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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
スゥルタイは横綱の色(ヒストリック&パイオニア)
2020年のラストを締めくくったイベントと言えば日本選手権2020冬。ヒストリック・フォーマットにて争われたこのトーナメントで優勝したのは、日本人初のプロツアー王者でもある黒田正城!
日本選手権1999で惜しくもあと1勝というところで逃した日本王者の称号を見事に勝ち取り、リベンジに成功したのだ。20年以上続けられ、真剣に競技に打ち込むことのできるゲームって素晴らしいね。マジックをプレイしている限り青春は続くのだ。黒田さん、おめでとうございます! やっぱり知っている人の優勝は嬉しいね。
ヒストリックの頂点に輝いたのはこのデッキだ。
2 《森》 2 《島》 1 《沼》 4 《繁殖池》 4 《草むした墓》 1 《湿った墓》 2 《異臭の池》 2 《水没した地下墓地》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 2 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(28)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(6)- |
4 《思考囲い》 4 《成長のらせん》 3 《取り除き》 3 《物語の終わり》 1 《霊気の疾風》 2 《大渦の脈動》 2 《絶滅の契機》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 1 《悪夢の詩神、アショク》 -呪文(26)- |
2 《漁る軟泥》 1 《厚かましい借り手》 1 《破滅を囁くもの》 1 《致命的な一押し》 2 《否認》 1 《霊気の疾風》 2 《肉儀場の叫び》 1 《ヤヘンニの巧技》 3 《サメ台風》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
「スゥルタイ・ミッドレンジ」――昨年開催された最初のヒストリックでのビッグイベントである2020ミシックインビテーショナルでの優勝もこのデッキだった。
黒の除去・青の打ち消しでゲームをこちらの速度へともつれ込ませ、《世界を揺るがす者、ニッサ》の制圧力・圧倒的なフィニッシャーである《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の二大巨頭で勝つ。
まさしくヒストリックの横綱的存在であり、長丁場かつ対戦相手が全員強者となる日本選手権では勢いで勝つデッキよりも安定感を重視したスゥルタイが適していると判断したプレイヤーが多かったのだろう。全参加者の45%以上がこのデッキを選択する結果となった。
盤面をコントロールする力、手数での勝負、単体でのカードパワー。死角のないスゥルタイはしばらくヒストリックの頂点に君臨することになるだろう。同型のニッサや脱出してきたウーロ、他のデッキにおける《上流階級のゴブリン、マクサス》などに刺さる《物語の終わり》がメインから多く取られるようになったのは、今のヒストリックがどういったデッキによって競われている場なのかがよく見て取れる。
ヒストリックでは盤石の強さを築き上げたスゥルタイ。使用可能なカードプールがよく似たパイオニアではどうだろう。《思考囲い》《致命的な一押し》といったカードは共通なので、大きく差がなく立ち回ることができるだろう。
ただパイオニアにおけるスゥルタイは、ニッサを用いない形が主流になりつつある。ヒストリックでは使用できないあのカードを用いてマナを得るのだ。
1 《森》 3 《島》 1 《沼》 4 《内陸の湾港》 1 《草むした墓》 3 《湿った墓》 2 《水没した地下墓地》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 1 《ヴァントレス城》 1 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(4)- |
3 《致命的な一押し》 2 《選択》 2 《思考囲い》 2 《暗殺者の戦利品》 2 《検閲》 2 《否認》 1 《突然の衰微》 4 《悪意ある妨害》 3 《荒野の再生》 2 《薬術師の眼識》 2 《影の評決》 4 《サメ台風》 2 《タッサの介入》 -呪文(31)- |
2 《概念泥棒》 1 《長老ガーガロス》 2 《霊気の疾風》 1 《害悪な掌握》 3 《神秘の論争》 2 《絶滅の契機》 2 《思考のひずみ》 2 《エレボスの介入》 -サイドボード(15)- |
そう、《荒野の再生》型スゥルタイ。
自ターンの終了時に土地をすべてアンタップするこのエンチャントを使って、毎ターン使えるマナの量を倍増させるのである。これで自ターンのメインで動きながらも、相手のターンにインスタントを構えるという動きがスムーズに行える。
《影の評決》で盤面を掃除しながら後続を《悪意ある妨害》で弾いて相手に自由を与えない。ウーロの脱出は4マナ必要で少々隙が生じるが、それもしっかりカバーしてウーロで引いてきたインスタントが即使えるのだ。
仮想敵が異なるので構成が変わるのも当然だが、ヒストリックのものよりも強固なデッキになっている印象を受ける。《荒野の再生》と相性が良い《サメ台風》で、Xに大量マナを注ぎ込んで巨大トークンを作ってもよし、メインで台風を設置しながらインスタントを構えてもよし。戦い方は似ているようで異なるね。
パイオニアならではの1枚は《黄金牙、タシグル》も忘れちゃいけない。
ウーロを封じられた時にはサブの勝ち手段となる、墓地追放により低コストとなる4/5だ。彼はストーリー内での言動やその末路のせいで、ネタキャラとしての認識が広まってしまってはいるが、カードはしっかりと強い。
ただコストの軽い戦闘要員というだけでなく、アドバンテージも得させてくれる。{2}{G/U}{G/U}を支払うことでライブラリーを2枚切削し、その後対戦相手はこちらの墓地から土地でないカードを1枚選び、それがこちらの手に入る。ということで自由に好きなものを得られるわけではないが、確かな手札を獲得させてくれる。自身の探査やウーロの脱出で不要なカードを極力減らせば、より有効なカードを手に入れられる割合も高まる。
そして何より、この能力は《荒野の再生》により余剰のマナを手に入れやすいこのデッキにはうってつけだ。メインで起動して補充したインスタントを構えながら相手にターンを返す。あるいは相手のターンで呪文を唱えることがなかったらその浮いたマナをこれの起動に充てて手札を潤沢に。繰り返せば墓地をすっかり回収しきってしまえることだろう。この状態になったら、もう君がゲームの支配者だ。気持ちいいなんて一言じゃ言い表せないだろうね。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》ある限り、青緑に何かを足したデッキはそのフォーマットに君臨することだろう。その中でも青緑では行いにくいクリーチャーなどの除去を担う黒を足したものは、相手の攻勢を受け止め、はじき飛ばして決着する横綱相撲が信条だ。ヒストリックやパイオニアで、スゥルタイカラーのデッキを組んでその分厚さをぜひとも体感していただきたい。
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