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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジェスカイ・ファイアーズ(スタンダード)

岩SHOW

 前環境のド安定デッキと言えば「ジェスカイ・ファイアーズ」。青赤白の3色デッキで、キーカードは《創案の火》。

 このエンチャントを設置することで、以降は1ターンに2回しか呪文を唱えられず、相手のターンにも唱えられなくなるという欠点を抱えてしまうが、呪文を唱える際にマナが不要になるという大きな恩恵を受けられるようになる。点数で見たマナ・コストが自身がコントロールしている土地の枚数以下という縛りこそあれど、5ターン目に5マナの呪文を2回唱えられると考えればその加速っぷりは相当なものだ。

 マナの使い道がなくなってしまうが、そこを《炎の騎兵》や《帰還した王、ケンリス》のように全クリーチャーに速攻を与える能力を持ったものの起動に充てることで無駄なく消費し、速やかに勝利することが可能となる。

 このデッキは『テーロス還魂記』の時には、デッキの形を大きく変えるようなカードを得ることはなかった。《空の粉砕》か《嵐の怒り》か、全体除去の選択肢が増えたくらいであり、それらのカードも用いないということも多々。それでいて、デッキとしては強く、特に長丁場となるトーナメントではその安定した強さを買われて多くの実力者に愛用されていた。

 『イコリア:巨獣の棲処』がリリースされたことでこのファイアーズは……その根本が変わったということではないが、新しい戦略が導入されることで大きく強化された。相棒である。初期手札が実質8枚でスタートとなるその事実だけでも強い相棒だが、中でも相性が良いのが《巨智、ケルーガ》。

 2マナ以下の呪文をデッキに入れられなくなるという縛りを持つが、そもそも重いカードで勝負したいファイアーズには軽いカードが入っていないため、すんなりと迎え入れられる。それでいてこのカバ・恐竜は戦場に出た際に、点数で見たマナ・コストが3以上である自分のパーマネント1つ(ケルーガ自身は除く)につき1枚ドローをもたらしてくれる。

 《創案の火》を置いたは良いが手札がなくて、その加速能力を全く活かせずに負けてしまった……このファイアーズあるあるをケルーガはばっちりケアしてくれるのである。見た目通り優しいお方!

 今日は「ケルーガ・ファイアーズ」の一例を見てみよう!

Phizzle - 「ケルーガ・ファイアーズ」
Magic Online Standard Challenge #12143028 準優勝 / スタンダード (2020年4月25日)[MO] [ARENA]
1 《
2 《
1 《平地
4 《蒸気孔
3 《天啓の神殿
4 《神聖なる泉
2 《聖なる鋳造所
3 《凱旋の神殿
3 《ラウグリンのトライオーム
2 《ヴァントレス城
3 《寓話の小道

-土地(28)-

4 《砕骨の巨人
2 《厚かましい借り手
4 《予見のスフィンクス
4 《炎の騎兵
2 《帰還した王、ケンリス

-クリーチャー(16)-
4 《轟音のクラリオン
4 《創案の火
2 《エルズペス、死に打ち勝つ
4 《時を解す者、テフェリー
2 《古き道のナーセット

-呪文(16)-
1 《巨智、ケルーガ

-相棒(1)-

4 《軍勢の戦親分
4 《神秘の論争
4 《虚空の力線
2 《嵐の怒り

-サイドボード(14)-

 

 相手がクリーチャーを展開して殴ってくるデッキであれば《轟音のクラリオン》などの除去でライフを護って時間を稼ぎ、《創案の火》を置いたら反撃開始。《炎の騎兵》らを展開して速攻と高いパワーで圧殺する、コントロールとコンボの要素が抱き合わせとなったデッキだ。

 4/3であると同時に、このデッキに本来存在しないはずの2マナの除去になってくれる《砕骨の巨人》、同じく2マナの時間稼ぎになりパワー3の飛行がプレインズウォーカーの潰し合いでも活きる《厚かましい借り手》、4マナ4/4飛行とバランスが良く初手に来た際には《創案の火》や土地を探しに行く占術を行えて嬉しい《予見のスフィンクス》と、クリーチャー陣は前環境から引き続き優秀なスタッフが揃っている。

 ここにケルーガが加わったことでアドバンテージ勝負も可能になり、ますます安定感が上昇したってわけだ。

 他に加わったカードとして注目は《古き道のナーセット》。

 ライフ回復、ドローと除去とコントロールが欲しいものをひと通りそろえた能力構成になっており、マナを生み出す能力も《創案の火》が設置できないゲーム展開で手数を補ってくれるだろう。ナーセットは[-6]能力でゲームに勝つこともできるため、《創案の火》やクリーチャーは用いずに彼女をフィニッシャーに据えたプレインズウォーカー盛りだくさんのコントロールデッキも組まれている。

 それから同じジェスカイ・カラーのための新カードと言えば、《ラウグリンのトライオーム》も外せない。

 3色土地としてマナ基盤の安定に役立つのはもちろんのこと、《創案の火》設置後はサイクリングが活きてくる。もう呪文を唱えるのにマナはいらないので、{3}と少々重めのサイクリング・コストを堂々と支払うことができるのだ。サイクリングは呪文を唱えるわけではないので、創案の1ターン2回制限も気にせずに引きに行ける点も嬉しい。

 これは他のカラーリングのトライオームにも言えることなので、各色のファイアーズ・デッキにはトライオームを何枚入れるか、各自で上手く調整してほしいところだ。

 《願いのフェイ》型のファイアーズであれば一撃で相手の盤面を粉微塵にする《破滅の根本原理》や、逆に一撃で盤面を再構築する《奇妙な根本原理》をサイドに採用したものも見られる。

 《巨智、ケルーガ》で安定したドローを得て、《創案の火》のパワーをさらに高めた「ジェスカイ・ファイアーズ」。今環境でも鉄板の選択肢となるか?

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