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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
カーンの深淵とウィッシュボード(レガシー)
前回は、サイドボードに用意したカードにメインデッキからアクセスする、「願い/Wish」と呼ばれる呪文や能力について触れた。今回もそれを主軸としたデッキを紹介しよう。
1つは前回から引き続き登場となる《大いなる創造者、カーン》。
任意のアーティファクトを手札に加えるという動きは、カードプールが拡がれば拡がるほど強くなっていく。今日のデッキはレガシーのもので、それゆえに1枚で勝負を決めるカードをサイドに控えさせられる。
そしてもう1つの願い系カードが、『ジャッジメント』で登場した元祖願いサイクルの一角である《燃え立つ願い》。
こちらはソーサリーを持ってくることができるので、これもまた古いカードが使えれば使えるほどその威力は増す(そもそもこれ自体が古いカードなのでエターナル環境でしか使えないが)。
願い系のカードで持ってくるカードをまとめて「ウィッシュボード」と呼ぶのだが、今日のデッキのウィッシュボードは堅実なアーティファクトと個性的なソーサリーというラインナップになっている。
それでは、もったいぶらずにその姿を拝んでいただこう。
1 《沼》 2 《Badlands》 3 《血染めのぬかるみ》 2 《囁きの大霊堂》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《古えの墳墓》 1 《裏切り者の都》 -土地(15)- -クリーチャー(0)- |
4 《水蓮の花びら》 4 《オパールのモックス》 3 《ライオンの瞳のダイアモンド》 1 《ミシュラのガラクタ》 4 《暗黒の儀式》 3 《思考囲い》 4 《燃え立つ願い》 4 《陰謀団の儀式》 4 《厳かなモノリス》 2 《防御の光網》 1 《苦悶の触手》 3 《深淵への覗き込み》 4 《ウルザの後継、カーン》 4 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(45)- |
1 《囁きの大霊堂》 1 《ライオンの瞳のダイアモンド》 1 《トーモッドの墓所》 3 《致命的な一押し》 1 《紅蓮地獄》 1 《罠の橋》 1 《ミジックスの熟達》 1 《苦悶の触手》 1 《マイコシンスの格子》 1 《深淵への覗き込み》 1 《徙家 // 忘妻》 1 《力ずく》 1 《虚空の杯》 -サイドボード(15)- |
アーティファクトとソーサリーのウィッシュボードを用いるデッキは……赤黒のぶっ放し系コンボデッキだ! 黒とアーティファクトが多く持つ、低コストで使えるマナを一時的に増やす呪文を詰め込んで、これらの連打で開幕から大技をぶっ放すのが信条である。デッキについて説明する……というよりは各コンボについて解説していった方がその全容がつかめるだろう。
1つ目のコンボは《深淵への覗き込み》!
上述の通り、マナ加速を連打してこの7マナと重いソーサリーをぶっ放す。《水蓮の花びら》《オパールのモックス》《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》《厳かなモノリス》……さらには《古えの墳墓》《裏切り者の都》と2マナ土地まで採用。これらを総動員すれば、1ターン目に覗き込みを唱えることも夢じゃない!
一気に20枚以上のカードをドローし、そのあふれた手札から何をするかというと……またマナ加速! 呪文を連打してマナを増やす。そして《燃え立つ願い》から持ってくるか、ナチュラルに引いてきた《苦悶の触手》を唱える。
このターンに唱えた呪文の数だけ、2点のライフを吸い取るコピーが生み出される。9回以上呪文を唱えていれば20点のライフを吸い尽くして勝利、というわけだ。
この覗き込みコンボの時に重宝するのが《燃え立つ願い》である。ウィッシュボードに潜ませた《深淵への覗き込み》を持ってくるか、あるいは覗き込み後に《苦悶の触手》でフィニッシュするか。あるいは《紅蓮地獄》《力ずく》などでコンボを阻害する相手のパーマネントに対処しても良い。この柔軟性がたまらない。
テクニックとして、マナ加速である《ライオンの瞳のダイアモンド》との組み合わせがある。
願いを唱えて、それを解決する前にこのダイアモンドを起動、手札をすべて捨てて好きな色のマナを3つ得る。その後願いを解決して、手札に加えたソーサリーをダイアモンドから得たマナを使って唱えるのだ。こうすることで、使いにくいダイアモンドが《Black Lotus》さながらの0マナから3マナ生み出す超加速となる。
また、このダイアモンドの手札をすべて捨てるという点に注目し、ウィッシュボードに《ミジックスの熟達》を仕込んでいる点が実に面白い。
墓地にあるソーサリーを対象とし、それをマナを支払わずに唱えるというこの呪文。ダイアモンドで捨てた《深淵への覗き込み》をたった4マナで唱えられるというわけだ。願いも含めて計6マナ、そのうち3マナはダイアモンドから捻出できるのでコンボを決めるためのハードルはかなり下がるというわけである。
覗き込みをぶっ放すために2マナ土地や《厳かなモノリス》も採用しているので、それらから得られる無色マナを活かすためにもカーンが採用されている。それも《大いなる創造者、カーン》に加えて《ウルザの後継、カーン》まで! 覗き込みコンボでありながらカーンデッキでもあるのだ。
というわけでこのデッキのもう1つの瞬殺パターンは、《大いなる創造者、カーン》を用いるもの。カーンからウィッシュボードの《マイコシンスの格子》を持ってきて設置、これで終了だ。
すべてのパーマネントがアーティファクトになる。そしてカーンの常在型能力で対戦相手はアーティファクトの起動型能力が使えなくなる。つまり土地からマナを生み出せなくなるということ。よっぽど特殊なデッキでない限り、開幕でこのロックコンボを決められて勝てるデッキはない。完封である。
この動きも《ライオンの瞳のダイアモンド》を噛ませることで大きく加速してやることが可能だ。引いたカードの内容によっては覗き込みから触手ではなくこちらを決めにかかることにもなるだろう。対戦相手がすでにクリーチャーを出していたらそのまま殴られてしまうが……そこを《ウルザの後継、カーン》が生成する構築物でカバーしてやれると完璧だ。無抵抗の相手に対してアーティファクトをズンズンと並べて、巨大な構築物を量産して押し切る。理想的な世界だ。
アーティファクトのウィッシュボードにもソーサリーと同様、対戦相手への妨害がしっかりと備えられている。これらを駆使してゲームを自分の思い通りに動かそう。
デッキとは関係のない話かもしれないが……『時のらせん』ブロックの背景ストーリーにて、事件解決後にカーンは己の中に邪悪なものが拡がるような異変を感じ、誰にも後を追わないように念を押してから久遠の闇へと姿を消している。久遠の闇とは多元宇宙において、次元と次元の間に存在する空間のことで、純粋なエネルギーに満ちたなんとも捉えようのない世界とのことだ。
このエピソードの後、カーンはミラディンにてファイレクシアの油に蝕まれ、ファイレクシアの新たな機械の始祖へと祭り上げられることとなる。その精神も狂気に支配されていた。今ではすっかり立ち直って、その新ファイレクシアとの戦いに向けての準備に取り掛かっているらしい。
《深淵への覗き込み》とカーンを共演させたこのデッキ……なんとなくカーンにプレッシャーをかけてしまいそうな気がしてしまう。まあ今のカーンなら「HAHAHA、なんだそんなことを気にしているのか」と笑い飛ばしてくれそうではあるが。MTGアリーナでカーンのアバターを使用していても、思いのほか笑ったりして感情豊かだからね(笑)。
己の深淵を覗き見て、それを克服したカーンの今後の活躍にも期待だ!
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