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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
スノー・ドレッジ(新パイオニア)
近年リリースされたもの中で、「こりゃあ強いわ」と言ってしまうクリーチャーをいくつか思い浮かべてほしい。それらの中にはおそらく、共通点を持った者たちがいるはずだ。
「暴れ回った」という表現がピッタリくるものとして《甦る死滅都市、ホガーク》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》をイメージした人もいたはず。
コイツらの共通点は、墓地から戦場に出せる。本来クリーチャーは手札から唱えて出すもので、もし墓地から戦場に出すのであれば《動く死体》のような専用のカードで一手間かけなければならない。その問題をホガークやウーロは自身の能力で解決してしまっている。何らかのカードのサポートもなく、それらが置かれているだけで墓地が第二の手札となるわけだ。そりゃあ強いね。
なのでマジックの新セットがリリースされる際には、自力で墓地から戦場に戻る能力を持ったカードがあるかをチェックすると、自ずとパワーカードを見つけられる……のではないかな。
日々期待が高まる新セット『カルドハイム』にもそんなクリーチャーを1体見つけられた。《背信の王、ナーフィ》だ。
《冬の神、ヨーン》デッキについて考えた際にその相方のひとつとして注目したカードだが、今日はこのゾンビ自身が主役だ。ナーフィは氷雪マナ3つを支払うことでタップ状態で戦場に戻る。氷雪という指定こそあれど、色は何でもよし。それで3マナで他のコストなし、というのは歴代の同様の能力持ちと比べても破格だ。本人が4/3と、相手のライフを脅かす存在になれて、同時に他のゾンビや氷雪持ちも強化する。
そしてショーケース版がシビれるほどカッコイイ。
こりゃあデッキを作るしかないだろう。ということでまずは既存の、墓地からクリーチャーを戻すのが得意なデッキをチェック。
2 《沼》 4 《草むした墓》 3 《湿った墓》 4 《花盛りの湿地》 4 《ラノワールの荒原》 3 《植物の聖域》 -土地(20)- 4 《縫い師への供給者》 4 《ナルコメーバ》 4 《サテュロスの道探し》 2 《屑鉄場のたかり屋》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《憑依された死体》 2 《州民を滅ぼすもの》 3 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(27)- |
4 《群れの結集》 4 《忌まわしい回収》 4 《這い寄る恐怖》 1 《悪戦 // 苦闘》 -呪文(13)- |
1 《再利用の賢者》 1 《トーモッドの墓所》 3 《思考囲い》 3 《暗殺者の戦利品》 3 《減衰球》 2 《究極の価格》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《悪戦 // 苦闘》 -サイドボード(15)- |
1年前に紹介した、パイオニアの「ドレッジ」デッキだ。
発掘/Dredgeとは名ばかりで発掘能力を持ったカードは1枚もパイオニアには存在しないのだが、《ナルコメーバ》や《秘蔵の縫合体》といったモダンなどのドレッジと共通のカードを扱い、墓地からマナを支払わずにクリーチャーを展開するという同様の思想のもとに作られたデッキなので慣例的にそう呼ばれている。
デッキには切削するカード、ライブラリーの上から墓地へとカードを置くカードとともに、墓地から戦場に戻ったり貯まった墓地を利用したりするカードがズラリ。真面目にマナを払って手札から唱えて、とやっていては決して成し得ないような早いターンにクリーチャーの大軍団を形成して押し切るというスタイルを用いる。ドレッジ系のデッキはリストが味わい深くて見ていて楽しいね。
で、眺めているとよくわかることがある。ゾンビが多めだ。最も効率よく切削を行ってくれるカードの1つである《縫い師への供給者》、墓地から戦場に戻る能力持ちの《憑依された死体》、他のクリーチャーが墓地から戦場に戻ると一緒に戻ってくる《秘蔵の縫合体》、墓地をコストに唱える《グルマグのアンコウ》といった面々がゾンビだ。
これらを強化するナーフィ、もしかしてデッキにうまく噛み合っているんじゃないか? 3マナで手札の損失などなしで、縫合体を引き連れて現れるのはやりよる予感がする。さっそくこのデッキにナーフィを組み込んでみよう。
4 《冠雪の沼》 4 《冠雪の森》 4 《冠雪の島》 2 《霧氷林の滝》 1 《森林の地割れ》 1 《氷のトンネル》 4 《寓話の小道》 -土地(20)- 4 《縫い師への供給者》 2 《墓所破り》 4 《サテュロスの道探し》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《憑依された死体》 2 《グルマグのアンコウ》 4 《背信の王、ナーフィ》 2 《死の神、イーガン》 -クリーチャー(26)- |
4 《三つの季節》 4 《忌まわしい回収》 2 《ナーフィ王の裏切り》 4 《這い寄る恐怖》 -呪文(14)- | |
我らがナーフィ王を使う関係で、土地は氷雪をベースに。なので、どうしてもパイオニア環境だと基本土地の割合が多くなる。氷雪の多色土地はタップイン固定なので、あまり多くの枚数を採るとデッキの動きが滑らかでなくなるだろう。
なので、ここは緑の墓地肥やし兼土地獲得カードを用いてカバーしよう。《サテュロスの道探し》と《忌まわしい回収》、そして新カード《三つの季節》だ。
いずれもライブラリーから墓地にカードを置きつつ手札に土地を加えることが可能で、これで3色のマナとナーフィ復活のための氷雪マナを確保しようという算段だ。
上記の土地入手カードや《縫い師への供給者》でカードを墓地に落とし込み、ナーフィか《憑依された死体》を墓地から戦場に戻し、その後を《秘蔵の縫合体》が追いかけ、戦場をゾンビで埋め尽くす。面展開で殴り合いを制すのだ。
ナーフィにより強化されるゾンビを展開しつつ、ナーフィたちを手札から墓地に落とすために《墓所破り》も使おう。ドロー能力もデッキのしぶとさに拍車をかけるはず。
これらとともに切削された際にライフ3点をもぎ取る《這い寄る恐怖》が絡めて相手に重圧をかけ続ける。
横並びの展開に長けたドレッジ系のデッキだが、別ベクトルの攻め手・つまり縦の展開も用意しておくと状況によっては有用だ。《グルマグのアンコウ》がその枠を担うが、さらにサイズが巨大な《死の神、イーガン》も使ってみたい。
3マナ6/6、ぶっちぎりのサイズは目をみはるものだ。1マナで《死の玉座》として唱えて、継続して切削できるのも魅力的だ。アンコウを唱えるのと同様、イーガンもまたナーフィたちのように墓地から戻る能力を持たないカードをザクザクと追放して維持しつつ、それら不要カードをしっかりと打点に変換してやろう。《ナーフィ王の裏切り》で餌を用意しつつこれらのカードを追放して唱えられたら万歳だ。
ナーフィとイーガン、墓地にまつわる『カルドハイム』の新顔はカードプールが拡がれば拡がるほど輝くデザインが施されている。スタンダードはもちろん、パイオニア・モダン・レガシーといろいろなフォーマットでそのポテンシャルを試してみよう。ヒストリックでも面白いデッキが組めそうだな!
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