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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ティムール・ファイアーズの可能性を探る(スタンダード)

岩SHOW

 世界選手権2019では16名のプレイヤーが使用するデッキ分布が4:4:4:3:1と綺麗に割れた。現行スタンダードの上位デッキが一堂に会したとでも言おうか、それぞれに得意デッキ・不得意デッキがあってバランスの良い環境だという証明とも言えるのではないだろうか。

 決勝戦は「青白コントロール」と「ジェスカイ・ファイアーズ」のぶつかり合いとなった。惜しくも敗れてしまったファイアーズだったが、名勝負を演じてそのデッキパワーを披露したのだった。

 マナを支払わずに呪文が唱えられる《創案の火》を用いて、《炎の騎兵》や《帰還した王、ケンリス》を並べ、浮いたマナはその起動型能力に注ぎ込んで速攻を与えて突然の大ダメージを叩き込む。瞬間的にダメージを叩き出し、アグロデッキ相手にはコントロールデッキとしても立ち回りアドバンテージ勝負もできる。強くて楽しい良いデッキだ。

 ただ、《創案の火》の爆発力は何もジェスカイ(白青赤)カラーのみの特権というわけではない。赤が絡んでいればどんなデッキだってアリだ。今日は赤に青と緑を足したティムールと呼ばれるカラーリングの《創案の火》デッキについて考えてみよう!

岩SHOW - 「ティムール・ファイアーズ(エレメンタル型)」
スタンダード (2020年2月)[MO] [ARENA]
4 《
2 《
3 《
4 《繁殖池
2 《神秘の神殿
4 《踏み鳴らされる地
1 《奔放の神殿
4 《蒸気孔
1 《天啓の神殿
2 《寓話の小道
-土地(27)-

2 《樹上の草食獣
4 《発現する浅瀬
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《乱動の座、オムナス
4 《炎の騎兵
4 《茨の騎兵
3 《風の騎兵
1 《急嵐のトリクス
-クリーチャー(24)-
3 《成長のらせん
2 《嵐の怒り
4 《創案の火
-呪文(9)-
3 《セテッサの請願者
3 《変容するケラトプス
2 《焦熱の竜火
1 《繁茂の絆
4 《神秘の論争
2 《嵐の怒り
-サイドボード(15)-

 まずは僕個人が構築してみた、エレメンタル型のファイアーズをサンプルとして。完成度は高いとは思えなかったが、回していて楽しいデッキではあったので何かの参考になればと。

 《創案の火》はその特性から、1ターンでも早く戦場に出せたら嬉しく、かと言ってクリーチャーやアーティファクトでマナを伸ばして置いたところで土地が少なければ唱えられる呪文はコストの低いものに制限されてしまう。そこで青緑の武器である追加の土地を置くという加速法を用いる。《成長のらせん》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》だ。

 ウーロを使うのであれば、これの脱出のための墓地のカード5枚を供給できる《茨の騎兵》も使いたい。

 これに加えて《炎の騎兵》《風の騎兵》もエレメンタルなので、《発現する浅瀬》も土地を伸ばす&手札を稼ぐ役として活躍できるはず。

 土地を並べまくれば《創案の火》のみに頼らずとも《炎の騎兵》出して即能力起動までいけるんじゃないか……そんな考えでこの形に至った。

 実際にプレイすると、《炎の騎兵》でウーロに速攻をつけるアクションはかなり楽しい。目論み通り《創案の火》を引けなくても適当にエレメンタルで戦場を制圧できる……などなど、ポテンシャルは感じた。久々に使った《乱動の座、オムナス》もかわいくて楽しいナイスカード。

 ただ、やっぱりもっとこう、シャープな形にできそうな気はする。もし気になったって酔狂な方がいたら、コイツを立派なデッキにしてやってください。

Tim Donnelly - 「ティムール・ファイアーズ」
WPNQ @ Mr. Nice Guy Games (Monroeville, PA) ベスト4 / スタンダード (2020年2月8日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《
4 《蒸気孔
3 《天啓の神殿
4 《繁殖池
1 《神秘の神殿
3 《踏み鳴らされる地
1 《奔放の神殿
2 《ヴァントレス城
4 《寓話の小道
-土地(27)-

4 《砕骨の巨人
4 《予見のスフィンクス
4 《炎の騎兵
4 《風の騎兵
-クリーチャー(16)-
4 《成長のらせん
3 《焦熱の竜火
4 《創案の火
4 《嵐の怒り
2 《エンバレスの宝剣
-呪文(17)-
3 《運命を紡ぐ者
3 《変容するケラトプス
3 《ハイドロイド混成体
4 《溶岩コイル
2 《否認
-サイドボード(15)-
mtgtop8 より引用)
 

 こちらは海外の50人規模のトーナメントでベスト4になったリスト。ウーロは非採用で、メインの緑のカードは《成長のらせん》のみ。これで土地をしっかりと伸ばして《創案の火》から騎兵連打を狙う。

 《予見のスフィンクス》でドロー操作をすることでプランをしっかり立てる、ジェスカイ型と根本的な狙いは変わらない。《嵐の怒り》が入ったことで白に頼らずとも全体除去が使えるようになり、このような形で戦えるようになった。

 このリストの注目すべきポイントはサイドにこそある。《運命を紡ぐ者》だ。

 最初、このカードがなぜサイドに入っているのかパッと見ではわからなかった。土地をクリーチャー化させるってそんなにエンチャント入ってないだろ……と思ったところで、クリーチャー&エンチャント呪文が打ち消されないという能力を持っていたことをテキスト読んで再確認。なるほど、これを先に出しておいて《創案の火》を通そうってわけか。その後の騎兵らクリーチャーも安心して叩きつけられるし、浮いたマナの使い道にも一応なるし、となかなかテクニカルな1枚じゃないか。

 他にも打ち消しに強い《変容するケラトプス》や、アドバンテージ勝負どんと来いな《ハイドロイド混成体》と、どちらかといえばサイド後に緑の強さを活かすデッキ構成になっているね。

 《創案の火》はその特性から、ありとあらゆるカードと組み合わせることが可能だ。色の呪縛さえも無視するこのエンチャントの可能性は無限大だ。今一度スタンダードのカードプールを見回して、これはと思ったカードを組み合わせて使ってみよう。色拘束が強くてコストが重めのカードをリストアップしてスタンダードを満喫しよう!

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