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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

人間、そしてパーティー(パイオニア)

岩SHOW

 『ゼンディカーの夜明け』がリリースされてしばらくの間、暇なタイミングでMTGアリーナにてドラフトを楽しんだ。カードも集まるし、実際に使うことでテキストを読むだけでは掴めない使用感が分かるのでオススメだ。

 このセットはクリーチャー・タイプを重視したものになっているが、最近の他のセットとは毛色が少し違う。

 クリーチャー・タイプにも2種類あって、1つはそのクリーチャーが生物学的(あるいは魔法学・機械学的に)に何に分類されるかという、種族を示すもの。人間・ゴブリン・エルフ・マーフォーク・吸血鬼・コー・ビースト・ドラゴン・エルドラージなどなどがこれにあたる。これらで固めて、同種族間でのシナジーを重視したデッキは部族デッキなどとも呼ばれるね。

 そういった種の区別のためのタイプとは別に、そのクリーチャーの各次元での役割を示すものもある。簡潔に言うなら職業。兵士・騎士・シャーマン・職工・狂戦士など、そのクリーチャーが何をしているのかが記されたものであり、ヒューマノイド系のクリーチャーはこれを与えられているものが多い。

 今回はゼンディカーでは、次元の謎に挑む探検隊をパーティーと見なし、そのパーティーを構成する職業にスポットを当てている。戦士・ウィザード・クレリック・ならず者の4種類だ。これらの職業を何種類コントロールしているかで威力が変わる呪文、すべてのパーティーが揃ったことで発揮される能力、そして各職業を強化するカード……どのカードも面白く、また特にパーティーが結成された時の強さはなかなか半端じゃないので、構築でも使ってみたくなる!

 そんなわけで今日はパーティーを参照するカードを用いたデッキを紹介しよう。フォーマットはパイオニア!

Ryan McD - 「人間・パーティー」
パイオニア (2020年9月18日、『ラヴニカへの回帰』~『ゼンディカーの夜明け』)[MO] [ARENA]
4 《寺院の庭
4 《秘密の中庭
2 《花盛りの湿地
4 《マナの合流点
4 《手付かずの領土
4 《霊気拠点
-土地(22)-

4 《イオナの大司祭
4 《実験体
3 《スレイベンの検査官
4 《サリアの副官
3 《光袖会の収集者
3 《光輝王の野心家
1 《収得の熟練者
1 《薄暮見の徴募兵
4 《反射魔道士
4 《ならず者の精製屋
3 《ドラニスのクードロ将軍
-クリーチャー(34)-
4 《集合した中隊
-呪文(4)-
2 《収得の熟練者
2 《先頭に立つもの、アナフェンザ
2 《罪の収集者
2 《ザスリッドの屍術師
1 《優雅な鷺の勇者
3 《致命的な一押し
2 《不吉な戦術
1 《復讐に燃えた血王、ソリン
-サイドボード(15)-
Ryan McD氏のTwitter より引用)

 

 モダンで特によく見られる人間の部族デッキ。各色に色々な能力を持った者がおり、また人間を強化するカードも多種多様。モダンでは《魂の洞窟》や《古代の聖塔》といった5色土地を使えることもあって、人間クリーチャーばかりで固めたデッキは強力なものだ。

 それをパイオニアに持ってきたという趣のこのリスト。上述の土地はこの環境にはないが、それでも《マナの合流点》《手付かずの領土》《霊気拠点》と十分に強い5色土地があるため、赤以外の4色で組まれている。

 人間を並べて《サリアの副官》で強化して一気に殴り切る、人間デッキの基本コンセプトはそのままに継承しつつ、その人間たちの職業に少しこだわることで別の戦略も生み出している。

 まず1マナ圏にパーティーに関するカードがある。《イオナの大司祭》だ。

 パーティーを構成するクリーチャーの数に等しいパワーを持つので、最大で1マナ4/2という打力の高さ。これ自身のクレリックと、あと1種類何かがいるだけで2/2になるので現実的に運用しても合格点。パーティーが全員揃えば、クリーチャー1体に+1/+1修整と飛行を与えるので、にらみ合いという状況も打破して一気に勝利まで導いてくれるだろう。もちろんポテンシャルを最大限に引き出すためにパーティーは全員揃えたい、《集合した中隊》もそれを後押ししてくれる……が、このリストはあまり無理をして形を歪めてもしょうがないと、その点は割り切っている。先述のように、パワーが2以上になればそれで十分に強いのだ。

 もう1枚のパーティー参照カードは《収得の熟練者》。

 これはどちらかと言えばサイド後、コントロールやコンボ相手に手札破壊でプランを崩させるために用いたいのでメインは1枚にとどまっている。これもパーティーが揃っていれば4枚見てその中から捨てさせることができるが、それだけ並んで無事にターンが返ってきている時点でメインはもう勝てているだろう、という判断からの枚数だろう。パーティーが揃っていなくとも、最低何か1枚の手札との交換になり、クリーチャーとしての仕事もするので無駄になることはないはずだ。

 他の人間のパーティー構成員は、主にならず者とクレリック。クレリックには新カードより《光輝王の野心家》。

 じわりじわりとだが、こちらの打点を高めて相手にプレッシャーをかけてくれる。これが除去されても、本命の《ドラニスのクードロ将軍》などの弾除けになってくれれば十分だ。

 ならず者はアドバンテージ獲得員を兼ねている。《ならず者の精製屋》でドローしてエネルギーを得て、そのエネルギーを《光袖会の収集者》がさらにドローに。《霊気拠点》のエネルギーとも相性が良く、手札が尽きることなく戦場を展開していけるので安心だ。

 残りの2つの職業のクリーチャーの採用は薄め。ウィザードは《反射魔道士》の4枚のみ。

 クリーチャーで攻めるデッキ以外には効果を発揮しないが、ハマるとその強さは超一級品。《集合した中隊》から飛び出てきて、状況をひっくり返してしまう爆弾的な存在だ。

 そして戦士は……1枚のみ。このリストを初見の時点で、カード名だけを眺めて瞬時にその戦士枠が答えられたらなかなかのマニアだ。《薄暮見の徴募兵》である。

 このカードが戦士であることを意識したのが初めてのことだったので、なんだか意外に思ってしまった。パーティーは揃えるつもりはあんまりないけど、揃ったらラッキーってな感覚で、じゃあどのカードなら採用してもデッキバランスを乱さないか、考えた末に単体で仕事をするこのカードが選ばれたのだろう。変身してしまうと人間でも戦士でもなくなるので、その辺は注意しながら運用したい。まあガンガン展開するデッキなのでそこは大丈夫かな。いざ変身するとそれはそれでいい仕事をすることもありそうだ。

 このデッキをベースに、せっかくだからもっとパーティーに寄せて、人間とパーティーの両面から攻めるデッキとして調整するのも楽しいだろう。低コストの戦士として《血に染まりし勇者》《第1管区の勇士》などが選択肢として数えられるか。

 他にもあまり職業を気にしたことがなかったクリーチャーを振り返ると、意外とパーティー構成員としての資質を持った者はいることだろう。今一度、各タイプで再確認してみると楽しいかもね!

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