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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラクドス&ジャンド・サクリファイス(スタンダード)
やっぱり生け贄は最高のようだ。
何を物騒なこと言うてるねんって話ではあるが、マジックにおける「○○を生け贄に捧げる」カードは、そのコストに見合った対価をもたらすものであった場合、広く使われるようになるってことだ。
中でも「クリーチャーを生け贄に捧げる」というコストを持ったカードは「上手く使ってくれよな」と言わんばかりで、それに噛み合うカードが揃っている状況であれば良質のデッキをもたらし、生け贄欲を満たしてくれる強力なものとなる。
『カルドハイム』で現れた生け贄カードは《イマースタームの捕食者》!
そのカッコよさから、リリース前にはヒストリックで《波乱の悪魔》などと組み合わせたデッキを提案させてもらった。
生け贄に際してマナが不要という、最高の生け贄カードに求めるものをきっちりと持ち合わせているのがこの吸血鬼・ドラゴンの良いところ。4マナという現実的なコストで、自身も3/3以上のサイズの飛行持ちとして攻防にて活躍出来る点が頼もしい。サクリファイス(生け贄)デッキの本場とも言えるヒストリックはもちろんのこと、スタンダードでも大いなる捕食者として暴れ回ることが期待されていた。
結果として、このイマースタームの生態系の王は、それに見事に応えたのだった。賞金制トーナメントでの不戦勝などの副賞がかかった大会にて見事6勝0敗というスコアを残したのが以下のリストだ。
7 《沼》 4 《山》 4 《悪意の神殿》 4 《荒廃踏みの小道》 4 《寓話の小道》 -土地(23)- 4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 4 《ぬかるみのトリトン》 2 《嘘の神、ヴァルキー》 4 《砕骨の巨人》 2 《悲哀の徘徊者》 1 《死の神、イーガン》 4 《イマースタームの捕食者》 -クリーチャー(21)- |
4 《初子さらい》 3 《村の儀式》 4 《ティマレット、死者を呼び出す》 2 《カズールの憤怒》 3 《アクロス戦争》 -呪文(16)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-相棒(1)- 3 《スカイクレイブの影》 3 《強迫》 2 《無情な行動》 2 《切り裂かれた帆》 2 《エルズペスの悪夢》 1 《ファリカの献杯》 1 《アクロス戦争》 -サイドボード(14)- |
捕食者4枚! 徹底ぶりが清々しい「ラクドス・サクリファイス」だ。
捕食者以外にも《悲哀の徘徊者》や《村の儀式》《カズールの憤怒》といったカードでクリーチャーの生け贄を狙う。
この手のデッキは、生け贄に捧げることでむしろ何らかの得をするクリーチャーや、使い減りしない墓地から戦場に戻れるクリーチャーなどと組み合わせたものであることが多い。
このデッキのメインデッキには勝手に生け贄になるのでコストに充ててしまった方がお得に使える《死の飢えのタイタン、クロクサ》は入ってはいるが、特別にそういった生け贄用カードを用意しているというわけではない。代わりに生け贄に捧げてもちっとも痛くないクリーチャーをコストにする。そう、対戦相手のクリーチャーだ。
《初子さらい》と《アクロス戦争》で対戦相手の戦力を奪い、そのコントロール奪取の期限が切れてしまう前に生け贄に捧げてしまうことで実質的な除去として用いる。
シンプルなクリーチャー除去との違いは、奪ったクリーチャーで攻撃して相手のライフに損害を与えられることと、捕食者のような生け贄に捧げるカード自体が戦力となるという点。相手のクリーチャーを減らすという防御的な動きと同時に攻めのアクションが行える、アグレッシブなコントロールと捉えることもできるってわけだ。
クリーチャーばかりで固めたデッキでこれと対戦すると、かなり厳しい。使用者はクリーチャーデッキが多いというタイミングを的確に撃ち抜いたことで大きな戦果を得たのである。
クロクサを使う以上、墓地にカードを貯める必要があるので切削を行うカードをなども用意してあるのもこのタイプのデッキのお約束だ。《ぬかるみのトリトン》《ティマレット、死者を呼び出す》で切削しながら、ついでにこれらのゾンビを生け贄にもしてしまおう。
で、墓地を貯める切削カードでありながら自身も貯まった墓地の使い道になる《死の神、イーガン》&《死の玉座》が採用されているのがなんともシブいね!
