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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
トロール・ランページ(スタンダード)
古い能力に「ランページ」ってのがある。おそらくはもう再録されることはないだろうが、世の中何があるかわからないのでおさらいしておこう。
ランページの初出は古く、『レジェンド』(1994年発売)にまで遡る。ランページはクリーチャーが持つ能力で、「ランページ3」のように数字とともに記載されている。ランページ3を持つクリーチャーがブロックされるたび、それをブロックしている2体目以降のクリーチャー1体につき+3/+3修整を受ける。てなわけで複数体でのブロックを返り討ちにする、単体でのブロックを強いるという能力なのである。
つまり……そんなに強いわけではない(笑)。とはいえ、rampageの意味する「大暴れ」を体現できている能力ではある。これを持つものは巨獣や蛮族など、どれも獰猛極まりない連中だ。ランページを持つクリーチャーをすべて集める、そんな野性味あふれるコレクションがあっても良いんじゃないかな。
ランページは能力に限らず、カード名にも見ることができる。《暴れ回るフェロキドン》(Rampaging Ferocidon)みたいにね。
今日はスタンダードより、そんなランページな1枚で文字通り暴れるデッキを紹介しよう。いやぁ、こういうデッキを待ってたよ!
19 《森》 4 《ギャレンブリグ城》 2 《お菓子の小屋》 -土地(25)- 4 《金のガチョウ》 4 《意地悪な狼》 3 《茨の騎兵》 3 《貪るトロールの王》 -クリーチャー(14)- |
3 《魔女のかまど》 4 《パンくずの道標》 3 《黄金の卵》 3 《狼柳の安息所》 4 《巨大な好機》 4 《一族の暴行》 -呪文(21)- |
3 《打ち壊すブロントドン》 2 《夜群れの伏兵》 2 《ひっかき爪》 2 《自然への回帰》 2 《魔術遠眼鏡》 1 《過去と未来》 2 《影槍》 -サイドボード(14)- |
現スタンダードのランページ要素と言えば……そう、《一族の暴行》だ!
……え、知らない? う~ん、確かにマイナーなカードだし、構築シーンで使われるのをこれまで見たことがないから多くの人が知らなくてもしょうがないか。これを機に、こんなカードもあるんだと認知してやってね。
マジックにはパーマネントを除去する代わりに、除去されたプレイヤーに何かしらのものを提供するインスタントやソーサリーがいくつかあり、《一族の暴行》もその系列に名を連ねる1枚だ。これはたった4マナで戦場に出ているエンチャントやアーティファクトをすべて破壊するという、なかなかにド派手なリセットボタンだ。ただ、その代わりに各プレイヤーは破壊されたパーマネントの分、3/3のケンタウルスを得るというちょっとしたデメリット的なオマケがついてくる。少々扱いにくいカードなのだ。
しかしながらこの効果は、逆に考えれば自分のエンチャントやアーティファクトを吹き飛ばしてその数だけトークンを生み出し、攻め手として用いることも可能だということ。アーティファクトを並べる? 簡単な話じゃないか、食物・トークンを使おう!ってなわけで、このデッキは自らケンタウルスを呼び出していく方向に組まれた緑単色の食物デッキなのである。
最も簡単に食物を得る方法は《金のガチョウ》だ。
継続的に食物を生産できるこれを用いて、マナも加速させつつ《一族の暴行》への準備も執り行う。クリーチャーを生け贄に捧げることで食物を生成する《魔女のかまど》、食物からアドバンテージに繋げる《パンくずの道標》も用いよう。
ここまではメジャーなカードだ。それらよりも爆発力を誇る、このデッキならではの1枚こそ《巨大な好機》!
3マナで食物を3つ生成し、その後暴行で流せば9点クロックが形成されるという綺麗な流れ。この呪文は食物を2つ以上コントロールしている際にはそれらを生け贄に捧げて7/7の巨人を呼び出す手段にもなる。3ターン目から7/7でプレッシャーをかけるのは言うまでもなく強力、カード名通り早期決着の好機を掴もう。
これらのカードで生成した食物・トークンを、相手のターン終了時に暴行を唱えて3/3の軍団に変え、次のターンに全軍突撃でフィニッシュへと繋げればこの上なく気持ちがいい! もちろん、相手がクリーチャーデッキだった場合は攻撃宣言後にこれを唱え、大量のブロッカーで返り討ちにする疑似除去として用いるのも効果的だ。
また、現スタンダードには《エルズペス、死に打ち勝つ》《払拭の光》《エンバレスの宝剣》《魔女のかまど》などなど、さまざまなエンチャント・アーティファクトが跋扈している。それらを破壊しつつ、こちらの食物を攻め手に変える器用なタイミングで用いることができれば、最高の結果に繋がることだろうね。
《一族の暴行》のみが食物を用いる手段であった場合、これを引かないと悲しい結果になりがちなので、別の勝ち筋も用意してある。先述の《巨大な好機》と《貪るトロールの王》だ。
トロールの王は7/6警戒・トランプルと殴り合い上等の優れたスペックに加えて、食物を3つも生成する大盤振る舞いなクリーチャーだ。そして、これが墓地にある時に食物を3つ生け贄に捧げると、戦場に戻ってくるというタフさ極まる除去耐性を誇る。というわけで、墓地に落とすカードとして《茨の騎兵》も採用されており、これ1枚から7/6が突然ひょっこり生えてきて盤面がクライマックスにというドラマチックな展開も盛り込まれている。
食物をトロールの生還に使うか、あるいは暴行で数で攻めるかの判断がこのデッキの難しいところではあるが、こういったプランを練っている時には「あぁ、マジックしてるなぁ」と実感できるはずだ。
意欲的な構築なので、実際に使ってみると少々足りない部分もあるように感じられた。《アーク弓のレインジャー、ビビアン》や《大食のハイドラ》などクリーチャー除去も行える柔軟なカードを採用するなどして、各自使いやすいようにカスタマイズしてプレイしてみよう。
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