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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
白単信心(パイオニア)
このコラムでも何度か取り上げたコンボを今一度紹介しよう。
あなたがライフを得るたびにクリーチャーに+1/+1カウンターを1個置く《太陽冠のヘリオッド》は、クリーチャーに絆魂を与える能力も同時に持っている。この自己完結した回復&強化システムのもと、《歩行バリスタ》を投下する。
バリスタに絆魂を与えて、+1/+1カウンターを取り除いて1点ダメージ。絆魂であなたは1点のライフを得るので、ヘリオッドが+1/+1カウンターを授ける。乗ったカウンターを延々投げつけて相手のライフを0にして勝利する。
やることに複雑さがなく、2枚揃えれば勝てるという点で非常に優れたコンボである。そして何より、白単色で完結しているのが素晴らしい。モダンやパイオニアではこのコンボを搭載したデッキが結果を残しているが、特にパイオニアでは白単色のデッキとして絶賛活躍中だ。
コンボを決め手としたデッキなので、さぞかしそれに特化したゴリゴリの攻めデッキをイメージしがちだが、その一般的なリストは意外にもまったり、ゆったりしたものである点が面白い。
というわけで今日はパイオニアの「白単信心」を紹介だ。
17 《平地》 3 《のどかな農場》 2 《アーデンベイル城》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《白蘭の騎士》 2 《族樹の精霊、アナフェンザ》 2 《太陽に祝福されしダクソス》 2 《高名な弁護士、トミク》 4 《太陽冠のヘリオッド》 4 《秘儀術師のフクロウ》 4 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(26)- |
4 《停滞の罠》 2 《エルズペス、死に打ち勝つ》 3 《試練に臨むギデオン》 -呪文(9)- |
4 《不可解な終焉》 3 《安らかなる眠り》 2 《減衰球》 2 《異端の輝き》 1 《神討ち》 2 《ギデオンの介入》 1 《試練に臨むギデオン》 -サイドボード(15)- |
単色でありながら伝説のカードが多数採用されているので、多色にも見劣らない豪華さを感じさせるリストだ。単色なのでもちろん信心のカウントも伸ばしやすく、ヘリオッドをクリーチャーとして戦闘に参加させて勝利することも可能となっている。
白単色にする最大のメリットは、シンボルの濃い《秘儀術師のフクロウ》を無理なく使えるという点。
ライブラリーの一番上から4枚見て、そこにあるアーティファクトかエンチャントを1枚手札に加える……ヘリオッドとバリスタの両コンボパーツにアクセス可能で、まさしくこのコンボのための1枚であると言える。コンボが不成立でも、これがいるだけでヘリオッドがクリーチャー化するのもエライね~。
見つけたいカードがデッキ内に8枚だけであれば、フクロウの能力も空振りに終わるケースが頻発するだろう。それを避けるためにもこのデッキにはエンチャントを優先して採用している。クリーチャー除去は万能な《停滞の罠》で行う。
瞬速もついているので隙なく運用可能で、またフクロウにより公開されることでかえって対戦相手としては動きにくくなってしまうというもの。何度も言うように、マナシンボルが濃いのもこのカードが優先して使われている理由のひとつだろう。
もう1つの除去エンチャントは、スタンダードでもお馴染み《エルズペス、死に打ち勝つ》。
除去であるⅠ章能力もさることながら、コンボ妨害をしにくくするⅡ章能力、墓地に落ちたクリーチャーやプレインズウォーカーを釣って美味しい思いをするⅢ章能力と、すべてがデッキと噛み合っている。3マナ以上のパーマネントを追放するので、同型のヘリオッドだったり、ヘリオッドを捕らえている《停滞の罠》だったりを追放可能なのも強いね。
同じくエンチャントでありながらクリーチャーなのが《太陽に祝福されしダクソス》。
彼はクリーチャーが戦場に出た際にライフを回復させてくれる。ということはヘリオッドと並んでいると+1/+1カウンターが降ってくる。これでクリーチャーを強化して殴ったり睨みを利かせるのはもちろんだが、この能力はコンボの成立を助ける役目もある。
バリスタコンボは、実は結構マナを必要とする。バリスタはX=2以上で戦場に出さなければいけない。1だとカウンターを取り除いた瞬間にバリスタが死んでしまい、ヘリオッドでカウンターを乗せるタイミングがないからだ。X=2の4マナで唱えた上でヘリオッドの能力の2マナで、計6マナ。これはヘリオッドが先に戦場にいることを考慮しているので、同一ターンに2枚を展開するのであれば9マナも必要になる。《ニクスの祭殿、ニクソス》で加速するにしてもちょっと重いね。
しかしダクソスがいれば、バリスタが出てから回復しカウンターを置けるのでX=1で済む。地味ながらこれは結構な後押しである。
《族樹の精霊、アナフェンザ》も同じくX=1で出したバリスタにカウンターを置いてコンボに入れる。《のどかな農場》という一見使いにくい土地が採用されているのも同じ理由だ。
これらのカードは純粋にクリーチャー強化として用いて、《白蘭の騎士》に戦線を保つ役目を背負わせることも可能だ。時間を稼げばフクロウからのニクソスと繋がってコンボが決まってエンドロールだ。
「白単信心」の矛がヘリオッド&バリスタコンボであるならば、《試練に臨むギデオン》こそがこのデッキの誇る盾である。
シンボルが濃く、4/4になるという点も優秀だが、盾として最も重要なのは紋章を得る能力。ギデオンのタイプを持つプレインズウォーカーをコントロールしている限りゲームに負けなくなり、対戦相手は勝利できなくなるというこの紋章は、《死の国からの脱出》や《真実を覆すもの》などでライブラリーを空にして《タッサの神託者》で勝利するコンボデッキが跋扈するパイオニアにて非常に優秀な対コンボ最終兵器だ。相手はコンボを決めるための手段を確保すると同時にギデオンへの対処も迫られる。それで手間取っているうちにこちらがコンボを決めるか、あるいは盤面を作って殴り切ってしまうか。サイドボードに採用された《ギデオンの介入》と併せることで、白単にして高いコンボ耐性を誇っているのである。
相手が勝てない状況を作り出せる盾、そして決まれば瞬殺の矛。この2つを併せ持つからこそ、デッキは無理やりコンボを決めるような歪んだ構築をせずに済んでおり、ゆったりした印象を受けるのである。まさしく、太陽神の貫禄とでも言おうか。
どっしりと横綱相撲で押し切りたいのであればこのデッキを使うべし、だ。
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