READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:見捨てられた碑で無色単(ヒストリック)

岩SHOW

 今週のCool Deck! 私事ですが、最近結構忙しいのよ。せっかくの新環境だけども、自分のためのプライベートなマジックをあまり遊べていない。

 でも嬉しいことに、当コラムを楽しみにしているなんて声も耳にしちゃったりすることもあり、こりゃあ思いつきで始めた企画だけども続けなきゃいけないな、という使命感も芽生えてきたところ。同時に、このコラムのためにクールなデッキを探すのが前よりも楽しくなってきた。心のオアシス感がある。他人のためのクールが、自分自身のクールとなって返ってくる。クールは人のためならずとはよく言ったものだ。え、言わない? それは……クールさが足りんでしょ~。

 自分でもよくわからなくなってきたので本題に入ろう。今日のクールなデッキは『ゼンディカーの夜明け』導入後のヒストリックより、かなりの異彩を放つクールなリストを見つけたぞ!

Petrify - 「print thoughtknot」
ヒストリック (2020年9月22日、~『ゼンディカーの夜明け』)[MO] [ARENA]
4 《ザルファーの虚空
4 《光輝の泉
4 《次元間の標
2 《埋没した廃墟
3 《総動員地区
3 《スコフォスの迷宮
3 《爆発域
1 《オラーズカの拱門
1 《大瀑布

-土地(25)-

2 《不屈の巡礼者、ゴロス
3 《絶え間ない飢餓、ウラモグ

-クリーチャー(5)-
4 《守護像
4 《精神石
3 《精神迷わせの秘本
4 《面晶体の記録庫
3 《見捨てられた碑
4 《ウルザの後継、カーン
4 《大いなる創造者、カーン
4 《精霊龍、ウギン

-呪文(30)-
1 《不屈の巡礼者、ゴロス
2 《隕石ゴーレム
1 《白金の天使
2 《トーモッドの墓所
2 《墓掘りの檻
1 《航海士のコンパス
2 《魔術遠眼鏡
1 《精神迷わせの秘本
1 《神秘の炉
1 《見捨てられた碑
1 《王神の立像

-サイドボード(15)-
Petrify氏のTwitter より引用)

 

このクールなデッキは?

 このデッキは新カード《見捨てられた碑》をフィーチャーした無色単!

 もうビジュアルがね、何とも言えず絶妙にクールでしょう。この無機質な灰色で構成された75枚。美しい。

 《見捨てられた碑》はかつてゼンディカー次元に存在した《エルドラージの碑》と対を成すアーティファクトだ。かつてこの次元に封印されていたエルドラージを祀るために用いられた《エルドラージの碑》。エルドラージの封印は解かれ、無色の捕食者はこの次元を滅ぼさん勢いで繁殖したが、ゲートウォッチやゼンディカーの勇者たちの活躍によりエルドラージは一掃された。《自然のままに》のアートで《エルドラージの碑》も破壊されている。

 そしてその後に登場したのがこの《見捨てられた碑》。ウラモグの形をしたこの碑は、かつてエルドラージを崇めていた者たちにより建てられたのだろう。フレイバーテキストには《エルドラージの碑》と共通の人物であるアイリという僧侶が登場している。かつてはカムサの僧侶という肩書だったが、今は永代巡礼会の高僧に変わっている。ゼンディカーでいろいろあったんだなぁと思わせてくれる、この時点でクールなこのカードを取り上げているデッキなのだから、クールに決まっているのだ。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:無色なのにマナ加速

 《見捨てられた碑》はなんだかいろいろ書いてあり、どの能力も強いのだが、一番嬉しいものを選べと言われればもちろんマナ加速。{C}を引き出す目的でパーマネントをタップした場合、追加でもう1つ{C}が得られる。このデッキはすべて無色土地なので、土地から得られるマナがシンプルに倍になる。

 《精神石》《守護像》《面晶体の記録庫》からも大量にマナが得られるので、それで重たいカードを叩きつけて勝つ。《精霊龍、ウギン》か、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》。

 パーマネントを吹き飛ばす最強クラスの除去カードであり、盤面を掃除したならばそこからはゲームを終わらせるフィニッシャーとして牙を剥く。アーティファクトでのマナ加速を経て4ターン目に《見捨てられた碑》、そして5ターン目にウラモグなんて決めてしまった日には……クールすぎて申し訳ない。モダンにおける「トロン」デッキのように、コントロールでありながらコンボ的なマナ加速で勝ちをもぎ取るパワフルなデッキである。使っていて楽しいこと、間違いなし。

