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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
オムニテル:全知ヲ提示セヨ(レガシー)
なんだかんだで、もうすぐ『基本セット2021』の話題が出てくるタイミングだろう。イコリア旋風が巻き起こったと思ったら次なるステージがもうやってくるのだ。まだまだその詳細は不明だが、どんなカードが新たに作られ、またどんなカードが再録されるのかとても楽しみだ。
基本セットはそれ専用の特別なキーワード能力などのメカニズムを含むことはほぼないが、『基本セット2010』以降はインパクトあふれるカードを生み出し続けることで、基本といっても無視できない重要な存在となっている。
では過去の基本セットでリリースされたカードの中で、最もインパクトがある1枚とは何だろうか。ナンバー1を決めるにはさまざまな意見があるだろうが、これは外せないというカードなら……《全知》じゃないかな。
トリプルシンボルで10マナというぶっ飛んだコストと、シンプルながら読めば読むほどにヤバいことが書いてあるとわかるテキストが放つ衝撃。ジェイスが永劫の世界を歩むイラストもまさしく全てを知るという雰囲気を放っていて素晴らしい。
魔法というものの本質を理解することで、それを唱えるためのマナから解き放たれて思うがままに振る舞える……まさしく神のごとき力を得られるこのエンチャント、どのような想いからデザインされたかは当時の開発者の記事を読んでみるとうかがい知ることができる。デザイナーが基本セットをいかにワクワクしたものにしたいかが伝わってきて、なんだかホッコリするんじゃないかな。
次なる基本セットにもこのようなワクワクが詰め込まれていると信じて、今日は《全知》デッキを紹介しよう。
5 《冠雪の島》 1 《神秘の聖域》 2 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 1 《霧深い雨林》 4 《古えの墳墓》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -土地(19)- 1 《グリセルブランド》 2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(3)- |
3 《水蓮の花びら》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《定業》 4 《呪文貫き》 1 《衝動》 3 《狡猾な願い》 2 《直観》 4 《実物提示教育》 2 《抽象からの抽出》 4 《意志の力》 4 《全知》 -呪文(38)- |
2 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《外科的摘出》 3 《墓掘りの檻》 3 《防御の光網》 2 《残響する真実》 1 《蟻の解き放ち》 1 《急流》 1 《呼応した呼集》 1 《火想者の予見》 -サイドボード(15)- |
2012年以降マジックをやっているプレイヤーにとってはお馴染みとも言えるデッキだが、おさらいの意味も込めて。レガシーの「オムニテル」だ。オムニは《全知》の英名から、テルも同じくカードの英名からとられたもので《実物提示教育》のことである。
このソーサリーを使えば、たった3マナですべての知識があなたのものに。対戦相手も手札からパーマネントを出してくるというデメリットもあるが、それを差し引いても《全知》であらゆる呪文のマナ・コストを支払わずに唱えられるのは大きい。
この高速《全知》設置から思うがままに暴れてやろうというコンボデッキである。早ければ《水蓮の花びら》《古えの墳墓》で1ターン目からネクストレヴェルへの到達も可能だ。思い切りぶっ放して、君も全知の存在にならないか?
なんだかテンションがおかしくなってしまったが、《全知》は置いてからが本番。さあ何を唱えようか。最もシンプルな1枚のカードとしては《引き裂かれし永劫、エムラクール》だろう。
マナ・コストは支払わずとも手札からきちんと唱えるので、追加ターンを得る能力が誘発する。その上で15/15飛行・滅殺6で攻撃できるのだから、大体のゲームはこれで勝てる。
ただ、あくまでも大体だ。殴ってターンを返したら向こうにコンボを決められて負けるなんてことがないとは言えない。より万全を期すなら、打ち消しもあれば安心だ。《グリセルブランド》による大量ドローはエムラクールと《意志の力》《呪文貫き》をしこたま提供してより手堅い勝利をもたらしてくれるだろう。
いやあるいは、クリーチャーによる攻撃という不確かなものよりももっと確実な勝利が欲しいのであれば――すでに無限ライフを決められていたら時間内に殴り切れないからね――そんな時には無限にダメージを飛ばしてそのターンのうちに勝ってしまおう。《狡猾な願い》を使うのだ。
これでサイドボードから《火想者の予見》を持ってくる。
すぐさまこれを唱えて、今度は《狡猾な願い》と《渦まく知識》を手札に加える。《渦まく知識》を唱えてエムラクールや《全知》などコストが重いカードをライブラリーの一番上に置く。《狡猾な願い》から今度は《蟻の解き放ち》を引っ張ってきて、これを対戦相手に向けて放つ。
1点与えてから激突を行い、お互いのライブラリーの一番上を公開。エムラクールなどの激重カードを乗っけておけば、まず激突に勝利できる。勝利したら《蟻の解き放ち》は手札に戻る。1点1点1点……全てを知る存在による蟻大放出である。見た目も地獄で、素晴らしい勝ち方だ。
《狡猾な願い》はコンボフィニッシュの役目だけでなく、《急流》や《外科的摘出》など状況に応じたカードを引っ張ってくることでゲームを有利に進めることを助ける。シブいカードとしては《呼応した呼集》が採用されているのがいいね。
エムラとグリセルの仲良しセットを手に入れるのはいつだって最高だ。
《全知》が出たからには、いつかは「全能」なるカードも出てほしいと思うのが人情。過去には《全能なる者アルカニス》というクリーチャーもいた。これはカードを3枚もドローできる能力を持っていたので、もしカード化されれば似たような大量ドローになるのだろうか。《全知》から全能を唱える、一度はやってみたい夢がいつの日か叶うと信じて待つ。永くやれる趣味だよ、まったくね。
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