーラがついている場合、相手の除去1枚でこちらは複数枚のカードを失うことになるからだ。それを防ぐために《無私の救助犬》《命の恵みのアルセイド》が用意できている状況で動いていきたい。

 逆に言えばこれらがいるだけで対戦相手はこちらのオーラ戦略を否定できないので、しっかりと対象を守りながらやりたい放題、戦場をルーンで彩っちゃおう。

 最後に、このデッキを使っていて遭遇したうっかりケースについて紹介しておこう。「スゥルタイ根本原理」との対戦中のこと。《出現の根本原理》はマナを支払わずに呪文を唱えるので、これへの対抗手段として《乱動する渦》をサイドイン。

 根本原理を使うと10点喰らって吹き飛ぶというわけだ。設置しておくだけでライフも削ってくれてクリーチャー除去で破壊されないダメージ源としてもカウントできる。

 3ゲーム目、お互いに死力を尽くしたゲーム展開となり《乱動する渦》で両者ライフは危険域に。そこでドローに恵まれ、6マナある状態で《ルーン鍛えの勇者》&《卓絶した特使》が手札に。ここで仕掛けるぞと、両方戦場に出して《速度のルーン》を持ってくる。これで速攻を付けてパンチ!と思ったら、こちらのライフが0になっていた。

 ……え?と思ったら、そうか《乱動する渦》が自分に刺さったのかと。勇者でコストが{1}になり、それが特使で{0}になった。コストが{0}ということはマナを支払っていない、爆発しやがれ!ってことですね。理解するのにちょっと時間がかかってしまった……

 これ、勇者がいる状態でルーンを唱えるとついつい本能的にルーンのコストを{1}として唱えることを選んでしまうが、別にコストを置き換えずにそのまま支払ってよいので、先ほどのケースは勇者と特使で計5マナ、残った1マナで特使により軽減された通常コストのルーンを唱えていれば勝っていたのだ。そもそも自分のライフがそこまで減るようなゲーム展開になった時点でもうアカンというのもあるが、気をつけていれば良かったなぁと。

 1人でも同様の被害に遭ううっかりさんがいなくなることを願って、ここに記しておこう。

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