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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
壁コンボ(パウパー)
マジックプレイヤーの中には、マイナーなカードを好んで使用するプレイヤーがいる。マジックの懐は広く、さまざまなマニアのニーズに応えてくれるので、プレイヤー側も深く深く、より自分の好きなものを追求していく傾向にある。
例えば、主要でないクリーチャータイプにフォーカスしたデッキなんかが典型的な例だ。人間・エルフ・ゴブリンなど毎セットのように収録されている主要種族に比べると、数が少なかったり部族シナジーを持ったカードが明らかに少ないタイプである。しかしながら、数が少ないだけで0でなければ、デッキは作れる。与えられたもので最高のデッキを作るのが真のマニアと言えよう。
マイナー種族の中でも昔から特に人気で、ある意味メジャーと言えるのは「壁」。タフネスは高いが攻撃に参加できない防衛を持った壁たちでデッキを固めて、あえてそれで勝つというのがマニアの心をとらえて離さないのだろう。かつて《ローリング・ストーンズ》はとても人気の高いレアの1つだったくらいだ。
今回は壁を使ったデッキを紹介するわけだが、そのフォーマットはパウパーだ。ただでさえマニア向けの壁を、よりマニアが好むパウパーで! ディープすぎるデッキをとくとご覧あれ!
10 《森》
-土地(10)- 4 《Shield Sphere》 4 《クウィリーオン・レインジャー》 4 《サルーリの世話人》 2 《ラノワールのエルフ》 2 《大蛇の葉詠み》 4 《草茂る胸壁》 4 《斧折りの守護者》 4 《根の壁》 4 《跳ね橋》 4 《幻の漂い》 2 《ビビアンの灰色熊》 1 《血儀式の発動者》 1 《電位式錬金術師》 1 《孔の歩哨》 -クリーチャー(41)- |
4 《紆余曲折》 4 《暴走の先導》 1 《墓の刈り取り》 -呪文(9)- |
2 《ジャディの横枝》 2 《散弾の射手》 3 《軍旗の旗手》 1 《真紅の見習い僧》 1 《ビビアンの灰色熊》 2 《上機嫌の破壊》 1 《嵐の乗り切り》 2 《ムラーサの胎動》 1 《蜘蛛糸の鎧》 -サイドボード(15)- |
クリーチャー怒涛の41枚! そのうち、壁ないし防衛を持つクリーチャーは29枚と圧倒的な数字だ。メインの色は緑。《草茂る胸壁》《斧折りの守護者》と、防衛持ちの数だけマナを出すクリーチャーがいるからだ。
これらからマナを爆発的に生み出すために《Shield Sphere》も採用する徹底っぷりだ。
この{0}0/6というすごいスペックの壁を初めて見たという人もいるだろうね(笑)。普通にブロッカーとしても優秀なので、地上を攻めてくるデッキ相手には時間も大きく稼げることだろう。
《根の壁》やその他のマナクリーチャーから壁を展開し、上記2種のマナエンジンから複数の緑マナを生み出せるように下準備を進めていくのが序盤の動き。
十分なマナが生み出せるようになったら、そこから得たマナで手札をダンプし、《紆余曲折》《暴走の先導》で手札を補充し、さらに展開。マナエンジンが複数体並ぶ、さらなるステージへと歩を進める。
《クウィリーオン・レインジャー》《電位式錬金術師》とクリーチャーをアンタップするカードも採用されており、これらで胸壁や守護者を起こしてさらにマナを生み出し、大盤振る舞いの状況になればゴールだ。
《血儀式の発動者》の能力を起動しまくってライフを吸い尽くしたり、《孔の歩哨》で防衛持ちの数だけダメージを与えて起こしてを複数回繰り返すかして相手のライフをすり潰そう。
何か夢物語を書いているようだが、防衛持ちがこれだけいれば決して不可能なことではないのだ。《跳ね橋》の存在もコンボの成立を大きく助けてくれるだろう。
そのターンに手札に加えた壁を出して速攻を与え、即座にマナを生み出させよう。《孔の歩哨》フィニッシュのタイムラグも潰してくれて最高だ。
このデッキには《森》しか採用されていないが、《斧折りの守護者》がいるので複数の色のカードを足すことが可能となっている。まあ、さすがにこれ4枚だけでは足りないので、《サルーリの世話人》も活用しよう。《Shield Sphere》とともに繰り出せば実質《極楽鳥》のようなものだ。
《草茂る胸壁》が生み出した大量のマナは《大蛇の葉詠み》で各色に変換して使っていこう。これまたシブいカードだ。
上記のカードたちのおかげで青マナを生み出せるので《幻の漂い》を運用できる。
タフネス5の壁として使ってもよいが、その真価は「変成」能力にあり。これを捨てることで同じ点数で見たマナ・コストが3のカードをサーチしてくることができる。このデッキの最重要カードである《斧折りの守護者》、アンタップ係の《電位式錬金術師》、フィニッシャーの《血儀式の発動者》、そしてそれらクリーチャーをまとめて手に入れる《暴走の先導》、墓地からクリーチャーを回収する《墓の刈り取り》となんでもござれだ。このカードの使い方がこのデッキの最も難しいプレイングとなるので、気になったのであれば何度も一人回ししてコツを掴もう。
《幻の漂い》の変成から持ってこれる3マナ圏であり、他のデッキで使われているのを見たことがないカードである《ビビアンの灰色熊》にも触れておこう。
この熊はライブラリーの一番上のカードがクリーチャーであれば手札に加えられる。能力の起動コストは4マナと重いが、このデッキであればクリーチャーでないカードはデッキの3分の1なので高確率でカードが手札に加えられることだろう。それでもコストが重たく感じるが、フォーマットはパウパーだ。コモン限定構築なので文句は言えない、むしろありがたい貴重なアドバンテージ源である。マナエンジン2種からはじき出したマナを注いで、コンボ完成まで繋げよう。
コモンしか使えないとあって、デッキ構築に工夫のし甲斐があるのがパウパーの良いところだ。また、すべてのクリーチャーを破壊するようなカードはその大半がレア以上であるため、このデッキのような高タフネスの壁を並べるとなかなか全部まとめて吹き飛ばすということはできない。他のフォーマットではなかなかできない盤面を作ってガチャガチャとするデッキを楽しめる、まさしくマニア向けのフォーマットだ。コモンでカードも集めやすいとあれば、良いことづくめ。
ただ注意してほしいのは、パウパーのデッキをリアルのカードで組む際の「オンラインのセットでしかコモンになっていないカード」の存在について。思いっきりシンボルがアンコモンのものを使うことになるので、友人と対戦する際には前もってそういうカードがあることを説明しておくと良いと思うね。パウパーのデッキをいくつか見ると、そういったカードがいくつかあるので「へぇ~これがコモンになってるのか」とチェックするだけでも懐かしく楽しい時間を過ごせるかもしれない。それじゃあ今日はこの辺で。
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