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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スゥルタイ・ティボルト(レガシー)

岩SHOW

 《嘘の神、ヴァルキー》はその名の通り嘘をつき、悪戯などはた迷惑なことを行う。しかしながら自身も嘘に騙されやすいというかおっちょこちょいというか、抜けたところがあり、そのせいでティボルトに騙されて《氷縛りの柱》に幽閉されてしまった。そしてティボルトはヴァルキーになりすまし、悪戯を超えた破壊的な行動に出るようになった。

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 《星界の騙し屋、ティボルト》との両面カードは、その変装した姿と正体とを上手く表現した1枚だ。ティボルトというキャラクターとその悪事が伝わってきてワクワクしてしまう。

 ヴァルキーは2マナのクリーチャーで、相手の手札からクリーチャーを一時的に追放できる、手軽に使えてアドバンテージも取れるのが魅力的。ティボルトはコストが重いが、こちらもまた追放したカードを唱えられるとあって、動き出したらゲームを制圧してしまえるパワーを持っている。

 余談だが、初登場が2マナ、2度目が3マナときて、一気に7マナまでコストが跳ね上がったプレインズウォーカーとはティボルトも希有な進化を遂げているね。

 ヴァルキーは軽くて強いクリーチャーを追放した際にはそのままゲームを終わらせる決定打となるだろう。ゲームが長引いて土地も多く並び、お互いに手札が尽きているような状態であればティボルトとして出してカードを追放しそれを唱えればいい。モードを持つ両面カードの中でも使い勝手はかなり良いものだが、ティボルトの面をなんとかして早いターンに用いて、ゲームを支配してみたいと思うのも人情だ。

 実はそれは、そんなに難しい話じゃない。レガシーでの実例を見てみよう。

Butakov - 「スゥルタイ・ティボルト」
Magic Online Legacy Preliminary #12256339 3勝1敗 / レガシー (2021年2月1日)[MO] [ARENA]
2 《冠雪の島
1 《冠雪の森
1 《冠雪の沼
2 《Tropical Island
2 《Underground Sea
1 《Bayou
1 《Volcanic Island
4 《霧深い雨林
4 《汚染された三角州
2 《新緑の地下墓地
1 《カラカス

-土地(21)-

4 《氷牙のコアトル
3 《嘘の神、ヴァルキー
4 《断片無き工作員
1 《自然の怒りのタイタン、ウーロ

-クリーチャー(12)-
3 《アーカムの天測儀
4 《渦まく知識
3 《思案
2 《思考囲い
1 《致命的な一押し
3 《突然の衰微
1 《森の知恵
2 《否定の力
1 《真冬
4 《意志の力
3 《王冠泥棒、オーコ

-呪文(27)-
1 《トレストの使者、レオヴォルド
2 《花の絨毯
2 《墓掘りの檻
2 《虚無の呪文爆弾
1 《致命的な一押し
1 《紅蓮破
1 《赤霊破
1 《突然の衰微
1 《真冬
2 《活性の力
1 《虚空の力線

-サイドボード(15)-

 

 両面カードのルールは結構細かい。特にヴァルキーとティボルトのようなモードを持つ両面カードの場合。これらはプレイする(カードを唱えたり、土地として戦場に出す)際にどちらの面でそうするのかを選ぶ。

 しかし普段の特性は第1面、今回で言えばヴァルキーの方を参照する。つまりライブラリーや手札にあるときは、2マナのクリーチャー・カードとして扱われるということ。2マナなので、《断片無き工作員》を唱えた際に誘発する続唱能力で公開された際に、それを唱えることができる。

 で、唱える際にはヴァルキーでありティボルトでもあるカードなので、どちらで唱えるかを選ぶことが可能――つまり、3マナの工作員から続唱したのに、なぜか7マナのティボルトとして唱えてもOK! 3マナで強力なプレインズウォーカーと2/2を戦場に降臨させるという、とてつもないコストパフォーマンスを体感できてしまうのだ。こりゃあやってみたくなる、やってみたくないってのは正直じゃない反応になってしまうよ。

 続唱+ヴァルキー/ティボルトのコンボをどのように狙っていくのか、これらが共存可能なフォーマットではいろいろと試みられているが、中でもレガシーにおける上記のリストはしっかりした、安定感のあるデッキに仕上がっているように見える。

 デッキ自体は昔からあった「Shardless BUG」。《断片無き工作員》を使うBlack blUe Greenカラーのデッキという意味で、続唱で《トーラックへの賛歌》などで手札を攻めたりしていたのが懐かしい。

 レガシーには《渦まく知識》《思案》《森の知恵》とライブラリーの順番を操作するカードがいくつもあるので、これらを使って手札を整えながら工作員の続唱で唱えたいカードを操作することが可能だ。

 これでヴァルキーを仕込めば万事OK。工作員の青と緑にヴァルキーの黒でデッキを組めばもともと強いカラーリングなので何も問題はなし。念のためにティボルトを真面目に手札から唱えられるように《Volcanic Island》を1枚と、基本氷雪土地と《アーカムの天測儀》がセットになっているのでぬかりなしだ。

 ドロー呪文で常に手札を状況に合わせてより良いものに置き換えながら、相手のアクションに対応していくコントロール気質のデッキだ。

 《意志の力》&《否定の力》の打ち消し陣に《突然の衰微》などクリーチャーやその他のパーマネントを処理する除去。

 そして相手のクリーチャーとアーティファクトを無力化すると同時に、こちらにも3/3を継続してもたらす驚異のフィニッシャー《王冠泥棒、オーコ》。

 これらでゲームを相手の思い通りには進めさせずに戦っていくのだが、ダラダラやっているとコントロールしきれない脅威が出てくる可能性があるので、続唱からのティボルトという決定打となるムーブを搭載しているのだ。

 ヴァルキーがなかったとしても、続唱からめくれるカードにハズレが極力出ないような構成になっているのも重要なポイントだ。特に《目くらまし》のような2マナ以下の打ち消し呪文が公開されたときは「アララ……」ってなもんである。クリーチャーがいないのに《致命的な一押し》が公開されてしまった、みたいなケースはある程度割り切れるが、なるべくこのような事態にならないよう、続唱ティボルトを狙うときにはデッキ構成に注意しよう。逆に《森の知恵》とかが突然降ってきたらそれは柏手叩いて喜んで良いやつ。少しでも工作員を強いカードとして用いるために《渦まく知識》の無駄撃ちには注意が必要だ。

 ヴァルキーとして使ってよし、ティボルトももちろんよし。さらにはコンボでマナの支払いを飛ばせばもっとよし。《嘘の神、ヴァルキー》と《星界の騙し屋、ティボルト》の両面カード、今後さまざまなデッキから飛び出す可能性があるのでヤツらから目は離さないように! 悪戯とかじゃすまない騙しに遭うぞ!

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