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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
インビテーショナルに備えろ! コントロール編(ヒストリック)
思うがままに暴れ、戦ってみたい。そんな欲求をかなえてくれるのがマジックというゲーム。現実には唱えられない呪文を意のままに用いて、呼び出せない怪物や英雄たちを率いて、望んだことを実現させる。素晴らしいゲームだ。
ただ、プレイヤーの中にはそのマジックで叶えたい現実が「自分が思う通りのことをする」というよりは「他人に思う通りのことをさせない」というベクトルの人たちもいる。呪文を好きなように唱えるなど許しはしない、クリーチャーで攻め込むなんてもってのほかだと言わんばかりに、相手への妨害手段であふれたデッキ。それがコントロールに分類されるデッキだ。
このコントロールをこよなく愛するプレイヤーというのは、古の時代より常に一定数が存在し続けている。クリーチャーやその他のパーマネントを除去してライフを護り、打ち消しや手札破壊で相手のプランを崩す。自分が勝利に近づいていくのではなく、相手を勝利から遠ざけて可能性を摘むことで勝利へと到達する。長期戦上等、相手のライフを削り切る前に「この牙城は崩せん……」と諦めさせて勝つ。
今日はそんなコントロールデッキの、ヒストリック環境で活躍しているものを紹介しよう!
6 《島》 5 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 1 《ヴァントレス城》 3 《アーデンベイル城》 2 《廃墟の地》 1 《爆発域》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- |
3 《精神石》 4 《検閲》 1 《ドビンの拒否権》 1 《本質の散乱》 1 《封じ込め》 1 《アズカンタの探索》 3 《中和》 2 《吸収》 1 《除外》 1 《旋風のごとき否定》 4 《神の怒り》 1 《残骸の漂着》 1 《薬術師の眼識》 1 《テフェリーの誓い》 2 《サメ台風》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 1 《時の支配者、テフェリー》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(34)- |
1 《孤児護り、カヒーラ》 -相棒(1)- 2 《墓掘りの檻》 2 《ガラスの棺》 2 《霊気の疾風》 1 《ドビンの拒否権》 1 《ナーセットの逆転》 2 《機を見た援軍》 1 《神秘の論争》 1 《サメ台風》 1 《ヘリオッドの介入》 1 《夢を引き裂く者、アショク》 -サイドボード(14)- |
マジック黎明期より愛される青白2色のコントロールデッキ。《対抗呪文》で打ち消して、《神の怒り》で押し流す。その前者はコストが軽すぎていささか強すぎるのでしばらく再録されていないが、《神の怒り》は『アモンケットリマスター』に収録されたのでヒストリックでも使える!
というわけで環境の変化も相まって、以前は鳴りを潜めていた伝統的なコントロールが息を吹き返しつつある。4マナでデメリットなし、すべてのクリーチャーをまとめて吹き飛ばす《神の怒り》と、それを唱えるに至るまで、あるいは唱えた後の隙を補う打ち消し呪文で、戦場を相手の好きには形成させない。コントロール好きなら、やっぱこれだね。
ヒストリックの青白コン、それを組む決定打はやはりフィニッシャーである《ドミナリアの英雄、テフェリー》の強さに尽きる。
5マナと重めだが、出してカードを1枚引いて土地を2枚アンタップすることで実質3マナのカードとして運用できる。土地が6枚ある状態で出して、土地を3枚立てた状態で《中和》《吸収》などを構えて相手にターンを渡し、その返しのアクションを弾いたら後はテフェリーがもたらし続けるカードで延々と相手の行動を否定し続ける。そのうち相手は矢も尽き、心が折れて投了する羽目になる。
