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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
『テーロス還魂記』シーズンを振り返る その3:アグロデッキたち(スタンダード)
『テーロス還魂記』環境のスタンダードを振り返るシリーズも3回目。今回は前回紹介した《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を用いるデッキとは真逆の思想のデッキを紹介しよう。
ライフを得て、カードを引き、土地を伸ばすというウーロに対して、ライフを削るのが最優先、手札はむしろガンガン使う、コストの軽いカードしか用いないので土地は極力減らす……これぞ攻めのデッキ、アグロデッキの心得である。
開幕から軽いクリーチャーをガンガン展開し、相手の本体めがけて攻撃を繰り返す。短期決戦を目標とするので重いカードは極力使わない、『テーロス還魂記』環境における前のめりなデッキをまとめてみたぞ。
17 《山》 4 《エンバレス城》 -土地(21)- 4 《熱烈な勇者》 4 《焦がし吐き》 4 《ブリキ通りの身かわし》 4 《義賊》 4 《遁走する蒸気族》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 2 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(30)- |
1 《立腹》 4 《舞台照らし》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(9)- |
4 《解き放たれた狂戦士》 2 《エンバレスの盾割り》 3 《レッドキャップの乱闘》 2 《初子さらい》 2 《焦熱の竜火》 2 《無頼な扇動者、ティボルト》 -サイドボード(15)- |
まずは、アグロと言えばの赤単。古来より赤単色のデッキはガン攻めと相場が決まっており、テーロスでもこれを後押しするカードが登場して環境初期は特に赤単の活躍が目立ったように思う。
《鍛冶で鍛えられしアナックス》はコストに対して高いパワーに成長し得る打点としての高いポテンシャルと、もし除去されてしまってもサテュロス・トークンを置き土産にしていく継続戦闘能力の高さがセールスポイントの新戦力。
味方のクリーチャーが死亡してもトークンが出るのは心強く、ブロックで討ち取られても構わんと開き直った攻めを促したり、《空の粉砕》のような全体除去を恐れる必要がなくなった。
赤単の決め手と言えば以前と変わらず《エンバレスの宝剣》。
大量のクリーチャーで攻撃して最も効率よくダメージが与えられるところ、相手のブロッカーを返り討ちにするところに装備させてズパッと二太刀浴びせるこのカードの威力は、のんびり戦うデッキの存在を許さない。赤マナシンボルを2つ持つのでアナックスとの相性も抜群だ。
宝剣のコストダウンのため、そしてアナックスとの相性を鑑みて1マナのクリーチャーの数が増え《ショック》などを採用しなくなったのも『テーロス還魂記』シーズンの赤単の特徴だろう。1マナ2点で相手のクリーチャーを除去するという機会があまりなくなったというのもある。代わりに《立腹》が少し使われるようになったのは面白い変化だ。
7 《沼》 6 《山》 4 《血の墓所》 2 《悪意の神殿》 2 《試合場》 1 《ロークスワイン城》 1 《寓話の小道》 -土地(23)- 4 《熱烈な勇者》 4 《漆黒軍の騎士》 1 《どぶ骨》 4 《黒槍の模範》 4 《嵐拳の聖戦士》 4 《朽ちゆくレギサウルス》 3 《砕骨の巨人》 3 《残忍な騎士》 4 《騒乱の落とし子》 2 《悪ふざけの名人、ランクル》 -クリーチャー(33)- |
1 《ドリルビット》 3 《エンバレスの宝剣》 -呪文(4)- |
2 《エンバレスの盾割り》 3 《レッドキャップの乱闘》 3 《害悪な掌握》 3 《焦熱の竜火》 1 《アングラスの暴力》 3 《ドリルビット》 -サイドボード(15)- |
アグロにとっての象徴とも言える《エンバレスの宝剣》を操れるのは赤単だけではない。赤黒の「ラクドス・ナイト」でもその力を存分に振るい、シーズン中期には環境最速デッキとして注目を集めた。
《熱烈な勇者》《黒槍の模範》の騎士シナジーで攻めつつも騎士に寄せ過ぎない構成が強く、特に《朽ちゆくレギサウルス》に宝剣を装備して殴れば勝てるというシンプルにして至高の戦略は、この組み合わせが環境に存在する限り定期的に浮上してくるものとなるだろう。
アグロだからこそうまく使える万能手札破壊《ドリルビット》も赤黒2色の利点と言えるだろう。
クリーチャーばかりの構成に見えて《砕骨の巨人》《残忍な騎士》と除去能力は十分、サイド後にはさらにそれを増して殴り合いを制する、中速寄りにシフトすることも可能だ。
19 《森》 3 《ギャレンブリグ城》 1 《総動員地区》 -土地(23)- 4 《生皮収集家》 4 《僻森の追跡者》 4 《樹皮革のトロール》 4 《楽園のドルイド》 3 《クロールの銛撃ち》 4 《恋煩いの野獣》 3 《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ》 3 《探索する獣》 -クリーチャー(29)- |
1 《第1回イロアス競技会》 4 《アーク弓のレインジャー、ビビアン》 1 《大いなる創造者、カーン》 2 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(8)- |
2 《打ち壊すブロントドン》 3 《変容するケラトプス》 1 《石とぐろの海蛇》 1 《墓掘りの檻》 1 《魔術遠眼鏡》 1 《グレートヘンジ》 3 《強撃 // 脅威》 1 《影槍》 1 《傲慢の翼》 1 《大いなる創造者、カーン》 -サイドボード(15)- |
《エンバレスの宝剣》デッキばかりの紹介になってしまいそうなので、ここらで別の色のデッキを。MagicFest Onlineの予選を突破した緑単だ。
1マナでパワー2以上、2マナでパワー3以上、3マナでパワー4以上と打点に優れたクリーチャーを順次展開して攻撃していく。
《アーク弓のレインジャー、ビビアン》でさらにパワーを上昇させ、相手のクリーチャーやプレインズウォーカーを排除して殴り切る。
普通にデッキに入れてしまうと、ゲーム展開次第ではとても唱えられない《グレートヘンジ》、しかしながら出せた時は強いし緑単の特権のようなこのカードを上手く扱うために《大いなる創造者、カーン》を採用している。
これであれば1枚挿しの枠が《グレートヘンジ》であり、同時に《影槍》などの扱いやすいカードにもなるってわけだ。
シーズン前半はアグロも存在感を示していたが、終盤に差し掛かると対策されたり苦手なデッキが台頭したのもあってか数を減らすことになった。次のセットは巨獣が主役ということで、あまりコストが重いカードはアグロ向きではないのだが、同時にこのセットでは人間が重要な役割を果たすとも明言されている。軽量コストの良いカードが加われば、またアグロに勢いがやってくるかもしれない。
いつの時代も新セットリリース直後はアグロが勝つ傾向にあるので、公開されていく新カードを眺めながらイメージを膨らませていくのが良いスタートダッシュに繋がることだろうね。それでは明日の『テーロス還魂記』シーズン振り返り最終章でまた会いましょう。
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