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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

《獣相のシャーマン》デッキ:シルバーバレットの妙技(ヒストリック&過去のフォーマット)

岩SHOW

 パワー4が生死の境目! 体格にもの言わせねぇ! 《巨人落とし》!

 墓地は何でも喰らってやろう! 特にクリーチャーが大好物! 《漁る軟泥》!

 クリーチャーは真面目に唱えられるべき! リアニメイトやマクサス許さん! 《封じ込める僧侶》!

 除去回避なら任せろ! 腐っても2マナ3/1だ! 《群れの番人》!

 戦場に出た時の能力は使いまわしてナンボ! 占術と回復も可能だ! 《魅力的な王子》!

 4マナ以下のパーマネントは生存不可! トークンだけお返しします! 《スカイクレイブの亡霊》!

 置物壊すかライフ回復か! デカくなるのは割りと稀! 《秋の騎士》!

 ライフと生け贄支払い禁止! 頼れるサイズにマナまで伸びる! 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》!

 パーマネント追放しつつ3/4飛行! オマケにゾンビになって再利用! 《賞罰の天使》!

 相変わらずヴォジャと仲良し! プレイヤーにとっての友でもある! 《狼の友、トルシミール》!

 これらのクリーチャーは特定のデッキに対しては高い効果を発揮する、そんなタイプの強者(もののふ)である。

 ハマれば強いのでデッキには採用したい、しかしこれらを4枚ずつ投入したとしたら……効き目がないデッキ相手に引いてしまってお荷物になる可能性がある。だからと言ってごく少数デッキに入れてもそもそも引くことができない。ヤシャーンは素で強いのでまだしも、他の連中はデッキに何枚採用するかが難しい。

 だったらいっそのこと1枚ずつ採用して、必要に応じて呼び出せばいい。こんな具合に。

Aaron Gertler - 「セレズニア・獣相のシャーマン」
ヒストリック (2020年12月)[MO] [ARENA]
6 《
4 《平地
4 《寺院の庭
4 《陽花弁の木立ち
4 《枝重なる小道
-土地(22)-

4 《ラノワールのエルフ
1 《巨人落とし
4 《獣相のシャーマン
4 《スレイベンの守護者、サリア
1 《魅力的な王子
1 《封じ込める僧侶
1 《漁る軟泥
1 《群れの番人
4 《スカイクレイブの亡霊
3 《カザンドゥのマンモス
1 《秋の騎士
3 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン
4 《長老ガーガロス
1 《賞罰の天使
1 《狼の友、トルシミール
-クリーチャー(34)-
2 《探検
2 《エメリアの呼び声
-呪文(4)-
1 《静寂をもたらすもの
1 《エメリアのアルコン
1 《静寂の守り手、リンヴァーラ
1 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン
1 《殺戮の暴君
1 《王国まといの巨人
3 《形成師の聖域
4 《不可解な終焉
2 《野獣の擁護者、ビビアン
-サイドボード(15)-
Aaron Gertler氏のTwitter より引用)

 

 特定のカードやデッキ相手に効果的なカードを少量採用し、それらを状況に合わせてサーチ、ゲームを有利に進める。対戦相手を怪物に、《漁る軟泥》などのカードをそれらに効果覿面な銀の弾丸に例えて「シルバーバレット戦術」と呼ぶ。

 旧き時代より愛されるデッキ構築法で、このデッキではヒストリックにおける弾丸サーチ役として最上の《獣相のシャーマン》を用いている。

 これを4枚採用し、状況に合わせて最適な1枚を持ってくる。不必要なカードはこれのコストとして捨ててしまっても問題ないという考え方だ。銀の弾丸以外にもシンプルに強い《長老ガーガロス》を得るために役目のない《ラノワールのエルフ》を捨てるなど、柔軟にゲームを動かせるのがこの手のクリーチャーデッキの魅力だ。クリーチャーを展開し、シャーマンでサーチ。一見複雑だがやることはシンプルそのものだ。

