マジックでは昔からちょいちょいあることなんだけども、なんだかギャグっぽい見た目のカードが活躍するというイベントが定期的に発生する。

　各種伝説のクリーチャーやプレインズウォーカーをはじめ、ストーリーにおける重要なシーンをカード化したカッコイイ見た目のカードが強いのはよくあることだし意図的にそう作ってあるんだろうけれども、それらと対照的にあんまり強くなさそうな、ともすれば笑いを取りに行っているようなコミカルな見た目のカード、一体どういう状況かわかりづらいイラストが描かれたカードが、それらカッコイイカードを蹴散らす暴れっぷりを見せることがある。それもまた楽しいことで、個人的には嬉しい瞬間だったりする。

　過去のカードで言えば《実物提示教育》《寄付》《サイカトグ》などなど……最新のもので言えば、やっぱり《サメ台風》！

　サメが巨大な台風に巻き上げられているなんて、Ｂ級映画じゃないんだから……サメの中にはシュモクザメもいたり、雷鳴まで光っていたりと芸が細かい。

　この最高のイラストとカード名を与えられた《サメ台風》、冗談のようなルックスとともにカードパワーも高いのだから素晴らしい。６マナと重いが、非クリーチャー呪文を唱えるたびに飛行を持ったサメがワラワラと湧いてくる。この光景も初見では笑えたが、サメの群れにノックアウトされてからは笑いよりも恐怖が勝るようになったね。

　ゲーム序盤に引いてしまってもお荷物にならないようにサイクリングがついていて、しかもマナを注げばサメ・トークンもついてくる。至れり尽くせりとはまさにこのことだ。

　今日は《サメ台風》を得たことで強化された、スタンダードの人気デッキを紹介だ。

　そのデッキは「ティムール再生」。キーカードは《荒野の再生》。

　ターン終了時にすべての土地をアンタップするこのエンチャントで、マナを大量に得てインスタント・タイミングのアクションを行い、手数で勝負しようというデッキである。

　自身のターン終了時に《荒野の再生》の能力が誘発し、これを解決する前に土地をすべてタップしマナを得て、解決後にアンタップした土地をまたすべてタップすれば、瞬間的に莫大なマナを得られる。これを《発展 // 発破》の《発破》に注ぎ込んで大ダメージ＆大量ドロー！

　最終的には《荒野の再生》を複数枚設置して、《発破》で対戦相手のライフを焼き切るかライブラリーを引かせ切って勝利する。なかなかに爽快感にあふれたコンボだ。

　この再生コンボの、《発破》以外の勝ち筋に《サメ台風》が名乗りを上げた。《サメ台風》は６マナと重く、往々にしてこれを設置したターンには追加の呪文は唱えられず、サメを生成していくのは次のターンからになる。このタイムラグを《荒野の再生》が埋めてくれるのだ。《サメ台風》を設置して土地アンタップ、相手のターンに打ち消しなり除去なりドローなりを唱えて、サメをばら撒いて制空権を得る。あるいは《荒野の再生》設置後、アンタップした土地のマナから《サメ台風》をサイクリングしてデカいサメを降臨させるという手もある。いずれにせよ相性は抜群ってことだな。

　序盤は《成長のらせん》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》でドローを進めつつ土地を並べ、《炎の一掃》でクリーチャーを除去したり各種打ち消しで相手の行動を阻害する。

　相手に隙が見えたり、打ち消しを構えながら動けるようになったら《荒野の再生》を置いて、そこからは相手のおよそ倍のマナを使って行動していく。

　《ヴァントレス城》はマナの使い道として優秀、後から引いてきた《ケトリアのトライオーム》もサイクリングして、マナは無駄なく使っていこう。多く得られたものを惜しまずに使ってこそ勝利は手に入る。

　逆に《荒野の再生》を置いたはいいがマナの使い道が全くない、というゲーム展開は望ましくないので、きっちりとそのあたりを考えながら行動していこう。序盤は《発展 // 発破》を《発展》として唱えることも大きな恩恵をもたらすことがあるのを覚えておこう。

　しかしまあ、文明が崩れ去って自然が帰ってきたと思ったら、暗雲がよぎり海よりサメを巻き上げた台風が迫ってくるなんて光景……たまらんなぁ。マジックはＢ級映画好きも満たしてくれる、まさしくモンスターコンテンツだな。イコリアの巨獣たちには、超自然現象で応えるってのも手だぞ！