もし相手が投了しなくても、そのままテフェリーの忠誠度を伸ばし続けて紋章を得て、相手の反撃の芽を潰えさせ、その後こちらはテフェリーの[-3]能力でテフェリー自身をライブラリーに戻し、ライブラリー切れが起こらないという状況に持ち込んで勝利する。ここまでやるとものすごく時間がかかり、かつトーナメントにおいては時間切れになってしまうのでさっさと投了してしまうのが得策というわけだ。1枚で勝ってしまえるテフェリー、マジ最強。
《孤児護り、カヒーラ》を採用していることにも触れておこう。
クリーチャー・カードを1枚も採用しないことで、カヒーラの相棒条件が満たされている。ただで使えるものはもらっておこうというわけだ。ランク戦などデッキが非公開の状況では、対戦相手が猫デッキかなとか思い込んでくれる可能性もある。3マナ3/2警戒で、これで殴り続けて勝つこともないわけではないが、かなり珍しい。もっぱら、いざという時のブロック役……主にテフェリーらプレインズウォーカーを護るために盾となってくれることだろう。
15 《沼》 4 《ファイレクシアの塔》 3 《ロークスワイン城》 -土地(22)- 4 《墓所破り》 4 《縫い師への供給者》 4 《悪魔の職工》 4 《ラゾテプの肉裂き》 4 《忘れられた神々の僧侶》 3 《ぬかるみのトリトン》 1 《脳蛆》 4 《悲哀の徘徊者》 1 《貪欲なチュパカブラ》 1 《夜の騎兵》 2 《虐殺のワーム》 -クリーチャー(32)- |
4 《来世への門》 2 《王神の贈り物》 -呪文(6)- |
1 《脳蛆》 1 《疫病牝馬》 1 《疫病造り師》 1 《貪欲なチュパカブラ》 1 《虐殺少女》 1 《虐殺のワーム》 4 《思考囲い》 3 《墓掘りの檻》 2 《無情な行動》 -サイドボード(15)- |
こちらは最近オンライントーナメントで頭角を現してきた「黒単王神」。《縫い師への供給者》《ぬかるみのトリトン》で切削したり、《忘れられた神々の僧侶》《悲哀の徘徊者》《悪魔の職工》で生け贄に捧げるなどして、墓地にクリーチャー・カードが6枚以上ある状態を作る。
その状態で《来世への門》の能力を起動。《王神の贈り物》をいずれかの領域から戦場に出し、その能力で墓地のクリーチャーを4/4のゾンビ・トークンとして蘇らせ、戦場に出た時の能力を誘発させるなどして一気にゲームの主導権を握る。
こうして説明するとコンボデッキに見えるかもしれない。事実、コンボ要素は強いデッキではあるが、個人的には実際に使ってみて、盤面を自分の理想形に近づけていくコントロールデッキの一種であるように感じたのでここで取り上げさせていただく。
トリトンの接死をちらつかせて攻撃を足止めし、《貪欲なチュパカブラ》《夜の騎兵》《虐殺のワーム》でそれらのクリーチャーをしらみつぶしにする。その姿はまさしくコントロールと呼ぶにふさわしいだろう。
そういったカードの枚数が増えるサイド後は特にアグロデッキへの耐性が高まり、それを実感することになる。そして《王神の贈り物》のおかげでリソース勝負になってもこちらが上回ることができ、またゲームを長引かせずに速攻持ちのコピー・トークンでさっさと勝利するというのが強みだ。
中でも《悪魔の職工》を蘇らせれば、パワー10以上になることはザラ。これらを用いることで、対コントロールデッキでもロングゲームの末に突然の敗北を突き付けられるのがこのデッキの個性であるように感じた。
この「黒単王神」の良いところは、墓地利用デッキでありながら流行りの《墓掘りの檻》が通用しないこと。《王神の贈り物》は墓地からクリーチャーを戦場に出すのではなく、墓地のクリーチャーを追放してコピーを生成するので、この墓地対策の影響は受けない。なので自分で使うことで、その他の墓地利用やあるいは《上流階級のゴブリン、マクサス》を封じ込めつつ一方的に墓地を利用してしまえる、これはなかなか、ワルな話だ。
ヒストリックで数を増やしつつあるコントロールデッキ。仮想敵が定まれば定まるほど、より理想的なリストに近づいていくというその性質から、ミシックインビテーショナルでは世界のコントロール職人が珠玉のリストを持ち込んでくることだろう。それらのリストがハマるか、あるいは彼らの予想を超えたデッキがそれらを踏み潰すのか。そういったゲームが始まる前から起こっている駆け引きをメタゲームという。メタを読み切って栄光を手にするコントロールデッキが現れるのか、これは見ものだ。
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