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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

緑単フード:新戦力は冬の到来とともに(スタンダード)

岩SHOW

 目前に迫る『カルドハイム』! ということで今回もこの魅力的な新セットのカードを、既存のスタンダードのデッキにどう取り入れていくかを考えてみよう。

 まず、既存デッキで活躍するカードの中でも、最強と形容することのできるカードは何か考えてみよう。スタンダードには強いカードがたくさんあるが、それらの中でも群を抜いて強力な1枚、単純なカードパワーで見て最強の名にふさわしいのは……《グレートヘンジ》! 異論もあるだろうが多くのプレイヤーは賛同してくれることだろう。

 タップして2マナと2点のライフを供給してくれる、緑のアーティファクトだ。クリーチャーが戦場に出た際にはそれに+1/+1カウンターを与え、さらにプレイヤーには1枚ドローまでもたらす。ゲーム終盤の《金のガチョウ》さえも無駄にならない、アドバンテージというものを体現した最強のエンジンである。

 9マナと大変に重いが、パワーの大きなクリーチャーを出して早いターンに置けてしまうと、そのまま相手と圧倒的な差が。「グルール・アグロ」などでも中核カードとして使われるが、これをフルに活用しているのはやはり緑単になってくるかな。

Platinum-Mythic Rank Player - 「緑単フード」
スタンダード (2021年1月4日)[MO] [ARENA]
15 《
4 《ギャレンブリグ城
2 《眷者の居留地
1 《這い回るやせ地
-土地(22)-

4 《金のガチョウ
4 《絡みつく花面晶体
2 《イリーシアの女像樹
4 《カザンドゥのマンモス
4 《恋煩いの野獣
2 《打ち壊すブロントドン
4 《意地悪な狼
4 《貪るトロールの王
2 《巨大猿、コグラ
-クリーチャー(30)-
2 《魔女のかまど
2 《パンくずの道標
4 《グレートヘンジ
-呪文(8)-
3 《鎖巣網のアラクニル
2 《漁る軟泥
2 《探索する獣
1 《魔女のかまど
2 《パンくずの道標
2 《原初の力
2 《怪物の代言者、ビビアン
1 《精霊龍、ウギン
-サイドボード(15)-

 

 《恋煩いの野獣》か《カザンドゥのマンモス》経由で4ターン目にヘンジ設置までいければブン回り。緑単色のアグロデッキで、食物シナジーも取り入れている形が現スタンダード環境において人気を集める形になった。

 《貪るトロールの王》《巨大猿、コグラ》といったカード1枚分以上の働きを見せる大型クリーチャーに繋げてジ・エンド。

 緑単色ながらコグラや《意地悪な狼》の格闘により他のクリーチャーデッキに対してしっかりと除去も持ち合わせている。そこに《パンくずの道標》やヘンジ、《眷者の居留地》などの手札獲得手段がしっかりと備わっているので長期戦もどんとこい。プレイしていて安心感のあるデッキだ。

 この「緑単フード」は現時点でかなり完成度が高いデッキである。ここに他のクリーチャーを追加するのは蛇足となるか、はたまたさらなる進化となるか。『カルドハイム』から浮上してくる選択肢をピックしてみよう。

 まずは前回でも取り上げた《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》。

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 緑の看板的神話レアはここでも活躍の可能性が。クリーチャーで殴り勝つことをゴールとするビートダウンにとって、速攻はかなり有用な能力だ。それがサイズも6/6と大きく、トランプルもあるとくれば言うことなし。自身のパーマネントに置かれるカウンターを増やす能力は、ただでさえ最強カードである《グレートヘンジ》の効果をさらに高める。《意地悪な狼》の能力も置かれるカウンターの数が倍になればかなりのプレッシャーになるだろう。

 除去耐性の高い《貪るトロールの王》、除去になる《巨大猿、コグラ》と枠を争うことになり、かつ6マナと重いカードではあるので枚数は入らないかもしれないが、ぜひとも試してみたい。

 より軽いコストで探してみれば、4マナ圏に食い込んできそうなパワフルなカードが。《エシカの戦車》だ。

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 猫・トークンを2体生成する機体で、搭乗4で4/4と単体で見た場合打点の向上はない。しかしこの戦車で攻撃することで、自分がコントロールするトークンのコピーを作ることができる。生成した猫で乗り込んで、どんどん猫の仲間を増やして数で優位に立てる。

 増やすトークンにも猫限定という縛りはないので、他にトークンを生成するカードと組み合わせても良い。たとえばその気になれば食物・トークンだって増やしてしまえるのだ。マイナスポイントは《グレートヘンジ》と相互作用を見込めない点くらいか。見た目も強さも兼ね備えたカードに現時点では見えるね。

 《エシカの戦車》のトークン生成能力と組み合わせて強そうなのは《老樹林のトロール》。

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 3マナ4/4、《恋煩いの野獣》や上陸した《カザンドゥのマンモス》には劣るものの、十分なサイズでトランプルの持ち主。死亡すると森につくオーラとなって戦場に戻る。生み出すマナの数を増やせるし、その土地ごと生け贄に捧げれば4/4トランプルのトロール・トークンを生成できる。《エシカの戦車》で攻撃してこのトロールを増やせば、盤面はなかなかにイカツイものに。《空の粉砕》などで戦場をリセットされた際の立て直しにも強く、活躍も見込める。

 問題はマナシンボルの濃さと、オーラとしては森タイプを持つ土地にしかつかないという点。《眷者の居留地》などとは相性が良くない。

 打点という観点から見れば、4マナでたったのパワー1と性能は低いが、特定の相手に対して有効になりそうな《秘密を知るもの、トスキ》も気になる1枚。

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 打ち消されず破壊不能、クリーチャーの攻撃が対戦相手に通ればカードが1枚引けるという能力は、対コントロールにおいてかなりいやらしい働きをしてくれるはずだ。追放するタイプの除去には弱いので、そこは呪禁を与えるカードでサポートしてやれば盤石となるだろう。幸い同セットに《蛇皮のヴェール》というかなり使いやすいインスタントが収録されているので、これを構えながらペチペチとリスアタックをお見舞いしてやりたい。

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 現スタンダードでの緑単のアグロデッキは食物シナジーを用いるものがベストな形になっているが、果たして『カルドハイム』参入後はどうなるだろうか。上記のカード以外にも、氷雪に関するカードは緑に多数存在するし、《種族の神、コルヴォーリ》のような伝説をフィーチャーしたカードも登場する。

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 極寒の地からやってくるカードたちが緑単の形をどのように変えるのか、これまでスポットの当たらなかったカードが評価される可能性も大いにある。期待しながらリリースを待とうじゃないか。

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