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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

創造の座、オムナス:コブラによる驚異のマナ加速(新スタンダード)

岩SHOW

 今回からいよいよ、『ゼンディカーの夜明け』がオンラインでリリース&プレリリースが行われた後に書かれたコラムになる。お待たせしましたってところだね。

 僕自身もローテーション後のスタンダードを実際にいくつか遊んでみて……新しいデッキ達とのマッチにエキサイトした! スタンダードから多くのカードが去ったことで、肩身の狭かったデッキたちが表舞台に飛び出さんとばかりに多く使われている印象を受けた。《狡賢い夜眷者》《滑りかすれ》などをキーとした「青黒フラッシュ」に妙に多く当たったのはたまたまなのか、マニアたちがここが好機と試しているのか。

 他にも新カードをふんだんに用いたデッキにも、もちろんたくさん出くわした。その中でも特に数が多かったのが《水蓮のコブラ》を用いたランプ系のデッキだ。

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 コブラは初代『ゼンディカー』が初出で、今回は再録という形でスタンダードに帰ってきた。当時、このカードの強さは既に証明されており、スタンダードやその他のフォーマットでも大いに活躍した。

 土地が戦場に出ることで誘発する上陸能力の持ち主で、その際に得られるのは好きな色のマナ1点。この能力で多色デッキや重いカードを用いるランプ系デッキを大きく強化し、スタンダードで活躍させた実績持ちだ。同時に登場した《霧深い雨林》のような他の土地を戦場に出す土地、通称フェッチランドとの組み合わせはコンボとも呼べるレベルでマナを加速させる。この組み合わせのおかげでモダンなどのフォーマットや、統率者、キューブドラフトとありとあらゆる環境で人気の高いクリーチャーなのである。

 このコブラが帰ってきたのだから、そりゃあランプを組むプレイヤーは多くなるというもの。しかも現スタンダードにはフェッチランドの末裔である《寓話の小道》がある! 手札から土地を出す《自然の怒りのタイタン、ウーロ》もいる!

 これらで上陸させまくり、マナを大量生産して大技に繋げるってわけだ。そんなわけでアーリーアクセス時点から大人気だった《水蓮のコブラ》を使ったデッキ、その一例がこれだ!

Scott ”HowlingMines” Mines - 「4色オムナス」
スタンダード (2020年9月18日、『エルドレインの王権』~『ゼンディカーの夜明け』)[MO] [ARENA]
2 《
3 《
1 《
1 《平地
4 《ケトリアのトライオーム
2 《ラウグリンのトライオーム
4 《岩山被りの小道
4 《河川滑りの小道
3 《枝重なる小道
4 《寓話の小道

-土地(28)-

4 《水蓮のコブラ
4 《砕骨の巨人
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
4 《創造の座、オムナス
2 《ケルドの心胆、ラーダ
4 《峰の恐怖
3 《豆の木の巨人

-クリーチャー(25)-
2 《移動経路
4 《発生の根本原理
1 《精霊龍、ウギン

-呪文(7)-
2 《探索する獣
2 《長老ガーガロス
2 《レッドキャップの乱闘
3 《否認
2 《焦熱の竜火
2 《神秘の論争
2 《怪物の代言者、ビビアン

-サイドボード(15)-

 

 《創造の座、オムナス》!

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 初登場時の《マナの座、オムナス》から再登場するたびに色を増やし続けたオムナス、4度目の登場でついに黒以外の4色のエレメンタルになってしまった。

 色が濃いため4マナ4/4とスペックには優れており、戦場に出さえすればとりあえず1枚ドローとこの時点で損をしない作りになっているのがありがたい。

 そしてオムナスは3段階の上陸能力を持つ。4点回復、{R}{G}{W}{U}の獲得、そして対戦相手とプレインズウォーカーに4点ダメージ……これらを土地が出るたびに順番に誘発させていくのだ。

 2段階目の能力は言うなれば4倍コブラである。とんでもない加速っぷりで、これはウーロや小道と併せて使いたくなるに決まっている。4色と色拘束がキツい? そんなものはコブラで解決してやれば良いのである!

 コブラからオムナスへ、そしてオムナスから次の大技へ。ゴールは明白、となれば既に取り上げたカードや《ケルドの心胆、ラーダ》《豆の木の巨人》《移動経路》などでとにかく土地を置いて、バンバン上陸しつつ使えるマナを増やすのみ!

 オムナスのその先に待っているもの、それは《発生の根本原理》!

 コストが{R}{G}{W}{U}のカードから{G}{G}{U}{U}{U}{R}{R}のカードに繋げるなんて、狂気と言われてもしょうがないレベルの色マナ要求度だ。それもこともなげに達成してしまう、コブラというカードはやはり桁違いに強い。

 で、この根本原理。ライブラリーの上にある5枚の中から、好きなだけパーマネントを戦場へ、残りは手札へという派手な効果を持っている。もちろんこれで土地を出すこともでき、そうすると上陸が誘発する。コブラが複数体いたりオムナスがいる状況であれば、根本原理を撃って土地を戦場にばらまきつつ2枚目の根本原理を手札に加え、それをそのまま唱えるというとんでもない動きだってできてしまう。現に僕も対戦相手にそれを決められるのが今シーズンのスタンダードのデビュー戦だった(しかもコブラ2体から4ターン目に! もちろん負けた)。

 夢物語のような出来事が、現実となるのがこのデッキなのである。根本原理を唱え、複数枚の土地と同時に戦場に出たコブラやオムナスが能力を誘発させる横でゲームを終わらせる能力を誘発させるものもいる。《峰の恐怖》だ。

 他のクリーチャーが戦場に出るとそのパワー分のダメージを好きなところに飛ばす能力を持ち、これもまた根本原理から他のクリーチャーと同時に飛び出した際に複数誘発するのである。大量のダメージを対戦相手本体に撃ち込んだり、クリーチャーやプレインズウォーカーを叩き潰してゲームを終わらせにかかろう。

 《発生の根本原理》×《峰の恐怖》のコンボは前スタンダードでも遊ばれていたデッキだった。コブラとオムナスを得たことで、このコンボの完成度が一気に高まり、高いパワーを誇るデッキへと成長したデッキと見ることもできるね。

 上陸をガンガン誘発させてビッグアクションに繋げていくのはとにかく楽しい。ただ、このデッキには注意すべき点がある。《河川滑りの小道》《岩山被りの小道》《枝重なる小道》、3種の小道サイクルの扱いである。

カードをクリックで別の面を表示

 これらの土地はそれぞれ、第2面に別の色を生み出す小道を持つ2色土地だ。デメリットもなく、とても便利な土地なのであるが……《繁殖池》のような前スタンダード環境にあった2色土地と決定的に違うのは、置いてしまったら1色しか生み出せない土地として固定されるという点。

 これをあまり考えずにその場のノリで置いていってしまうと、オムナスや根本原理を唱える際に必要な色マナが足りないという、お寒いことになってしまう。どちらの面で置くかは、長期的な視点を持って考えよう。

 ちなみに、《ケルドの心胆、ラーダ》の能力でライブラリーの上からこれらの小道を戦場に出す際にはどちらの面で置くか選ぶことが可能だが、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の能力で出す場合には選ぶことができずに第1面で戦場に出る。計算違いが起こらないように、注意して運用しよう!

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