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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
時代を超えたコンボの宝庫(ヒストリック)
今回も週末のアリーナ・オープンに向けてヒストリックのデッキを紹介だ。トーナメントに出たいけどデッキをどうしようか迷っている、そもそもどんなデッキがあるかわからないのでそこの時点で躊躇している、そんなプレイヤーの助けになれば幸いだ。
今回取り上げるのは、ヒストリックにおけるコンボデッキだ。ヒストリックの特徴は、カードプールが広いこと。もちろんパイオニアやモダンなどより深みにあるフォーマットと比べればおとなしいものだが、スタンダードと比べると使用可能なカードの量は圧倒的に多い。『ヒストリック・アンソロジー』という再録セットのおかげで、パイオニアでは使用できない一部のカードも使えるというのがこのフォーマットの独自の魅力でもある。それに加えて『Jumpstart』も参入し、今まさに脂がのっているという状態だ。
このカードプールを使って何をするか? そりゃあ……コンボでしょ! ってわけで今日はコンボデッキの紹介だッ!
18 《沼》 4 《ロークスワイン城》 2 《ファイレクシアの塔》 -土地(24)- 4 《漆黒軍の騎士》 4 《薄暮軍団の盲信者》 4 《才気ある霊基体》 4 《銀打ちのグール》 3 《残忍な騎士》 3 《薄暮薔薇の棘、ヴィト》 4 《薄暮の勇者》 -クリーチャー(26)- |
4 《苦悶の悔恨》 2 《極上の血》 4 《傲慢な血王、ソリン》 -呪文(10)- |
4 《強迫》 2 《魂標ランタン》 3 《取り除き》 3 《軍団の最期》 3 《悪性の疫病》 -サイドボード(15)- |
まず1つ目のコンボは……黒単? しかも、パッと見たところ、コンボというよりは吸血鬼の部族ビートダウンに見える。実際にその側面は強いが、それでも紛うことなきコンボデッキなのだ。
コンボパーツは2枚、《薄暮薔薇の棘、ヴィト》と《極上の血》。
この2枚が戦場に揃うと……その状態でクリーチャーで攻撃するなりして、対戦相手がダメージを受けてライフを失う。そうすると《極上の血》の能力が誘発、その分だけこちらのライフが回復する。するとライフを得たのでヴィトの能力も誘発、こちらが得たライフの分だけ相手がライフを失う。お、ライフを失ったのなら血で回復、回復したならヴィトで失う、失ったのであららら~と、この2枚でループが形成され、自動的に相手のライフが0になる。決まれば爽快、実に気持ちよくわかりやすいコンボだ。
このパーツがどちらも黒単色であること、そしてヴィトが吸血鬼であること、吸血鬼関連のカードにはライフを得るものが多いことから、黒単吸血鬼にこのコンボを無理なく組み込んだ、そういう構成になっているのだ。
《漆黒軍の騎士》《才気ある霊基体》といった軽くて優秀な吸血鬼を序盤から展開し、相手のライフを詰めるなり戦線をにらみ合いにもっていくなりし、そのまま殴り切るかとどめはコンボで、という2通りの勝ち方ができるのはコンボデッキとして魅力的だ。
このデッキにおいて、どのプランにおいても重要なカードが《傲慢な血王、ソリン》だ。
彼の持つ、吸血鬼を生け贄に捧げて3点ダメージを飛ばし、自分は3点回復する能力はかなり重要だ。相手のクリーチャーやプレインズウォーカーを除去し、ライフを詰め、コンボが揃ったら相手本体にダメージを与えて誘発を引き出す……まさにデッキの主役だ。
このソリンと組み合わせることで真価を発揮するのが《銀打ちのグール》。
ソリンの能力でこれを生け贄に捧げる。ターンを終了すると、ソリンの能力で3点回復しているのでグールが墓地から戦場に戻る。ノーリスクでガンガン3点ダメージを飛ばせるってわけだ。この2枚も一種のコンボと言えるね。
メインコンボとサブコンボ、どちらも決まれば本当に気分が良いぞォッッ。
1 《島》 4 《繁殖池》 3 《湿った墓》 3 《水没した地下墓地》 2 《神聖なる泉》 2 《氷河の城砦》 1 《寺院の庭》 2 《陽花弁の木立ち》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 3 《インダサのトライオーム》 -土地(25)- 4 《精励する発掘者》 4 《万面相、ラザーヴ》 2 《迷い子、フブルスプ》 4 《湖に潜む者、エムリー》 4 《隠された手、ケシス》 2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 -クリーチャー(20)- |
4 《モックス・アンバー》 3 《彩色の宝球》 2 《ケイヤの誓い》 4 《時を解す者、テフェリー》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 1 《伝承の収集者、タミヨウ》 -呪文(15)- |
2 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 2 《暗殺者の戦利品》 2 《肉儀場の叫び》 2 《ケイヤの誓い》 2 《悪性の疫病》 2 《ウルザの殲滅破》 3 《夢を引き裂く者、アショク》 -サイドボード(15)- |
