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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

グルール・ファイアーズ(スタンダード)

岩SHOW

 赤緑のギルド、グルール一族は2色の野性味あふれる一面を体現した集団だ。野蛮で狂暴、反文明的で自然の中での昔ながらの生活を送る、ギルドというよりはいくつかの部族の集まりといった方が正しいかもしれない。

 自由に生きるこのギルドのメンバーの暮らしは裕福なものではない。その中にはラヴニカのギルド間闘争などにより親を亡くした孤児も多く含まれているようで、あの《ドムリ・ラーデ》も孤児である。戦いにより序列を決める連中ではあるが、孤児を受け入れ、たくましく育てる優しさがあるように個人的には感じている。

 孤児と言えば、イコリア次元には《孤児護り、カヒーラ》がいる。

 この獣についての詳しい設定は不明だが、イコリアに生きる巨獣の子どもたちを親の代わりに護り育てる心優しい獣なのだろう。

 これとともにに戦場に並び立つことで、猫・エレメンタル・ナイトメア・恐竜・ビーストは+1/+1修整を受けるとともに警戒を持つ。クリーチャーを並べて攻めるのが信条のグルールに、この気が優しくて力持ちな獣たちの親が加われば……ある意味ドリームチーム!

 今日はカヒーラを相棒にしたグルール・デッキを紹介しよう!

Daniel Rinehart - 「グルール・ファイアーズ」
スタンダード (2020年5月10日)[MO] [ARENA]
8 《
6 《
4 《踏み鳴らされる地
2 《奔放の神殿
2 《ケトリアのトライオーム
3 《眷者の居留地
3 《寓話の小道
-土地(28)-

4 《樹上の草食獣
4 《変容するケラトプス
3 《水晶壊し
3 《探索する獣
3 《炎の騎兵
3 《クオーツウッドの壊し屋
2 《巨智、ケルーガ
-クリーチャー(22)-
4 《創案の火
2 《エンバレスの宝剣
2 《ボーラスの壊乱者、ドムリ
2 《怪物の代言者、ビビアン
-呪文(10)-
1 《孤児護り、カヒーラ
-相棒(1)-

2 《打ち壊すブロントドン
1 《茨の騎兵
1 《墓掘りの檻
2 《神秘の撤回
2 《焦熱の竜火
2 《炎の一掃
3 《虚空の力線
1 《ヴァドロックの神話
-サイドボード(14)-
Daniel Rinehart氏のTwitter より引用)
 

 カヒーラを相棒にするには、これが強化する5つのタイプを持ったクリーチャーのみでデッキを構築する必要がある。幸い、グルール・カラーには選択肢が豊富に用意されている。もともと赤と緑に多く存在するビースト、恐竜、そして地味ながら大きいのはエレメンタルの存在。エレメンタルが使えるということは《炎の騎兵》が使用可能と言うことであり、これと《創案の火》を組み合わせた通称「ファイアーズ」仕様のデッキを作ることができるってわけだ。

 《創案の火》からマナを支払わずに《炎の騎兵》とデカブツを唱え、余っているマナで騎兵の能力を起動しパワーを上昇させるとともに速攻を与え、大ダメージを叩き込んで一気にゲームを終わらせる……このコンボ的大技を仕込んだアグロデッキこそが、『イコリア』環境の「グルール・ファイアーズ」だ。

 ビーストである《樹上の草食獣》で土地を置いて使えるマナを増やすことができるので、軽いクリーチャーはこのデッキには他に採用されていない。

 3マナ圏にはカヒーラがいるので不要であり、4マナ以上の武闘派を主軸に使おうという構築になっている。重い一撃を放つ連中を展開して殴る。勝つために行うアクションはそれのみだ。

 クリーチャーのチョイスは今のスタンダードをよく反映したものとなっている。最優先は《変容するケラトプス》。

 現スタンダードにおいてプロテクション(青)の持つ意味は大変に大きい。《厚かましい借り手》や《時を解す者、テフェリー》で戻されない、《裏切りの工作員》で奪われない、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《空を放浪するもの、ヨーリオン》にブロックされない……などなど。この妨害を恐れない恐竜は《創案の火》から唱えても強いが、普通に用いることができる現実的なコストなのも嬉しく、それでいて速攻を得られるので相手に余裕を与えない。

