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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ディミーア・ローグ(レガシー)

岩SHOW

 先日開催された日本選手権2020秋。スタンダードで争われたこのトーナメントでは、ある職業(クリーチャー・タイプ)が躍進した。「ローグ」ことならず者だ。

 このクリーチャー・タイプでデッキを固め、《盗賊ギルドの処罰者》《空飛ぶ思考盗み》などの能力で相手のライブラリーを切削し、その墓地が溜まることで強力になったならず者の集団で攻めきる。軽量のコストと瞬速を活かしトリッキーに立ち回るデッキだ。

 決勝ラウンドに3名ものプレイヤーを送り出して勝ち組デッキとなったローグ。では、マジックの歴史上最強のならず者って、どのカードかわかるかな?

 さまざまな意見もあるとは思うが、カード単体で考えた場合最も強力だと多くのプレイヤーが挙げるであろう1枚は……そう、《真の名の宿敵》!

 プレイヤーに対するプロテクションで対戦相手を指定し、それがコントロールする発生源からダメージを受けず、呪文や能力の対象にならず、ブロックもされない。まさしく不死身の存在として攻防ともにその名を知った者に絶望感を与えるパワーカードだ。色が青であること、種族がマーフォークであることなども手伝って、レガシーでは使用可能になったタイミングから長きにわたって人気の高い1枚となっている。

 この最強のならず者を、スタンダード環境のならず者デッキの中核を担う面々とともに組み合わせるというのはどうか。思いつきそうでつかなかったアイディアを実行したプレイヤーを見つけたので、今日はそのリストを紹介しよう。

Mark Ramirez - 「ディミーア・ローグ」
Malphagor Showdown Series トップ4 / レガシー (2020年10月30日)[MO] [ARENA]
3 《冠雪の島
2 《冠雪の沼
3 《Underground Sea
4 《汚染された三角州
4 《沸騰する小湖
1 《新緑の地下墓地
3 《魂の洞窟
-土地(20)-

4 《盗賊ギルドの処罰者
4 《悪意の大梟
4 《空飛ぶ思考盗み
3 《夜鷲のあさり屋
2 《真の名の宿敵
1 《厚かましい借り手
1 《疫病を仕組むもの
1 《悪ふざけの名人、ランクル
1 《遺跡の盗人、アノワン
-クリーチャー(21)-
4 《渦まく知識
3 《思案
2 《致命的な一押し
1 《呪文貫き
1 《発掘
2 《取り除き
1 《苦花
4 《意志の力
1 《精神を刻む者、ジェイス
-呪文(19)-
1 《奪い取り屋、サーダ・アデール
2 《外科的摘出
3 《思考囲い
1 《コジレックの審問
2 《墓掘りの檻
3 《アメジストのとげ
1 《苦花
1 《梅澤の十手
1 《最後の望み、リリアナ
-サイドボード(15)-
mtgtop8 より引用)

 

 ローグらしくデッキカラーはディミーア(青黒)。レガシーでも発足時より人気のカラーだ。クリーチャー総数は21枚、そのうちディミーアならとりあえず入れておけという便利カードである《悪意の大梟》と、黒ければとりあえず入れておけという除去能力を備えた《疫病を仕組むもの》以外はすべてならず者で構成されている。レガシーでここまでならず者が集っているのも見たことないかもしれないなぁ。

 スタンダードよろしく《盗賊ギルドの処罰者》《空飛ぶ思考盗み》を序盤から繰り出し、これらの能力で対戦相手のライブラリーを切削していく。最強のならず者こと《真の名の宿敵》であれば相手の戦場に何が待ち構えていても気にすることなく攻撃し、思考盗みの切削能力を誘発させられる。墓地が8枚を超えれば宿敵もパワーが4以上になることを狙えるので、どうやっても止められない攻撃をゴツンゴツンと叩き込んで決着と相成る。

 相手のデッキにもよるが、《夜鷲のあさり屋》もとてつもない速度でパワーを上昇させ、絆魂を使ってアグレッシブなデッキとの殴り合いもバックアップしてくれるだろう。スタンダード組、やりおる予感。

 レガシーの青いデッキの常として、《意志の力》などの軽量打ち消し呪文で、コンボをはじめとする相手のデッキのブッ放しを咎める。

 《目くらまし》が不採用なのは宿敵やその他のならず者が3マナ以上であるため、これらをスムーズに展開できることを重要視したためだろう。

 打ち消しやクリーチャー除去、土地、そしてならず者たちを《渦まく知識》《思案》で都度探して引き込み、ゲームを意のままの展開へと持っていく。レガシーの青いクリーチャーを使うデッキの基本的な動きはこのデッキでもそのままだ。

 スタンダードで使えないならず者は《真の名の宿敵》に限らない。最新のカードの1つであるが統率者デッキに含まれている《遺跡の盗人、アノワン》もそうだ。

 すべてのならず者を強化し、それらで戦闘ダメージを相手本体に与えればその分切削、このときクリーチャー・カードが落ちれば1枚ドロー。盤面も手札も強くする頼もしい1枚だ。

 このアノワンとの組み合わせがコンボのように強力なのが《苦花》。

 置いておけば毎ターンライフと引き替えに1/1飛行のフェアリーが得られる、言わずと知れた強力エンチャントだ。このフェアリーは同時にならず者でもある。アノワンや思考盗みで強化して殴り、さらに切削やドローを得ればとてつもなく気持ちよくなれるはずだ。レガシーというフォーマットはこうでなくてはね。

 スタンダードで活躍したクリーチャー・タイプを、カードプールが広大なレガシーに持ち込む。このアプローチはたびたび見られ、その都度面白いデッキを生み出している。マジックの長い長い歴史の中には「え、お前さんが?」と言いたくなるような意外なタイプを持つクリーチャーがいるもんだ。宿敵とならず者のような強力な組み合わせ、《魂の洞窟》で支えられた種族や職業を統一したデッキを君も作ってみよう。

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