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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:敗北の先に栄光あり(ヒストリック)
クールなデッキを追い求めるこのコーナー、今週もちゃーんとやります!
クールなデッキを探すこと1週間、ヤバい。いつものようにこう、グッとくるデッキがない? 否、見つけられないだけかもしれないが、ちょっと今回は大ピンチだった。
絶体絶命、それは大げさではあるがとにかく原稿が締め切りギリギリまで進まない。こりゃあマズいぞ。ここで焦ってしまうようではクールではない。クールなデッキを紹介する人間がクールでなくてどうする。ピンチにクールに振舞う。それこそクールの宣教師、クール・ミッショネルズ。
では目指すべきクールな人物とは、クールな男とは? 弱音を吐かない人、ではないだろうか。打たれ強く、どんな状況でも諦めず、口数は少ないながらも先頭に立って仲間を引っ張る……うむ、クール哉。
そんな人、マジックの多元宇宙にいたような……ギデオン・ジュラか。
芯が強いギデオンのように、過労でぶっ倒れてもラヴニカやゼンディカー、全多元宇宙のために泣き言を言わずに戦ったギデオンこそ目指すべき姿なのかもしれない。
そんな時、1つのデッキリストにたどり着いた。ギデオンを主役としたデッキだ。これこそ、求めていたクールなデッキであったのだ。
9 《平地》 5 《山》 1 《聖なる鋳造所》 2 《闘争の記念像》 3 《廃墟の地》 1 《幽霊街》 3 《寓話の小道》 -土地(24)- 1 《砕骨の巨人》 1 《軍勢の戦親分》 1 《黎明をもたらす者ライラ》 -クリーチャー(3)- |
4 《否定の契約》 4 《メレティス誕生》 4 《栄光の好機》 2 《払拭の光》 2 《轟音のクラリオン》 1 《世界のるつぼ》 1 《栄光の幕切れ》 1 《牢獄領域》 1 《ヴァラクートの覚醒》 3 《残骸の漂着》 2 《神の怒り》 2 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《試練に臨むギデオン》 2 《黒き剣のギデオン》 -呪文(33)- |
1 《幽霊街》 4 《エイヴンの思考検閲者》 4 《浄化の野火》 2 《世界のるつぼ》 4 《瓦礫読み》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
フォーマットはヒストリック、つけられているデッキ名は「ボロス・エクストラ・ターン」。赤白の追加ターンデッキということだ。追加ターンといえば青のイメージが強いが、《最後の賭け》など古より赤にもその効果を持ったカードは存在する。
それに白が絡むことでクリーチャーに破壊不能まで与える1枚が《栄光の好機》だ。
これでクリーチャーを護り、強引な攻撃を可能にしつつ追加ターンも得る……完璧だ。死にさえしなければ。そう、この呪文を唱えるとやられてしまうのである。敗北するんだよ敗北! 追加ターンが終わる時、あなたはゲームに敗北する。つまり追加ターン中に仕留め切らなければ自らの手で首を絞めてしまうことになる。栄光どころか大ピンチ。
そんなピンチ、逆境こそを武器にしようというのがこのデッキにクールを感じた要因だ。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:ギデオンは決して敗北ない
生きざまがクールな男、ギデオン。彼は非常に頑健で、そのカードのことごとくがクリーチャー化したうえで破壊不能とダメージを受けない能力を持つプレインズウォーカーだ。
その中でも《試練に臨むギデオン》はその強靭さをプレイヤーにも分けてくれる心優しき1枚。
ギデオンのタイプを持つプレインズウォーカーをコントロールしている限り、そのプレイヤーはゲームに敗北しなくなるという強烈でオンリーワンな効果を持った紋章を得られるのだ。そう、この敗北しない状況下で《栄光の好機》を唱えて追加ターンを得ようというのである。ギデオンは敗北を恐れない、だからこそ敗北しないのである。クールだなぁ。
