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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラクドス・パイロマンサーで立身出世!(ヒストリック&パイオニア)
マジックのカード名は、それだけでいくらでも語れてしまう奥が深いコンテンツである。
カード名はそれを使う人に覚えてもらうため、その名前がそれを指していると認知してもらうためにいろいろと考えられて付けられているそうだ。確かに、適当に付けていたら似たような名前ばかりになってわけがわからない事態になっちゃいそうだね。その辺、しっかりと管理してカード名を決定している担当スタッフの方々には感謝したい。そして、それを日本語として訳している翻訳スタッフの方々にも。英語と日本語でニュアンスが異なるものをうまく翻訳してかっこよく、印象的なカードとして僕らに届けてくれている方々がいることを忘れてはならない。おかげで楽しく日本語でマジックやれてます!
日本語訳が面白いシリーズで言えば、分割カードは外せない。1枚のカードに2つのカード名が記された分割カード。その独特のビジュアルに加えて、これらの名前には法則性がある。過去の分割カードには、その2つのカード名の間にandを挟むことで一つの言い回しになるものが多かった。例えば「Assault」と「Battery」。
「assault and battery」で暴力行為という意味で用いられる。これを日本語に訳した時にも、そのニュアンスが伝わるようにそれぞれ《暴行》と《殴打》と訳された。暴行殴打、忘れられないフレーズだ。
『アモンケット』と『破滅の刻』の分割カードはそれまでのものとは異なり、余波という能力を持っている。手札からは余波と書かれていない側でしか唱えられず、墓地にある時には余波と書かれている側として唱えられる。1つの呪文を唱え、その後もう1つの呪文として再利用する。
この動きをよりイメージしやすいように、余波持ちの分割カードの名前も、それまでのA and BではなくA to Bという慣用句で統一されるようになった。これを日本語訳したもので、最も良い名前だなと思うのが《立身 // 出世》。
英名の「Claim」 to 「Fame」で「自慢できるもの」や「有名な理由」という意味になる。《立身》のアートに描かれているのはアモンケット次元における「5つの試練」をクリアし、蓋世の英雄として死を迎える者の姿。そして《出世》に描かれているのは、その死者が永遠衆と呼ばれるゾンビとなった姿だ。アモンケットではこれこそが栄光に満ちた来世に行くためのサクセスストーリーであり、まさしく立身出世の最たるものなのである。いやぁ~よく考えてつけられたカード名だなぁ。
と、いうフレイバーを抜きにしても、この《立身 // 出世》はカードとしても強力だ。今日はこれを用いたデッキを紹介しよう!
7 《沼》 5 《山》 4 《血の墓所》 4 《竜髑髏の山頂》 1 《ロークスワイン城》 -土地(21)- 4 《魔王の器》 4 《縫い師への供給者》 4 《戦慄衆の秘儀術師》 4 《若き紅蓮術士》 3 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 2 《忘れられた神々の僧侶》 -クリーチャー(21)- |
4 《初子さらい》 4 《思考囲い》 4 《村の儀式》 2 《無情な行動》 4 《立身 // 出世》 -呪文(18)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 2 《群れネズミ》 4 《強迫》 2 《塵へのしがみつき》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《削剥》 2 《アングラスの暴力》 -サイドボード(14)- |
「ラクドス・パイロマンサー」と呼ばれるリストだ。『Jumpstart』でパイロマンサーこと《若き紅蓮術士》を手に入れた赤と、『アモンケットリマスター』で特別再録された《思考囲い》を得た黒を組ませたデッキだ。
紅蓮術士の能力でトークンを並べて、それで攻撃したり相手の攻撃をブロックしたりして盤面を支配することを1つの戦術として用いる。そのためにインスタントかソーサリーを唱えるのだが、《思考囲い》はまさにうってつけ。1マナと軽いのでセットで運用しやすく、2点のライフという代償はあるものの、土地以外であればなんでも捨てさせられるので基本的にどんなデッキが相手でも腐ることなく機能する。脅威を未然に排除する、最強手札破壊の1つだ。
この《思考囲い》やその他のインスタント&ソーサリーを《戦慄衆の秘儀術師》でも使いまわして得しちゃおうってのも狙っている。
