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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

新シーズンの幕開けは赤単とともに(スタンダード&新スタンダード)

岩SHOW

 スタンダードの既存デッキの振り返りと、そこに加わりそうな『カルドハイム』新カードを考察するシリーズ。白緑緑単と続いたので今回は違う色を……赤でいこう。

 赤いデッキといえば自然と思い浮かぶのが赤単色のアグロ。赤は昔から1~2マナ圏にパワー2以上だったり速攻を持っていたりする攻めっ気あふれるクリーチャーがおり、対戦相手やクリーチャーにダメージを与える呪文、通称「火力」も豊富で、ゲーム開始から対戦相手の本体めがけて突撃していく短期戦を挑むデッキを得意としている。

 それだけではなく、火力として使ってからクリーチャーとして展開できる《砕骨の巨人》や、攻撃する度に相手のライブラリーを追放してそれを唱えられるようにする《義賊》など、戦闘能力に長ける上にカード1枚で2枚分以上働くアドバンテージ面で優れたカードも抱えている。

 そして極めつけは《エンバレスの宝剣》だ。

 二段攻撃とトランプル、勝ちに行くために欲しいキーワード能力を2個セットで付与するこの装備品を叩きつけてフィニッシュする。その光景をここ1年以上にわたって何度も目の当たりにしてきた。

Dario Del Gaudio - 「赤単アグロ」
SCG Tour Online - Satellite #6 優勝 / スタンダード (2021年1月9日)[MO] [ARENA]
17 《
3 《エンバレス城
-土地(20)-

4 《熱烈な勇者
4 《火刃の突撃者
4 《義賊
2 《リムロックの騎士
4 《鍛冶で鍛えられしアナックス
4 《砕骨の巨人
3 《灰のフェニックス
3 《朱地洞の族長、トーブラン
-クリーチャー(28)-
2 《ショック
2 《魂焦がし
4 《髑髏砕きの一撃
4 《エンバレスの宝剣
-呪文(12)-
3 《秘宝荒らし
2 《アゴナスの雄牛
3 《初子さらい
3 《乱動する渦
2 《魂焦がし
2 《アクロス戦争
-サイドボード(15)-
MTGMelee より引用)

 

 ちょっとやそっとのクリーチャー除去は《鍛冶で鍛えられしアナックス》の前では無力になってしまう。

 勢いにノリにノった赤単はどうやっても返せないものだったりする。好きなプレイヤーがずっと使い込んでいるイメージだね。すべては宝剣でのフィニッシュのために。

 前傾姿勢をとり続けるこのデッキにニューカマーとして加わる可能性のあるカードを、『カルドハイム』から探してみよう!

 北欧神話的世界観をベースにした次元カルドハイムにはファンタジー色の強い種族が住んでいる。《厚顔の無法者、マグダ》もそんな住人のひとりで、このカードからは赤のメイン種族がドワーフであることが見て取れる。

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 他のドワーフのパワーを1上昇させる、いわゆる「ロード」と呼ばれる強化能力の持ち主。それでありながらたったの2マナという軽さがマグダの魅力。2マナ2/1、アグロの一員らしいスペックで、他にドワーフが1体でもいれば実質3点のダメージ源。ドワーフがもっといればより高い打点を生み出すのでかなり強そうだ。

 『カルドハイム』以前の現スタンダードのセットにおけるドワーフの総数は4種類。数は少ないが、そのうち2種類が赤単には採用されている。2マナでパワー3あり、出来事でパワー強化インスタントとしても使える《リムロックの騎士》。そして《エンバレスの宝剣》と双璧を成す打点を押し上げ役《朱地洞の族長、トーブラン》だ。

 どちらも攻撃的なカードで、マグダでパワーを上げることには意味があるだろう。

 また、マグダにはドワーフが攻撃するたびに宝物を生成するという能力もある。軽いカードが主体の赤単にとっては宝物を得ることの価値はあまり重くないように見えるが、宝物を5つ集めてそれらを生け贄に捧げることで、アーティファクトかドラゴンをライブラリーから直接戦場に出すという第3の能力がこれに価値を持たせる。アーティファクトを持ってこられるということはもちろん、赤単の顔である《エンバレスの宝剣》を引っ張ってきてフィッシュが可能ってことだ。これは絵的にもカッコイイので、一度決めてみたいね。やみつきになりそうな予感。

 マグダの能力のために宝物を供給し、また自身がマグダのサーチ先になる完璧に噛み合っているカードとして、《黄金架のドラゴン》も検討に値するカードかもしれない。

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 5マナとアグロデッキにとっては重めではあるが、4/4飛行・速攻という残りライフ数点の相手に投げつけられるスペックはそそられる。攻撃するか呪文の対象になるとこのドラゴンも宝物を生成するので、マグダの能力を大きく後押し。コイツが宝剣をくわえて飛んでいくとエラいことになるな。ドラゴンを唱えるのにマグダの宝物を用い、ドラゴンの宝物をマグダが宝剣 or 新たなドラゴンに換える。それぞれ使うのであればセットでデッキに投入したくなるなぁ。

 赤単の強みのひとつは土地のトラブルがほとんど起こらないという点にもある。そりゃあそうだ、とりあえず《》さえ入れておけば問題が起こらないのだから。基本土地ばかりなので妨害も受けにくい。

 この、ほぼ基本土地を用いるという構成が《霜噛み》を有用な呪文へと昇華させる。

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 《》をすべて《冠雪の山》とすることで1マナの3点火力とできる。残念ながら対戦相手本体に撃ち込むことはできないので《稲妻》の再来とはいかないが、序盤に出てくるクリーチャーならほとんどこれで落とすことが可能だ。

 《怒りの神、トラルフ》もデッキ内に1枚くらい忍ばせたい。《霜噛み》や《魂焦がし》のダメージがうまく余剰になるように相手のクリーチャーに叩き込んでライフを追い詰めたいというのもあるし、《トラルフの鎚》として唱えても面白い。

カードをクリックで別の面を表示
 

 2マナを支払って装備したクリーチャーからはずすことで3点のダメージを飛ばし、手札に戻ってくる。繰り返し使える除去であり、膠着状態でも着実に相手のライフを削るフィニッシャーになり得る。2マナで唱え、2マナで装備させ、2マナで投げつける……と赤単にはコストが重荷ではあるが、《熱烈な勇者》であればその負担をほんのり和らげてくれる。かつての《ボガーダンの鎚》のように繰り返し使ってみたいもんだ。神としてのトラルフと《髑髏砕きの一撃》のキラーコンボも味わいたい!

 では、最後に上記のカードを採用し、『カルドハイム』色を強めた「赤単アグロ」のリストを貼ってお別れだ。実際に活躍するのがどのカードになるのか、答え合わせが楽しみだなぁ。

岩SHOW - 「赤単アグロ」
スタンダード (『エルドレインの王権』~『カルドハイム』)[MO] [ARENA]
17 《冠雪の山》※
3 《エンバレス城
-土地(20)-

4 《熱烈な勇者
4 《リムロックの騎士
2 《義賊
3 《厚顔の無法者、マグダ》※
1 《恐れなき解放者》※
4 《砕骨の巨人
3 《鍛冶で鍛えられしアナックス
3 《朱地洞の族長、トーブラン
1 《怒りの神、トラルフ》※
3 《黄金架のドラゴン》※
-クリーチャー(28)-
3 《霜噛み》※
1 《魂焦がし
4 《髑髏砕きの一撃
4 《エンバレスの宝剣
-呪文(12)-

※:『カルドハイム』収録カード

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