 同じく速攻を持つ《探索する獣》はプレインズウォーカー主体デッキには相変わらず強い。

 また《創案の火》などのエンチャントやアーティファクトも多く使われる環境なので《水晶壊し》も良い働きを見せてくれる。

 5マナ以上の連中になれば説明不要なシンプルな強さであるが、一応触れておこう。《クオーツウッドの壊し屋》はトランプル持ちがどんどんとトークンを生成するので、殴り合いにはもってこい。

 これがいる状況であれば《探索する獣》に《水晶壊し》を変容させてトランプルを与えると、なかなかすごいことになる。接死とトランプルが組み合わさり、最低限のダメージで相手のブロッカーを屠りつつダメージが突き抜けて恐竜・トークンが湧いてくる。このオーバーキルっぷりがたまらない。

 《巨智、ケルーガ》はこれを相棒にした《創案の火》デッキでも活躍中で、それと同じく手札を補充してくれる能力がこの手のデッキにとってはありがたい。さりげなく持っている恐竜タイプによってカヒーラデッキにも参入できるのだ。

 これらの連中をカヒーラで強化し、警戒を与えることで殴り合い上等、どつき合い最強の風格を漂わせるデッキに仕上がっているのだ。

 ケルーガもそうだが、手札を得るという点では《眷者の居留地》はかなり重要な1枚だ。

 パワー4以上のクリーチャーをコントロールしているという条件付きではあるが、上述のように4マナ以上のクリーチャーばかりなので、誰かが出ていればこの土地でドローが可能というぐらいお手軽に起動できる。《創案の火》で余ったマナの有効活用に用いよう。

 このドローが無茶苦茶強いので3枚も採用されているが、この土地が2枚以上手札に来てしまってダブルシンボルのカードがプレイできずに負けてしまったゲームも複数回経験したので、そのあたりの微調整は必要かもしれない。リスクに見合うだけのリターンではありそうだけどもね。

 また、カヒーラを使うのであればもっとクリーチャー・タイプを寄せた形も組める。エレメンタルを主体としたものはよりクリーチャー同士のシナジーによる爆発力を楽しめる。

Masahide Moriyama - 「グルール・エレメンタル」
スタンダード (2020年5月5日)[MO] [ARENA]
11 《
4 《
4 《踏み鳴らされる地
4 《奔放の神殿
3 《寓話の小道
2 《ケトリアのトライオーム
1 《眷者の居留地
-土地(29)-

4 《樹上の草食獣
4 《這い絡む火跡
4 《探索する獣
4 《駆け回る物焦がし
4 《変容するケラトプス
2 《水晶壊し
4 《炎の騎兵
-クリーチャー(26)-
1 《焦熱の竜火
4 《創案の火
-呪文(5)-
1 《孤児護り、カヒーラ
-相棒(1)-

1 《水晶壊し
2 《墓掘りの檻
2 《丸焼き
2 《魔術遠眼鏡
1 《焦熱の竜火
3 《炎の一掃
3 《アクロス戦争
-サイドボード(14)-
 

 《這い絡む火跡》とカヒーラで、エレメンタルを強化する、いわゆるロードが5枚体制に。

 より「面での攻め」が強化され、《駆け回る物焦がし》から爆発的なダメージを叩き込むことが可能だ。

 《創案の火》で浮いたマナは《這い絡む火跡》に注ぎ込むことで、横と同時に縦の軸で相手を攻め込める。速攻持ちが増えたことでコントロールデッキに《空の粉砕》などで流された返しにも殴りに行きやすいのが強いね。

 カヒーラはなかなかに楽しませてくれる相棒だ。ドスドスと殴るデッキを使いたいのであれば、候補として試してみることをオススメしよう。ワイルドに、パワフルに。対戦相手を踏み潰す快感を味わおう!

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