そして《立身 // 出世》である。《立身》を《若き紅蓮術士》がいる状況で唱えれば1マナでクリーチャーを2体用意できる。紅蓮術士も釣り上げられるのがナイス。《出世》はパワーを2上げて速攻を与える攻めの1枚。《戦慄衆の秘儀術師》を走らせて即座に能力を誘発させるのが強い使い方だ。
この強力な分割カードを強く用いるために、墓地関係のカードもたっぷりと採用しているリストである。たとえば《死の飢えのタイタン、クロクサ》。
《思考囲い》とセットで使って手札をガスガスに捨てさせて、土地以外のカードが捨てられない状況にあれば3点のライフも失わせる。《立身》で釣ることで、すぐにまた墓地に戻ってしまうがこの手札破壊&ライフ損失能力を再利用できる。
クロクサが脱出するための切削役を担うのは《縫い師への供給者》。
これでカードを一気に落として脱出コストに充てたり、秘儀術師で再利用する呪文を得たりとアドバンテージに繋げる。戦場に出た時、そして死亡時にも切削が誘発するので、《村の儀式》《忘れられた神々の僧侶》で生け贄に捧げてしまおう。これらはクロクサの死亡解決前に生け贄に捧げることも出来て相性◎。紅蓮術士の生成するエレメンタルも躊躇なく生け贄にできるってもんだ。
生け贄エンジンがあるなら、《初子さらい》で相手のクリーチャーも食っちまおうぜ! これも紅蓮術士および秘儀術師との相性が最高だ。
そして墓地を貯める能力に長けているデッキなのであればってことで、相棒には《夢の巣のルールス》。盤面を一掃された後の立て直しはコイツに任せろ。
クロクサを毎ターン使いまわすのも相手のリソースを奪う鬼のごとき攻めだ。
ルールスや《立身》との相性抜群な《魔王の器》も忘れちゃいけない。
切削や生け贄で墓地に落とし、これらのカードで墓地から戦場に引っ張り出すことで器から5/5飛行のデーモンに大出世。《出世》で走って空から7点!とかいうアグレッシブな動きも最高だ!と、デッキのすべてが絶妙に噛み合っている。ここまでくると芸術品とも呼べるデッキだな。
4 《沼》 4 《山》 4 《血の墓所》 4 《凶兆の廃墟》 3 《竜髑髏の山頂》 1 《泥濘の峡谷》 2 《ロークスワイン城》 -土地(22)- 4 《縫い師への供給者》 4 《戦慄衆の秘儀術師》 4 《若き紅蓮術士》 3 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 2 《ケラル砦の修道院長》 -クリーチャー(17)- |
4 《致命的な一押し》 4 《乱撃斬》 4 《思考囲い》 4 《村の儀式》 1 《突破》 4 《立身 // 出世》 -呪文(21)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 3 《群れネズミ》 2 《強迫》 2 《マグマのしぶき》 2 《魂標ランタン》 3 《害悪な掌握》 1 《コラガンの命令》 1 《ファリカの献杯》 -サイドボード(14)- |
おまけでパイオニア版のリストも載せておこう。ヒストリックと異なるカードプールなので構成は一部異なるが、《若き紅蓮術士》《戦慄衆の秘儀術師》《死の飢えのタイタン、クロクサ》そして《立身 // 出世》と相性の良い中核カードは同じだ。生け贄関係のカードは抑え目にして《致命的な一押し》《乱撃斬》でゴリゴリと攻撃を通していくスタイルだ。
最後に、どちらのサイドボードにも採用されているあるカードについて。
《戦慄衆の秘儀術師》と《死の飢えのタイタン、クロクサ》、《立身 // 出世》に《夢の巣のルールス》。これらのカードを用いるデッキを相手に、あなたは何を用いて対策するだろうか。そう、墓地対策カードである。《墓堀りの檻》《安らかなる眠り》のような墓地を追放したり、そこからカードを唱えることを否定するカードを用いられると、デッキの多くのカードが機能不全に陥る。
それを避けるために《思考囲い》に加えて《強迫》を足すなどして出される前に対抗しようとはするが、いつでも捨てさせられるかというと決してそんなことはない。そこで《若き紅蓮術士》のような墓地とは関係なくゲームに勝つためのカードを水増しするのが望ましい。
ヒストリックでもパイオニアでも、この要求に応え得るポテンシャルを見出されたのが……《群れネズミ》!
手札をコストに、自身のコピーを生み出す増殖力。そしてネズミの数だけのパワーとタフネスを誇る打撃力。カード1枚だけで勝てるとさえ評された伝説的なフィニッシャーである。
たった2マナという軽さで、出したターンにコピーまでさせるのであっても計5マナあればOK。単体除去では対処は不可能と言えるその増殖っぷりは、一度体験してみるとよくわかる。
このようなデッキを組む際には、デッキのベクトルと異なる攻め手でありながら無理なく共存できる、この《群れネズミ》のような1枚を用意したいね。
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