同じく次のターン終了時に敗北してしまう、ターンを強制的に終わらせる《栄光の幕切れ》を相手のアップキープに唱えることも追加ターンの一種として用いることができる。どうやら栄光と名のつくカードは敗北と関係のあるもののようだが、ギデオンにとっては敗北ではなく勝利こそ栄光に彩られているのだ。
《否定の契約》に至ってはデッキ内に青マナ源がないので、ギデオンと紋章がない状態で用いれば即敗北確定というデンジャラスさ。
この0マナ打ち消しでギデオンを護りつつ、追加ターンを得るなどするのが決め技のコントロールデッキなのである! これはプレイしたくなるクールさですよ。
クールポイントその2:コントロールへの勝ち方
ギデオンと紋章で敗北しない状況を作り、《神の怒り》などで戦場を洗い流し、追加ターンを得たりしながらギデオン2種で悠々と殴り切る。これが1つの勝ちパターンだ。
しかしながらこれはクリーチャーを中心としたデッキに効くやり方。《神の怒り》などがほとんど効果のないコントロールデッキを相手にした際には、相手の除去カードがギデオンを狙ってきて無敵モードにもなれず、無効なカードを手札に多数ため込むという展開になってしまう。
そこで、対コントロールなどのクリーチャーで攻めてこないデッキには他の方法で勝つ。土地破壊だ。《闘争の記念像》《廃墟の地》《幽霊街》、土地を破壊する能力を持った土地たち。
これらを《世界のるつぼ》で毎ターン使いまわしながら、相手のマナ基盤を徹底的に破壊する。
《廃墟の地》《幽霊街》は相手がライブラリーから基本土地を戦場に出してくるが、関係ない。何度も繰り返せば基本土地は枯れ、そうなるとこれらの土地で相手の使えるマナを完封してしまえる。
そうやって何もできなくなった相手を前にギデオンを出して殴っていくのである。無抵抗の相手を一方的に殴るギデオンはクールに見えない? そんなことはない、勝つためには時に冷徹、文字通りクールにならねばならないのだ。
サイドボードに追加のるつぼと《幽霊街》、さらには《瓦礫読み》まで搭載しているあたり、このデッキは本気である。
クールテクニック!
《栄光の好機》のテキストを今一度よく読んでみよう。
あなたがコントロールしているクリーチャーは破壊不能を得る、と書いてある。気付いたかな? そう、このテキストにはこの手の呪文に本来書かれている期限が、「ターン終了時まで」の一文が書かれていないのである。
本来、次のターンの終了時に敗北するというリスクを背負うことでこの破壊不能は永続的なものとして与えられているボーナスみたいなもんだ。敗北を知らない身体になったプレイヤーはそれを無視してしまう。世の摂理に逆らい、法の抜け穴を突く姿勢もまたクールだ。
これを唱えた時に戦場にいた自軍のクリーチャーはもう破壊されることが未来永劫なくなる。枚数こそ少ないが、破壊不能になったクリーチャーで十分にゲームに勝つことができるだろう。
また、《栄光の好機》解決時にギデオンがクリーチャーになっていた場合、追加ターン以降プレインズウォーカーに戻ったギデオンはそれでも破壊不能を持ち続ける。《残忍な騎士》などで破壊されなくなり、特定の相手は詰みの状況に持っていけるだろう。
さらなるクールのために
より不死身を極めるのであれば《白金の天使》を採用するというのもアリだ。《大いなる創造者、カーン》でサイドボードから引っ張ってくる形にしても面白い。カーンもまたクールな存在だしね。
あるいは黒を足して《悪魔の契約》の敗北モードを無視してしまうというデッキも組んでみたい。ギデオンはリリアナとボーラスの契約を肩代わりして死を迎えたが、悪魔との契約くらいなら難なく耐えてくれることだろう。フレイバー的にもクール。
クールなまとめ
逆境こそ好機を見出す糸口である――どんな時も動じずに、こんなギデオンのような境地に達したいものである。クールなデッキとは、組めないと思ったところか組み始めるもの。君も諦めずに、クールさを磨き続けるんだ。
ギデオンは体格も非常にたくましく、クールさの源はその肉体にもあるだろう。表情を変えずにベンチプレスで高重量を挙げられる、それを目標に筋トレも始めよう! ではまた来週、Stay Cool.
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