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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:黒単をダブルでお届け!(スタンダード)
今週の……ッッCool Deckッ! もう挨拶からクールだわこのコーナー。今回も直近出逢ったクールなデッキを紹介しよう。
と、ここで重要なお知らせ。この「1週間で最もクールなデッキを1つ紹介する」という趣旨でやってきたのだが……すまない、このルール破るわ。自ら課したルールを守れないなんて、それはクールじゃないでしょうというブーイング、ちょっと待ってくれ。違うんだ、今回は……クールなデッキを1つに絞り切れないから2つ取り上げちまうんだ! 禁断のダブル・クール!
なぜ2つ取り上げる気になったのかというと、それらのデッキには共通する大きなポイントがある。どちらもスタンダード環境における黒単色のデッキなのだ。黒単、もうこの時点でクールさを感じずにはいられない。
《大群への給餌》を得てついにエンチャントまで破壊できるようになったことでこれからより一層クールさを増していきそうな黒単。スタンダードで一体どのようなアプローチでデッキが組まれたのか? まずは1つ目いってみよう!
16 《沼》 4 《ロークスワイン城》 -土地(20)- 4 《魔王の器》 4 《収得の熟練者》 4 《ぬかるみのトリトン》 4 《残忍な騎士》 3 《夢の巣のルールス》 4 《悲哀の徘徊者》 3 《悪夢の番人》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(30)- |
4 《血の長の渇き》 2 《マラキールの再誕》 4 《アガディームの覚醒》 -呪文(10)- |
3 《夜鷲のあさり屋》 2 《塵へのしがみつき》 4 《苦悶の悔恨》 4 《精神迷わせの秘本》 2 《死者を目覚めさせる者、リリアナ》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
久しぶりの「黒単信心」の登場だ。信心とは戦場に出しているパーマネントの持つ特定のマナ・シンボルの数を指し、関連する能力はその数を参照する。その信心能力の中でも強さ・人気・クール、すべてを兼ね備えているのが《アスフォデルの灰色商人》。
これは黒への信心の数だけドレイン(相手のライフを失わせこちらがその分得ること)する。これ単体でも2点ドレイン。これだけだと軽く思えるが、他にクリーチャーが2体ほど並んでいれば5~6点。急にズシッと大きな損失に。もっと並べば二桁ドレインだって可能だ。信心で勝つ、それを本気で突き詰めたのがこのデッキなのだ。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:灰色商人は二度吸う
信心の基本中の基本はクリーチャーを並べること。このリストも30体も採用し、序盤からアスフォデルが着地する5ターン目以降まで黙々とクリーチャーを展開していくのを狙う。
そうやってただシンプルにドレインを狙うのも良いが、より確実性や爆発力を増した方がクールへの近道というもの。アスフォデルにさらに2枚のカードを組み合わせればコンボが可能なように作られている。《悲哀の徘徊者》と《悪夢の番人》だ。
これらが揃っている状況下で灰色商人を出してドレインしたら、次に灰色商人を徘徊者の能力のコストに充てて生け贄に。この死亡が番人の能力を誘発させ、墓地に落ちた灰色商人を追放するかを選べる。これを追放し、1/1で同じ能力を持ったコピー・トークンを生成する。コピーの灰色商人のドレインが誘発、と1枚の灰色商人で2回ライフを吸い取ることができる。これら3枚だけでも信心5が2回で10点、他にクリーチャーがいればさらに大きなドレインに膨れ上がる。どれだけライフが押されていても、このコンボでクールに捲ろう。
他にも《収得の熟練者》などを使いまわすのにも使えるし、番人は純粋に除去対策にもなって強いというのがクールだね。
クールポイントその2:墓地から一気に覚醒!
このデッキは黒単らしく、墓地をリソースとしても扱う。戦闘や除去により死亡したクリーチャー、あるいは《ぬかるみのトリトン》の切削により落ち、墓地に溜まったクリーチャーたち。コストの軽いものは《夢の巣のルールス》で再利用しよう。
ルールス自身も信心が濃い目で、さらに墓地からクリーチャーを唱えることで信心を増やせる。《魔王の器》とのコンビは定番で、信心こそ増えないものの5/5飛行のデーモンを1マナで戦場に呼び出しプレッシャーをかける。《収得の熟練者》はプチ《死の飢えのタイタン、クロクサ》として手札を攻め続け、トリトンの再利用はさらに墓地を拡張する。
肥え切った墓地を一気に回収するのはルールスには荷が重い、唱えるのは《アガディームの覚醒》!
墓地から点数で見たマナ・コストがX以下のクリーチャーを(条件つきながら)複数戦場に戻す、効果の大きいソーサリーだ。第2面が土地なので、ただ《沼》を入れるよりも強いからという理由で採用されていることの多いこの呪文だが、このデッキでは第1面で唱えることもかなり本気で狙っている点が他のデッキよりもクールなのである。X=5でクールポイントその1で取り上げた3枚を一気に釣り上げ、ライフをゴクリと飲み干す逆転劇に否応なしに期待が高まるってなもんよ。
さらなるクールのために
信心も濃く、かつデッキの狙いと噛み合っている1枚《ロークスワインの元首、アヤーラ》も可能であれば採用してみたい。
クリーチャーが出るたびにライフをドレインする、このジャブで刻みながら灰色商人に繋げたい。そして灰色商人を生け贄に捧げて1枚ドローしつつ、番人でフィニッシュと洒落込むのだ。アヤーラ自身の見た目がクール極まるのも高ポイント。
墓地から唱えるという点で、信心を稼ぎつつ勝ち手段となる《悪魔の抱擁》もクールな仕事を期待できそうだ。
すかさず、本日の2つ目のデッキ!
