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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
グルール&赤単アグロ:炎樹族の使者復帰戦(ヒストリック)
ヒストリックというフォーマットには他に見られない要素、独自の「一時停止カード」が存在する。
一時停止に指定されたカードはデッキに使用不可能になる。これだけでは他のフォーマットの禁止カードと変わるところはないが、この停止はあくまでも一時的なもの。ヒストリックはMTGアリーナのオリジナルフォーマットとして制定され、アリーナでのみサポートされる。その特性を活かして、フォーマットにおいて支配的な存在となってしまったカードはこの一時停止カードに指定して様子を見る。時が過ぎて、そのカードが使用可能に戻っても問題なさそうであれば停止は解除される。問題があると判断された場合は改めて禁止カードとなる、という仕組みになっている。アリーナという媒体を活かしてフレキシブルに環境に対応するための措置ってわけだ。
個人的にはこのやり方は良いと考えている。禁止カードというものは1枚も出ないことが望ましい。しかしながら多くのカードが一堂に集結するフォーマットでは、すべてのバランスを計算してカードがデザインされるのはかなり難しい。支配的な存在は生まれてしまいがちだが、ヒストリックの場合は通常のセットに加えて「ヒストリック・アンソロジー」なる特殊な再録セットが不定期にリリースされるし、過去のセットのリマスター版でもテコ入れが可能で、環境の支配的な存在に対処しやすくなっている。他のデッキはそのカードに対抗できる体制が整ったところで、停止解除が行われる。
現に先日、《炎樹族の使者》の一時停止が解除された。
たかが2マナ2/2と標準的なスペックだが、戦場に出ると{R}{G}を生み出す。実質コストがタダ、無料、フリースペル。2ターン目からこれと何か2マナのアクションという2回行動ができるとなれば、たかが2/2と侮ることなどできない。
この使者を用いて序盤から手数多く攻めていく、そんなデッキたちを紹介しよう!
3 《山》 3 《森》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 4 《岩山被りの小道》 -土地(18)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《生皮収集家》 4 《炎樹族の使者》 4 《義賊》 2 《終わりなき踊りのガリア》 2 《漁る軟泥》 4 《グルールの呪文砕き》 2 《砕骨の巨人》 2 《カザンドゥのマンモス》 1 《運命の神、クローティス》 3 《探索する獣》 -クリーチャー(32)- |
3 《ドムリの待ち伏せ》 2 《変わり樹の共生》 2 《髑髏砕きの一撃》 3 《エンバレスの宝剣》 -呪文(10)- |
2 《漁る軟泥》 3 《暴れ回るフェロキドン》 3 《変容するケラトプス》 3 《墓掘りの檻》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《溶岩コイル》 -サイドボード(15)- |
まずは「グルール・アグロ」! そもそも《炎樹族の使者》が一時停止になったのは、このデッキが大増殖したことによる。1ターン目《生皮収集者》、2ターン目炎樹族から他の2マナクリーチャー展開 or 《踏みつけ》《ドムリの待ち伏せ》による除去。
あるいは1ターン目《ラノワールのエルフ》、2ターン目炎樹族からの《グルールの呪文砕き》という開幕からの猛ラッシュは当時あらゆるデッキにとって脅威で、このデッキのスピードにより押さえつけられているデッキにもチャンスを与えるためにも一時停止カードとなった。
時が経ちビートダウン第1位の座をゴブリンデッキに奪われ、そのゴブリンも環境を歪めるほどの支配者というわけではなく、ビートダウンに対抗できるカードやデッキが揃ったと判断された……のかもしれない。いずれにせよ、先に述べた炎樹族が絡んだグルールのロケットスタートが再びヒストリックにやってきた。
以前からの変化といえば、デッキ内に土地であり土地でないカード、具体的に《髑髏砕きの一撃》《変わり樹の共生》そして《カザンドゥのマンモス》が加わったこと。
これにより、土地ばかり引いてしまって負けるというアグロデッキにとっての最悪の展開を避けられるような構築が可能になった。マンモスはラノワール炎樹族からのブン回りパターンにも組み込むことができ、新たなハードパンチャーとしてヒストリックでも存在感を示せるかが楽しみだ。
15 《山》 4 《ラムナプの遺跡》 3 《エンバレス城》 -土地(22)- 4 《狂信的扇動者》 3 《損魂魔道士》 4 《炎樹族の使者》 4 《遁走する蒸気族》 3 《地揺すりのケンラ》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 4 《ゴブリンの鎖回し》 -クリーチャー(30)- |
2 《ショック》 2 《舞台照らし》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(8)- |
こちらは「赤単アグロ」。炎樹族は赤と緑の混成カードであり、生み出すマナの色さえ気にしなければ赤単でも問題なく使用できる。
これまた早いターンに連打することで開幕ラッシュを仕掛けられれば最高で、最も相性の良い1枚は《遁走する蒸気族》。
これが出ている状態で炎樹族から炎樹族……と連打が続くと一瞬で+1/+1カウンターが3個貯まる。それらを取り除いてさらに3マナ得て《ゴブリンの鎖回し》《鍛冶で鍛えられしアナックス》などに繋げて圧倒的な打点を形成しよう。
2~3ターン目に複数クリーチャーが並ぶことで赤単の必殺技である《エンバレスの宝剣》も早いターンに唱えられるように。
1ターンでも早く、1点でも多くを信条に展開し、《神の怒り》さえも間に合わない電撃戦で勝利を掴もう。対策手段が飛び出すと組み伏せられやすいデッキではあるが、メイン戦のみの一本勝負(BO1)で先手をもらったゲームは勝つ、くらいの開き直りで使う分には怖いものなどないね。
一時停止カードが解放されることは喜ばしいことだ。なるべく、あらゆるカードが使用可能な環境。ヒストリックにはそうなってほしいと心から願っている。夏はシーズンだったのもあって大いに盛り上がったこのフォーマットも、これから新たな局面を迎えてまた盛り上がれば良いなぁ。
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