 1枚挿しを4枚のシャーマンでサーチすることでメインデッキの60枚というスペースを広く使えるのと同じく、サイドボードにもまた特定の相手へと特化したカードを1枚挿しで多数用意できる。75枚というスロットをフルに活用する姿勢はシルバーバレットならではだ。

 《静寂をもたらすもの》《静寂の守り手、リンヴァーラ》でさらに能力持ちクリーチャーを抑えつけたり、《王国まといの巨人》で相手が予測しなかった全体除去をかましたり。

 《エメリアのアルコン》でゲームを大幅スローダウンさせるのも相手によっちゃ地獄だな。

 個人的には《死の飢えのタイタン、クロクサ》へのカウンターパンチとして《無効皮のフェロックス》を採用したい……やりすぎかな?(笑)

 良い機会なので《獣相のシャーマン》の元になったカードも紹介しておこう。彼女と同じ、クリーチャーを捨てて代わりにライブラリーから好きなクリーチャーをサーチしてくる能力を持ったエンチャント《適者生存》。

 シャーマンが能力にタップが必要なのに対して、この元祖にして最強のクリーチャーサーチは{G}を払えば払うだけ複数回起動できるという点が非常に強力で、これを活かしたコンボデッキも誕生したほどだった。

 『エクソダス』にてリリースされた直後からしばらくはこれを用いたシルバーバレットデッキがスタンダードやエクステンデッドなどのフォーマットで流行。《繰り返す悪夢》とのセットで捨てたクリーチャーを拾い上げて急襲をかける「ナイトメア・サバイバル」や、《貿易風ライダー》で土地をはじめとするパーマネントを戻しまくる「トレードウィンド・サバイバル」など、サバイバル系デッキが一大勢力を築いたのだった。

Raphaël Lévy - 「トレードウィンド・サバイバル」
プロツアー・シカゴ1999 4位 / エクステンデッド (1999年12月3~5日)[MO] [ARENA]
4 《Savannah
4 《Tropical Island
2 《Taiga
4 《真鍮の都
2 《知られざる楽園
-土地(16)-

4 《極楽鳥
2 《ラノワールのエルフ
2 《クウィリーオン・レインジャー
4 《根の壁
2 《マーフォークの物あさり
1 《金粉のドレイク
1 《現実主義の修道士
2 《ゴブリンの太守スクイー
1 《ギトゥの投石戦士
1 《平和の番人
1 《ウークタビー・オランウータン
2 《貿易風ライダー
1 《レイディアントの竜騎兵
1 《スリヴァーの女王
-クリーチャー(25)-
1 《吸血の教示者
4 《秘儀の否定
4 《適者生存
3 《冬の宝珠
2 《炎の鞭
3 《対立
2 《意志の力
-呪文(19)-
1 《現実主義の修道士
1 《誠実な証人
1 《ウークタビー・オランウータン
2 《剣を鍬に
1 《水流破
3 《無のロッド
1 《解呪
1 《冬の宝珠
1 《対立
1 《一掃
2 《意志の力
-サイドボード(15)-
Pro Tour Chicago 1999 Top 8 Decklists より、編集者情報補足)

 

 マナ・クリーチャーを並べて基盤を作ったら《貿易風ライダー》でパーマネントを戻し、《冬の宝珠》と《対立》で相手の土地をタップしてマナを使えなくする。

 このロック状態に持ち込む過程で、必要なクリーチャーや《ウークタビー・オランウータン》《平和の番人》といった弾丸をサーチしてゲームを有利に進める。

 《ゴブリンの太守スクイー》を《適者生存》のコストに充てることで手札の総数を減らさず、毎ターン確実にクリーチャーを獲得できるようになっている点が非常に強力だ。

 《適者生存》は非常に強力なのでヒストリック環境に再録されることはないと思うが、その分マイルドになりながらも今回のデッキのように十分なシルバーバレットデッキを組むことを可能としてくれる《獣相のシャーマン》を可愛がって、あれこれ楽しめるデッキをぜひ作ってみてほしい。継続的に使えるサーチカードならではの1枚挿し構築、君も挑戦してみよう!

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