17 《沼》 3 《ロークスワイン城》 2 《寓話の小道》 -土地(22)- 4 《収得の熟練者》 4 《帆凧の掠め盗り》 4 《スカイクレイブの影》 4 《悪ふざけの名人、ランクル》 -クリーチャー(16)- |
4 《血の長の渇き》 3 《塵へのしがみつき》 3 《無情な行動》 3 《遺跡の碑文》 2 《エルズペスの悪夢》 2 《絶滅の契機》 1 《ハグラの噛み殺し》 4 《死者を目覚めさせる者、リリアナ》 -呪文(22)- |
このクールなデッキは?
こちらは黒単コントロール、強いて言うなら「メガハンデス」! ハンデスとはHand Destruction、手札破壊の略で対戦相手の手札を捨てさせる呪文や能力の相称だ。相手がたとえどんなに強力なカードを引いてきても、それを唱える前に捨てさせてしまえばそれが何でも無に帰す。すべて捨てさせ、理想のゲーム展開はさせないというイジワルな思想のもとにゲームを掌握せんと仕掛けていく長期戦狙いのデッキだ。昔ながらの黒のやり方で、ストイックな構成にクールさを覚えずにはいられないというベテランプレイヤーも少なくないはず。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:戦略は2つで十分
このデッキのやることは2つ。ハンデスとクリーチャー(とプレインズウォーカー)の除去だ。
戦場に出たクリーチャーは《血の長の渇き》《無情な行動》といった軽い呪文で捌いていく。
同時に《収得の熟練者》《帆凧の掠め盗り》などで相手の手札を減らし、後続をシャットアウトしていく。
《絶滅の契機》なども用いて根絶やしにし、最終的に戦場に相手のクリーチャー0、手札0で毎ターン引ける1枚の手札のみで勝負しなければならない状況にまで追い込むのが理想だ。
除去とハンデスを同時に担う《エルズペスの悪夢》はなかなかのやり手である。
墓地を追放する点もクールで、同じく墓地対策の《塵へのしがみつき》も用いて相手の墓地利用の手助けをしないようにしっかりと対処する。
しがみつきは同時に脱出で何度か利用できるドローにもなり、お互いの手札が尽きた状態ではこれで差をつけることでこちらが一歩リードするってわけだ。
そして、おそらくは《遺跡の碑文》を使いたいという思いからこの構成に至ったのだろう。
僕も黒コン=ハンデスという時代を経た世代なので、このカードは一際クールに見えるね。
クールポイントその2:激シブなフィニッシャー
カードを捨てさせ盤面と墓地を掃除しているだけではゲームには勝てない。そこで勝利へと向かうフィニッシャーが重要になってくるが、このデッキのそれはもちろん《死者を目覚めさせる者、リリアナ》。
自分も巻き込まれるが、恒常的なハンデス手段として機能し、また除去もできる。[-7]能力で得る紋章は、相手の墓地のクリーチャーも対象に取れる。これで捨てさせた or 除去したクリーチャーを美味しくいただいて、そのまま勝たせていただくのである。
あるいは紋章に頼らずとも[+1]能力を連打しているだけでも良い。手札が空になってカードを捨てられない相手は3点のライフを失う。これでゴリゴリ削りながら《悪ふざけの名人、ランクル》らで殴って追い込んでいこう。
もう1つのフィニッシャーポジションのカードが大変に……その……クールを越えて激シブってやつでね。《スカイクレイブの影》だ。
《冥界のスピリット》でピシピシ殴るデッキに憧れた世代には、こういう墓地から戻ってくるクリーチャーってたまらんのよ。ブロックには参加できないので完全に攻撃要員で採用されている。3/1とダメージ効率は良いが、ブロックされると簡単に死んでしまう。でも土地を戦場に出せば上陸能力で墓地から唱えられる。こちらが攻めに転じた状況で繰り出し、相手が抵抗してきても何度でも何度でも蘇らせ、影で蝕んでやろう。
キッカー・コストを支払って5/3にサイズアップできればなおよし。リリアナやランクルで放棄してしまっても簡単に回収できて痛くなく、最終的にはゲームを終わらせる。クールな悪夢だぜ。
さらなるクールのために
コントロールとしてのフィニッシュ力、対応力をさらに高めたいのであれば《精霊龍、ウギン》を使おう。要求されるマナの量が増えるので《真面目な身代わり》も採用し、コントロールとしてより高マナ域のカードを意識した構成にしても面白いだろう。
《精神迷わせの秘本》はコントロールが求める手札(質、量ともに)とライフの両方を供給するという点でもクールで、これらのカードを無色なのを良いことに検討してみたいところ。
クールなまとめ
今週も私生活はそれなりに忙しかったのだが、何故かテンションがクールに振り切れて2つもデッキを紹介してしまった。どちらもクールだったので、旬を逃さずお届けしたい。そんなクールなサービス精神に火がついてしまったようだ。
やれやれ、来週はちょっと控えめにやらなくちゃな……なんて思いを吹き飛ばす、3つ同時に紹介とか無茶させるようなクールなデッキの数々、待ってるぜ!
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