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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
サイクリング・デッキの最盛期(スタンダード&ヒストリック)
1 《島》 1 《山》 4 《ラウグリンのトライオーム》 1 《サヴァイのトライオーム》 4 《河川滑りの小道》 4 《連門の小道》 4 《針縁の小道》 -土地(19)- 4 《繁栄の狐》 4 《ドラニスの癒し手》 4 《ドラニスの刺突者》 4 《雄々しい救出者》 4 《アイレンクラッグの紅蓮術師》 1 《常智のリエール》 -クリーチャー(21)- |
4 《血の希求》 4 《型破りな協力》 4 《驚くべき発育》 4 《天頂の閃光》 4 《願い与えの加護》 -呪文(20)- |
3 《レッドキャップの乱闘》 2 《魂標ランタン》 3 《ガラスの棺》 2 《否認》 2 《切り裂かれた帆》 1 《軽蔑的な一撃》 2 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
当コラムには珍しい、ド頭にデッキリストを持ってくるスタイルで幕開けだ。
こちらはスタンダードの「ジェスカイ・サイクリング」。所定のコストを支払い手札からそのカードを捨てることでカードを1枚引く、「サイクリング」と呼ばれる起動型能力。僕がマジックを始めたころから存在する能力で、かれこれ20年以上このゲームに存在し続ける歴史ある能力だ。
サイクリングは、それ単体では手札を入れ替えているだけである。なので何回行おうが、盤面に変化は起こらない。ただ、サイクリングにはそれを行った際にボーナスを与える能力を持った、シナジー(相乗効果)を形成するカードがいつも一緒にやってくる。
『イコリア:巨獣の棲処』では数々のサイクリングとともに《繁栄の狐》《ドラニスの癒し手》《ドラニスの刺突者》《雄々しい救出者》《常智のリエール》とサイクリングすると得するカードが多数やってきた。
もう約1年前のセットにはなるが、『イコリア』のカードをたっぷりと採用したサイクリング・デッキはスタンダードでも依然として強力デッキであり続けている。
上記のクリーチャーたちを展開したらサイクリング、サイクリング、サイクリング! 怒濤のサイクリング・ラッシュで手札を回転させつつゲームの主導権をたぐり寄せ、対戦相手のライフを追い詰める。
とどめは墓地のサイクリングの枚数分ダメージを与えられる《天頂の閃光》をぶっ放して終了!
また《アイレンクラッグの紅蓮術師》《型破りな協力》など、同一ターンの2回目のドローにボーナスを付与するカードも加わって、デッキとしては手堅く強いものに仕上がっているぞ。
2月末から3月上旬にかけて人気を集めたスタンダードのサイクリング・デッキだが、その熱はヒストリックにも飛び火した。『ヒストリック・アンソロジー4』のリリースにより、この環境でサイクリング・デッキを組む際の選択肢が1つ増えたのである。《炎刃の達人》だ。
この1マナクリーチャーはサイクリングするたびにパワーを上昇させる。かつてはモダンにおいて「ホロウワン」デッキの1番バッター的な役割を担っていた優秀なクリーチャーだ。《繁栄の狐》と違って強化はターン終了時までだが、威迫を持っているのでダメージを通しやすい。
そしてホロウワンこと《虚ろな者》もヒストリック環境に存在するので、ヒストリックにてモダンの一時代を築いた連中が再びタッグを結成することが可能だ。
達人と狐から始まり、サイクリングを連打して《虚ろな者》のコストを低下させてマナをほぼ支払わずに唱え、そして《天頂の閃光》でフィニッシュ! スタンダードよりもよりスピーディーに勝てる、ヒストリックの「ボロス・サイクリング」の登場だ。
4 《聖なる鋳造所》 4 《感動的な眺望所》 4 《針縁の小道》 4 《隔離されたステップ》 4 《忘れられた洞窟》 -土地(20)- 4 《炎刃の達人》 4 《繁栄の狐》 4 《ドラニスの癒し手》 4 《ドラニスの刺突者》 4 《雄々しい救出者》 4 《虚ろな者》 -クリーチャー(24)- |
4 《踏み穴のクレーター》 4 《血の希求》 4 《排斥》 4 《天頂の閃光》 -呪文(16)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》 -相棒(1)- 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《墓掘りの檻》 1 《レッドキャップの乱闘》 4 《不可解な終焉》 2 《切り裂かれた帆》 -サイドボード(14)- |
サイクリングをテーマとしたセットがイコリアに加えて『アモンケットリマスター』もあることがこのデッキを成立させている。『ヒストリック・アンソロジー2』に1マナでサイクリングできる土地が収録されているのも大きい。
これらをザクザク回していれば《虚ろな者》もコストが{0}になるし、4枚の土地と閃光という勝利のセット一式を引き込むことも容易というもの。
サイクリングの選択肢が増えたことでスタンダードの3色から色を1つ減らした白赤2色にまとまっている。狐&達人の8枚体制なので安定して1ターン目から展開可能で、マリガンも基準が厳しくなくゆるくやれるのが嬉しい。
1~2ターン目にクリーチャーを出したら3ターン目からはサイクリングを連続して行い、サイズアップしたり回復したり本体に直接ダメージを与えたりトークンを生成したり……これらを手札の枚数を減らさずに行えるので、サイクリングという行動は本当に強い。3ターン目に《虚ろな者》複数体ボンボンと出せたときの興奮ったらないね。
サイクリング・カードにおいて重要なのは、そのコスト。1ターンに複数回行いたいため、なるべくコストは安いもの、すなわち1マナのものを優先すべきである。それと同時に、いざとなったときにサイクリングではなく唱える価値のあるものであればなおのこと良い。
ヒストリックにはその条件を両方満たす《排斥》がある。
1マナでサイクリングできて、4マナで唱えれば万能パーマネント対策となる。立ちはだかるクリーチャーを除去してよし、《虚空の力線》のようなこちらの勝ち筋を潰すカードを取り除いてよし。普通に唱えるかサイクリングするか、先のターンのために取っておくか。この辺りの判断が求められるようになったので、そこはプレイを重ねて身につけよう。
同じくサイクリング・コストが安いために投入されている《踏み穴のクレーター》《血の希求》も、状況によっては唱えることもある。
《炎刃の達人》《虚ろな者》に速攻をつけたり格闘でブロッカーを排除して決着という盤面が作れたら、これらのカードは単にサイクリングするだけのものから化けるのだ。積極的にライフを詰めてチャンスを拡げよう。
ドローの偏りによるデッキが動かなくなる事態、通称「事故」に対する最低限の解決策として役に立つサイクリング。いつの時代、どんなプレイヤーにとっても好意的に受け止められてきた能力は、2021年現在メインコンセプトとしてデッキを組んでも強い、最盛期にあるといえる。対策されれば脆い面もあるが、逆にガードが下がればスタンダードで頂点を取りに来るだろう。
今後のセットでもサイクリングは増えるだろうから、ヒストリックでは末永くやっていくことだろう。パーツにコモン・アンコモンが多く、どちらかを揃えればもう片方も組みやすいので、これからデッキを作っていくアリーナ・プレイヤーにも勧められるね。さあ、あなたもレッツ・サイクリング!
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