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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
イゼット果敢(スタンダード)
『基本セット2021』のプレビューをここでやったのを覚えているかな? 《謎変化》が再録されたのをお知らせしたアレだ。
プレビューを頂いた時はそれはもう、気分は昂ったものだ。《謎変化》が帰ってくるという情報をもとに記事を書くため、いろいろと調べものをした。《謎変化》といえば果敢デッキのイメージが強かったので、果敢能力を持っているスタンダードのクリーチャーは……と調べたところ、なんと0枚! えっ、そんなことあるのか?と驚かされた。
果敢とは非クリーチャー呪文を唱えるたびに誘発する能力で、果敢を持つクリーチャーはそれらの呪文を唱えるたびにターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
『タルキール覇王譚』で登場したこの能力は、そのバランスの良さからキーワード能力のレギュラーポジションに収まり、主に青と赤のクリーチャーに与えられていくつかのセットに収録された。
しかしながら『イクサラン』以降はこの能力を持ったクリーチャーは登場していなかった。果敢に似た、インスタントとソーサリー限定でサイズアップするクリーチャーらは引き続き登場していたので、それもあってか果敢がないスタンダードが続いていることに気が付かなかったのだ。
この果敢が今回の基本セットで帰ってきた時には、ついこの間ないとわかったものが戻ってくるなんて、なんだか不思議な感覚だなぁと一人耽っていた。同時に今回、果敢を持つクリーチャーには、かなり強そうな面々がいる。
案の定、シーズンが始まってみるとこれらを用いた青赤・イゼットカラーのデッキが登場したので紹介しよう。
8 《島》 6 《山》 4 《蒸気孔》 4 《天啓の神殿》 -土地(22)- 4 《プテラマンダー》 4 《スプライトのドラゴン》 2 《心火の供犠者》 2 《砕骨の巨人》 2 《厚かましい借り手》 4 《嵐翼の精体》 -クリーチャー(18)- |
4 《突破》 4 《選択》 4 《ショック》 4 《高尚な否定》 2 《焦熱の竜火》 2 《胸躍る可能性》 -呪文(20)- |
2 《軍勢の戦親分》 3 《霊気の疾風》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《溶岩コイル》 3 《神秘の論争》 2 《炎の一掃》 1 《崇高な工匠、サヒーリ》 -サイドボード(15)- |
《嵐翼の精体》、初見時に能力多すぎないか?とビビったものだが、実際に使ってみるとやっぱり多すぎないか?とその強さに慄く。
インスタントかソーサリーを唱えていると、これのコストはたったの2マナにまで減少する。2マナで3/3飛行に果敢持ち!? 大盤振る舞いだなぁ。ついでに戦場に出た占術2。隙が無さ過ぎるッッ。
このカードを最も強く使うのであれば、やはり1マナのインスタント or ソーサリーと組み合わせたいところ。3ターン目にハイスペックなアタッカーを手に入れ、占術でプランを固めて殴り切るようなデッキで使いたい。
その点、イゼットであれば《選択》《突破》とドローあり、《ショック》で除去ありと納得のラインナップ。
これらの呪文から《嵐翼の精体》を高速展開し、出た後はこれらの呪文で果敢を誘発させて打点を大きく向上させる。
同じく果敢持ちである《心火の供犠者》も2マナ2/2と扱いやすく、打点に貢献する上に生け贄に捧げることでパワー分のダメージを飛ばせる除去にもなる。
これらを駆使する「イゼット果敢」はアグレッシブかつテクニカルなデッキである。
もちろんこれだけではクリーチャーが足りないので、他にも果敢に似たインスタントとソーサリーによってサイズアップするクリーチャーなどでデッキを固める。
《スプライトのドラゴン》は2マナで飛行&速攻、果敢と違って永続的に強化される+1/+1カウンターを得る。
《プテラマンダー》は、ドラゴンや精体を育てるために唱えた結果墓地に落ちた呪文を参照して、その分コストが減る強化能力を持つ。
これらの航空戦力を早いターンから展開して攻めていくわけだが、それならばということで新カード《高尚な否定》もメインからフル投入。
通常時は{1}だけ請求する少し弱い打ち消しだが、飛行クリーチャーがいれば{4}に跳ね上がり、多くのケースで相手の行動を打ち消せる。たった2マナで構えられてこれはなかなかに破格の性能だ。要所でこれを投げつけ、相手に強いカードを唱えさせずに軽量クリーチャーで押し切る。
手札の内容、相手のデッキ、お互いのライフに占術で確認したライブラリートップなどなど、さまざまな要因からプランを立て、それを実行する。これが初心者にはやや難しいところはあるかもしれないが、上手くハマって綺麗にプランを完遂できた時の爽快感はなかなかのもの。
デッキの特性上、コストが軽いインスタントとソーサリーが大半を占める。これらのカードは手札を1枚使ってカードを1枚引くなど、大きな効果を望めるものではない。1枚1枚のカードパワー勝負では、ハッキリ言って勝てっこない。
だからこそ、何も考えずに「とりあえず1マナ浮いてるから《選択》を唱えるか」というプレイをするのではなく「果敢持ちを出してから唱えて打点に上乗せするために、ここは1ターン我慢しよう」などの冷静なプレイを求められる。この手のデッキは相手との戦いであると同時に、ある種の誘惑とも戦わねばならない。
軽い呪文に軽いクリーチャー、これらの組み合わせで勝利を重ねられるようになれば、腕が上がったという証拠だね。
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