こちらは「ケシス・コンボ」、その名の通り《隠された手、ケシス》がコンボの主軸だ。
この伝説のエルフの能力は、墓地から伝説のカードを唱えられるようになるというもの。そのためのコストとして墓地から伝説のカードを2枚追放する必要があり、すなわちこのカードのポテンシャルを最大限発揮するには墓地に大量に伝説のカードを置く必要がある。
そこで使用するのがもう1つのコンボパーツである《精励する発掘者》。
伝説かアーティファクトである呪文を唱えれば能力が誘発し、ライブラリーからカードを2枚墓地に置く(最近、切削という名がつけられた)。
そしてここに第3のパーツである《モックス・アンバー》を加える。
アンバーを唱えて発掘者が誘発して切削、墓地に伝説のカードが落ちる。そこから《湖に潜む者、エムリー》《迷い子、フブルスプ》など、ケシスの能力が絡めば1マナなんかで唱えられる伝説のクリーチャーを唱えて、発掘者を誘発させる。そこで2枚目以降のアンバーが切削で落ちるとループが形成される。
すでに戦場にアンバーがある状態でさらにもう1枚唱えると、いわゆる「伝説ルール」でどちらか一方だけが残る。新しい方を残してマナを出している方を墓地に送り、新しいアンバーからマナを得る。ケシスの能力で墓地にあるアンバーをもう一度唱えられるようにして出し直し、再び入れ替え……この横に発掘者がいればゴリゴリと切削されて墓地にカードが溜まり、3枚目4枚目のアンバーも見つかる。こうやってマナを得ながらグルグルとアンバーをループさせ、ライブラリーを空っぽにする。最後は墓地から《神秘を操る者、ジェイス》を唱えて能力を起動するか、大量のマナから《ケイヤの誓い》2枚を何度も唱えなおしてライフを削り切って勝利する。
複雑ではあるが、安定して4ターン目にはコンボを決められる、強力で、かつ回していて楽しいデッキだ。
この既存のコンボが新たに得たものは《彩色の宝球》。
キーカードの関係で4色になっているこのデッキにとって、好きな色のマナを手札の消耗無く得られるこのアーティファクトは使い勝手が良い。アーティファクトなので発掘者の能力も誘発し、エムリーのコスト軽減およびその能力での使いまわしで手札も増える。地味ながらテクニックの幅が広がったのである。
10 《平地》 4 《山》 4 《聖なる鋳造所》 4 《断崖の避難所》 1 《凱旋の神殿》 1 《エンバレス城》 -土地(24)- 2 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(2)- |
4 《軍団の上陸》 1 《サテュロスの悪知恵》 4 《ドラゴンの餌》 4 《禁じられた友情》 4 《急報》 4 《ベナリア史》 3 《栄光の頌歌》 4 《英雄的援軍》 4 《異形化》 2 《銅纏いののけ者、ルーカ》 -呪文(34)- |
2 《エンバレスの盾割り》 2 《高山の月》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《不可解な終焉》 2 《焦熱の竜火》 2 《機を見た援軍》 2 《不敗の陣形》 1 《議事会の裁き》 -サイドボード(15)- |
最後に紹介するデッキは、これもまたアグロでありながらコンボの要素を持ったデッキだ。以前紹介したスタンダードの「ナヤ・トークン」にも似た構成である。
デッキに採用するクリーチャーを特定のものに絞って、《異形化》《銅纏いののけ者、ルーカ》でトークンを追放すると必ずそのクリーチャーが戦場に出てくるようにするコンボだ。
このデッキが戦場に繰り出すのは《孔蹄のビヒモス》!
自身のクリーチャーの数だけ全軍を強化し、トランプルも付与するスーパーモンスターがヒストリックにやってきたのだ。赤と白が得意とするトークンを並べて強化する戦術に、ビヒモス降臨コンボを搭載してフィニッシュまで持っていく力を大きく高めたデッキである。
《ベナリア史》《英雄的援軍》《栄光の頌歌》とクリーチャーを強化する手段は山ほどあるので、これらと優秀な低コストでトークンを生成する呪文だけで殴り切ることも簡単だ。
このリストはオンラインの大規模トーナメントで上位入賞したものであるが、1つだけ修正した方が良い箇所がある。サイドボードの《エンバレスの盾割り》だ。アーティファクトを壊せるしクリーチャーにもなるという便利なカードだが、ビヒモス出して勝ち!という状況で《異形化》を唱えたらこいつが出てきた、なんてことになったら悲惨なんてもんじゃない(笑)。《解呪》などの非クリーチャー呪文で対策するようにしよう。
他にもいろいろ紹介したいが、キリがないのでここらで留めておこう。ヒストリックの広大なカードプールにて、それぞれ活躍した時代が異なるカードたちが織りなすコンボ。マジックの華とも言える、これらのデッキを使いこなして、トーナメントで大きな勝利を収めよう。とりあえず、コンボに入るための道筋を確認するために何度も回すことが大事だね!
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