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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
セレズニア&オルゾフ・アグロ:復権のカギは破壊不能のスゴイやつ(スタンダード)
破壊不能。甘美な響きだ。
このキーワード能力、長くマジックをやっている身としてはまだ歴史が浅いものだと考えてしまいがちだが、この能力が初めて登場した『ダークスティール』の発売からなんと16年もの月日が経っていた。ヒェーッ。
最近のセットではすっかりお馴染みの能力となり、特に白にはこれを付与するクリーチャーや呪文が必ずと言って良いほど見られるようになった。
除去耐性の中でも、攻防ともに活きるかなり強力なものである破壊不能。『基本セット2021』でも一時的に、そして複数回に渡ってこれを得られるクリーチャーが登場した。《歴戦の神聖刃》である。
2マナでタフネスは1と低いが、パワーは3と攻撃するにはもってこいな前のめりのスペックの持ち主だ。手札を1枚捨てるとターン終了時まで破壊不能を得られる。一見、大きく損しているように見えるのだが、相手の除去を耐えたり、ブロックしてきたクリーチャーを一方的に倒したりすれば手札1枚との1対1交換となるのでイーブンな取引である。捨てるカードが不要な土地などであれば、むしろ有効活用できて得しているとさえ言えるね。
そんなわけだから、この手の能力を持ったクリーチャーは、比較的スルーされがちである。それならそれで、3点を叩き込めるのだから美味しいよね。
今日はこの神聖なる力に守護された戦士を使った、スタンダードのデッキを紹介しよう。
8 《森》 8 《平地》 4 《寺院の庭》 4 《豊潤の神殿》 -土地(24)- 4 《生皮収集家》 4 《無私の救助犬》 4 《青銅皮ライオン》 4 《歴戦の神聖刃》 3 《漁る軟泥》 3 《夢の巣のルールス》 4 《恋煩いの野獣》 4 《探索する獣》 1 《水晶壊し》 -クリーチャー(31)- |
3 《原初の力》 2 《黒き剣のギデオン》 -呪文(5)- |
4 《秋の騎士》 3 《変容するケラトプス》 2 《悪斬の天使》 3 《ガラスの棺》 1 《原初の力》 2 《エルズペス、死に打ち勝つ》 -サイドボード(15)- |
まずは「セレズニア・アグロ」。緑と白の軽量クリーチャーを序盤から展開し、とにかくクリーチャーでの攻撃で相手のライフを詰めていく攻撃一辺倒なデッキだ。アドバンテージを取ろうなど余計なことを考えずに作られているからこそ、安定してクリーチャーを展開して攻めることのできるアグロが組める、そのお手本のような構成だ。
特徴としては《歴戦の神聖刃》以外にも破壊不能を持ったり与えたりするカードで固められているという点に注目。《無私の救助犬》は1マナと使いやすく、先置きしておくことで相手の除去やブロックに対する牽制となる、見た目よりも厄介なヤツだ。
《青銅皮ライオン》は2マナ3/3とサイズにも優れ、マナを支払って自身が破壊不能を得ることで戦線を維持するのに加えて、万が一死亡しても戦場にいるクリーチャーに破壊不能を与えるオーラとして残ってくれる。緑白らしい粘りの1枚だ。
《黒き剣のギデオン》もまた破壊不能を与える。警戒や絆魂も与えられるので、最も効率よく殴り合いを進められる能力を与えて有利に戦おう。自身も3マナで4/4破壊不能の優秀なアタッカーであり、これらの鋼のような硬度を持ったクリーチャー軍団を全滅させようというのは骨の折れる作業となることだろう。
《夢の巣のルールス》がそのしぶとさをさらに一段押し上げているのも忘れちゃいけない。《無私の救助犬》を毎ターン再利用しながら突撃してくる《探索する獣》なんて、想像するだけで悪夢だ。
10 《沼》 4 《平地》 4 《神無き祭殿》 4 《静寂の神殿》 2 《ロークスワイン城》 -土地(24)- 4 《どぶ骨》 4 《漆黒軍の騎士》 4 《黒槍の模範》 4 《歴戦の神聖刃》 4 《朽ちゆくレギサウルス》 2 《狩り立てられた悪夢》 2 《残忍な騎士》 4 《騒乱の落とし子》 -クリーチャー(28)- |
4 《取り除き》 1 《闇の掌握》 3 《悪魔の抱擁》 -呪文(8)- |
4 《帆凧の掠め盗り》 3 《荒廃甲虫》 3 《ヴリンの翼馬》 4 《害悪な掌握》 1 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》 -サイドボード(15)- |
今日はもうひとつ、アグロデッキといえば名前が挙がってくる高尾翔太選手が、MTGアリーナのランク戦で使用しミシックランク帯で11勝1敗と非常に高い勝率を叩き出した「黒単抱擁アグロ」に白を足したリストだ。
2マナ圏のクリーチャーの増量と《空の粉砕》などへの耐性を高めるためのチョイスとのことだが、それが上手く機能しているのは勝率を見れば明らかだ。
優秀な黒の除去で眼前をこじ開け、《歴戦の神聖刃》が《朽ちゆくレギサウルス》らとともにラッシュをかける。破壊不能が得られるのは《悪魔の抱擁》の付け先としても優秀で、対コントロール系デッキ相手には縦横無尽の活躍を見せてくれるだろう。
白を足したことでサイドボードに《ヴリンの翼馬》を採用できるようになったのも大きい。相手の除去を1ターン遅れさせ、唱えたところで神聖刃が生き残ることで詰みの状況を作りやすくなっている。
最近のトーナメントでは結果を残せていないアグロデッキ。《歴戦の神聖刃》の参入はこの流れを断ち切り、アグロ復権の狼煙になるだろうか? 今週末開催のプレイヤーズツアーファイナルで、その答えが出るかもしれない。初めて開催されるファイナル、ハイレベルなプレイヤー同士の攻防がどんなデッキを用いて行われるのか、気になったらその目でチェックしよう!
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