クールポイントその2:無色だからこその多機能な土地

 何度も言うようにデッキは無色単。無色マナさえあれば運用できるので、いわゆる色マナ事故というものとは無縁である。土地とマナ加速アーティファクトを引けていれば、唱えられないものはないはずだ。色事故しがちな体質にはありがてぇ。

 そして、無色単は他の単色デッキとまた一味異なる良さを持つ。基本土地でさえも不要なのである。{C}が出て、かつ何か他の能力を持った土地をしこたま採用できるのである。このデッキは土地だけでライフ回復、ドローと占術、特定のマナ・コストのパーマネントを破壊、墓地からアーティファクト回収、クリーチャーを戦闘から追放、3/3警戒での戦闘となんでも一通りできてしまう。これはちょっと他では味わえないクールさだ。《見捨てられた碑》から得たマナで能力を起動しまくろう!

クールポイントその3:デッキ名の意味

 このデッキはTwitterに投稿されていたもので、使用者はこのリストを用いてミシックランクの上位500位以内に入ったという報告をしている。「ラクドス・サクリファイス」などの生け贄デッキや《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を軸としたランプデッキ相手にはかなり有利で、ゴブリンや青単のテンポデッキ相手には苦戦、赤単バーンには互角かなと使用感も添えている。

 素晴らしい情報の共有だが、個人的にそのツイートの中で一番気に入っているのは、添付されたデッキリスト画像に書かれているデッキ名。「print thoughtknot」と名付けられているのだが、これが何を意味するかわからないプレイヤーも多いことかと思う。thoughtknotとは《難題の予見者》の英名の難題にあたる部分。「難題を刷れ」ってことは、要するに「ヒストリックに難題を再録してくれ」って意味だ。確かにこのデッキが《難題の予見者》を手に入れたら、大きく強化されることは間違いない。己の欲求をストレートに表現したデッキ名、クールだ。

クールテクニック!

 《不屈の巡礼者、ゴロス》からの《大瀑布》サーチ。

 これで無色デッキでありながら5色のマナを捻出して、ゴロスの能力起動。爆発的なアドバンテージを得るこの能力はヒストリックやその他のフォーマットで《大いなる創造者、カーン》を使うデッキに仕込まれている定番アクションではある。ただ、無色単のこのデッキが突然{W}{U}{B}{R}{G}を得るということのインパクトは他のデッキと比べて圧倒的にクールだと言えるだろう。

 もう1つのクールテクはカーン同士でのパス回し。《ウルザの後継、カーン》の[+1]能力を起動して公開された2枚のカード。そのうち1枚を相手が選び、それをこちらの手札に加えるのだが、当たり前だが強いカード・使われて嫌なカードは選んでもらえず、そのまま追放となる。

 銀カウンターが置かれて追放されたそれを《ウルザの後継、カーン》は回収する能力を別に持っているのだが……その追放されたカードがアーティファクトであった場合、《大いなる創造者、カーン》の[-2]能力でも手札に加えることができるのだ。カーンが2人並ぶと自由自在、これは超クール!

さらなるクールのために

 サイドボードの《大いなる創造者、カーン》から探してくるカードのチョイスは個人の色が出る部分でもあり、クールさを追求するのであれば工夫したいところ。

 個人的にオススメなのは《アクローマの記念碑》。

(『ヒストリック・アンソロジー3』に収録)

 

 自軍のクリーチャーが……むっちゃいろいろ能力を得る。中でも黒と赤に対するプロテクションは強烈。これで除去耐性を得た《ウルザの後継、カーン》が生み出す構築物と、あとは記念碑そのものを《大いなる創造者、カーン》でクリーチャーにして、いきなり大ダメージを叩き込んで勝つのが最高にクール。記念碑がメカ・アクローマとして出撃する瞬間は、ひとりでも多くの人に体験してほしいクールすぎるモーメントなのである。

クールなまとめ

 《見捨てられた碑》は良いカードで、カードパワーもほどよいクールさである。他のフォーマットでも活躍する予感もする。ヴィンテージだと《Mishra's Workshop》から4マナ得られるので、何かクールなことができそうだ。

 ぜひ皆も、この素晴らしい神話レアを手に入れてクールなデッキを組んでほしい! それじゃ、また来週ッ。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索