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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
キランの真意とは。機体を用いた各種ビートダウン(ヒストリック)
面白い名前のカードってのは多数ある。しかしながら背景世界を知れば、なぜそのような名前になっているのか、その理由が理解できるものも多い。
《キランの真意号》なんかどうだろう。
何も知らなければ、なんのことだかわからない名前だが……キランというのはチャンドラの父親だ。今は亡き彼はカラデシュの発明家で、この機体の設計および建造を行っていた。その遺された機体をラシュミたち改革派が、テゼレットの悪しき陰謀を打ち砕くために完成させた。
そのため、もとは「テゼレットの破滅号」という名前だったが、ラシュミはテゼレットを倒すどうこうよりも大事なのはキランの発明に対する遺志を受け継ぐことじゃないかと主張し、彼の真意を体現する飛行船として名を授かる形になった。なんだか泣けるじゃないか。
《キランの真意号》は機体の中でも希有な、クリーチャーではなくプレインズウォーカーを搭乗させられる能力を持つ。クリーチャーのタップではなくプレインズウォーカーの忠誠カウンターを取り除くことで、4/4飛行&警戒という攻防に優れたクリーチャーとなるのだ。
つまりプレインズウォーカーを複数枚採用しつつ、パワー3のクリーチャーも用意して効率よく搭乗できるデッキを組めば大活躍が見込める。『カラデシュリマスター』にも当時を代表するカードとして再録されており、上記のような構築でキランの真意を世に示すことが可能だ。
今日はヒストリックにおける真意号を用いたリストを見てみよう!
5 《平地》 5 《山》 4 《聖なる鋳造所》 4 《断崖の避難所》 2 《感動的な眺望所》 4 《針縁の小道》 -土地(24)- 4 《栄光半ばの修練者》 4 《歴戦の神聖刃》 4 《砕骨の巨人》 4 《スカイクレイブの亡霊》 3 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー(19)- |
2 《削剥》 2 《裁きの一撃》 2 《排斥》 4 《キランの真意号》 3 《黒き剣のギデオン》 4 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(17)- |
4 《軍勢の戦親分》 1 《悪斬の天使》 1 《黎明をもたらす者ライラ》 3 《安らかなる眠り》 2 《削剥》 2 《ヘリオッドの介入》 2 《暴君への敵対者、アジャニ》 -サイドボード(15)- |
当時のスタンダードで真意号によく乗り込んでいたのは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》。攻めるデッキにおいてはまさしく最強のプレインズウォーカーであり、彼と真意号で空と地上から攻めるのは相手からすりゃたまったもんじゃなかった。
そんな当時のギデオンはヒストリックでは不在だが、同じギデオンなら《黒き剣のギデオン》がいる。
3マナと軽くて使いやすく、自動的にクリーチャー化するなど、ゼンディカーの同盟者にはない強さもあるので決して見劣りはしない。2ターン目真意号、3ターン目ギデオンという動きであればタップして搭乗することで忠誠カウンターを減らさなくとも攻撃にいけるというのも偉い。クリーチャー化した真意号に破壊不能や絆魂を付与するのも言うまでもなく強力!
ということで白と併せて使うのであればギデオンは外せない。もう1色足すのであれば、上記のリストのような赤が良いだろう。そしてキランの真意を継ぐのであれば《反逆の先導者、チャンドラ》ほどふさわしい人物もいない。
彼女の[+1]能力と真意号を飛ばして毎ターン6点ずつ削っていく動きは、言うなれば鬼。というワケで、赤白のビートダウンデッキはかなり上手くこの伝説の機体を運用できる。
2マナ圏から採用されているクリーチャー陣も選りすぐりだ。打点に優れている者、除去を兼ねる者、あるいはその両方。《スカイクレイブの亡霊》以外はいずれも単独で真意号に搭乗できるパワー3以上なのも頼もしく、デッキの動きに安定感をもたらす。
それらのクリーチャーを展開しながら攻撃、相手もクリーチャーを出してきたら除去して殴る。勝ち筋はいたってシンプルだ。
シンプルながらにこのデッキの強いところは、《神の怒り》などの全体除去に耐性がある点。《キランの真意号》はクリーチャー化自体はするものの、搭乗されていない時はただのアーティファクトである。これは《黒き剣のギデオン》にも似たことが言え、自身のターンでは優秀なクリーチャーでありながら相手のターンではそうではないため、すべてのクリーチャーを破壊したりバウンスしたりといったソーサリーを唱えられてもこれらは被害を受けない。
残るパーマネントがあるので恐れることなく、それらと普通のクリーチャーとをガンガン展開していけるのはデッキの大きな強みと言える。
4 《感動的な眺望所》 4 《針縁の小道》 4 《神無き祭殿》 4 《陽光昇りの小道》 4 《秘密の中庭》 2 《血の墓所》 1 《サヴァイのトライオーム》 -土地(23)- 4 《ボーマットの急使》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《砕骨の巨人》 1 《熱烈の神ハゾレト》 -クリーチャー(17)- |
4 《思考囲い》 2 《致命的な一押し》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 4 《黒き剣のギデオン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(20)- |
2 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 2 《魂標ランタン》 1 《墓掘りの檻》 2 《レッドキャップの乱闘》 1 《領事の権限》 1 《致命的な一押し》 2 《削剥》 1 《害悪な掌握》 1 《残骸の漂着》 2 《霊気圏の収集艇》 -サイドボード(15)- |
オマケでもう1つ。真意号現役当時、活躍した機体デッキの中でも最も目立つものが「マルドゥ機体」だった。
先ほどのリストのように赤と白の優秀なクリーチャー、それに加えて黒の要素としてクリーチャー除去の中でもかなり強力な《無許可の分解》と、墓地から戦場に戻るパワー3の《屑鉄場のたかり屋》がデッキをさらに引き締めていた。
現在のヒストリックでもこれは再現可能で、なんだったら土地事情がかなり良いのでより安定した運用が可能になっているとも言える。ギデオンとチャンドラのコンビはこちらでも変わりはなく、彼らと並んでどちらのリストにも採用されている《砕骨の巨人》もかなりのやり手だ。
除去として小粒を潰し、3マナパワー4の優秀な打撃力となり、召還酔いしているタイミングや地上がにらみ合っているような状況では真意号に単独搭乗して空から攻める引き金となるなど良いところしかない。近年で見てもかなり優秀なクリーチャーだ。遠慮なく使うのが吉。
《キランの真意号》は初見では扱いにくそうに見えるかもしれないが、しっかりと起動できるような構築を施しておけば、そのパワフルさを存分に発揮してくれることだろう。クリーチャーはほぼナシでプレインズウォーカーで固めたデッキなどでも活躍するかも?
リマスターなどで再録されるカードは「実績がある新カード」みたいな感じで、純粋な新カードと違った面白さがあるね。
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