6/6接死というスーパースペックをたったの3マナでご提供。上手く働けばあっという間にゲームが終わるし、墓地が足りなくて維持できないってなったら死の神であろうが生け贄に捧げて、何らかのボーナスを受け取ってしまえば良いしね。
同じ神でいえばデッキカラーにもマッチする《嘘の神、ヴァルキー》&《星界の騙し屋、ティボルト》もデッキの良いアクセントになるだろう。
生け贄システムが整っていない序盤には、相手の展開を足止めするヴァルキーとして用いる。追放されたクリーチャーを取り戻そうと除去されるようなら《村の儀式》なんかで生け贄にしちゃおう。ゲーム終盤ではティボルトとして出して、相手のカードをジャキジャキ追放してこちらの戦力にしてしまおう。デッキコンセプトを推し進めるカードではないが、こういう便利な枠があるとデッキパワーが引き締まる。
上記のリストが勝った予選の先の賞金トーナメント。参加者314名にて争われた中、4位に入賞したのはラクドスに緑も加えた「ジャンド・サクリファイス」だ。
3 《沼》 2 《山》 1 《森》 2 《悪意の神殿》 4 《荒廃踏みの小道》 4 《闇孔の小道》 4 《岩山被りの小道》 4 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《スカイクレイブの影》 3 《嘘の神、ヴァルキー》 2 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 4 《砕骨の巨人》 4 《悲哀の徘徊者》 3 《イマースタームの捕食者》 3 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 -クリーチャー(23)- |
4 《初子さらい》 4 《村の儀式》 2 《カズールの憤怒》 3 《アクロス戦争》 -呪文(13)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-相棒(1)- 1 《仮面の蛮人》 2 《運命の神、クローティス》 1 《秘密を知るもの、トスキ》 2 《アゴナスの雄牛》 3 《強迫》 2 《無情な行動》 2 《エルズペスの悪夢》 1 《アクロス戦争》 -サイドボード(14)- |
緑が足されることでサクリファイス界の親玉《フェイに呪われた王、コルヴォルド》が使えるようになるのは大きなメリットで、これは3色化によるマナトラブルというデメリットを抱えるのに釣り合うものだ。
生け贄が発生すればドローしてサイズが大きくなるコルヴォルドのおかげで、たちまちにゲームを終わらせることができる。
その分デッキのスペースが割かれるので、クロクサを減らして切削系のカードは削除。サクリファイスに特化した分、複数回生け贄可能な《スカイクレイブの影》をメインから搭載する形に。
《漁る軟泥》など墓地へのアンチカードが多く見られると予想するのであれば、こういう形の方が安定してゲームを重ねられそうだ。
緑が足されたことで《仮面の蛮人》などのサイドカードでエンチャントにも触れられるようになったり、《秘密を知るもの、トスキ》でクリーチャーを出してこないデッキ相手にもプレッシャーをかけられるようになったりと、サイドボードの幅は大きく拡がっているのも見逃せない。
マナ不要でクリーチャーを生け贄に捧げる手段、そして対戦相手のクリーチャーのコントロールを得る手段。これらが噛み合ったとき、サクリファイス系のアンチクリーチャーデッキが誕生する。「緑単アグロ」のような一直線なデッキは苦戦することになるだろう。そういったデッキを使う場合は、対策手段をしっかりと用意しておこう。《蛇皮のヴェール》でコントロールを奪われないようにしっかりケアしたりね。
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