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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ヴァニファール・インバーター:現代に蘇りし双子、そして殻(パイオニア)
《真実を覆すもの》で自分のライブラリーの枚数を一気に減らす。1枚以下になったところで《タッサの神託者》を出し、ライブラリーが青への信心以下なのでそのまま勝利する。
パイオニアのプレイヤーズツアーで大活躍したこの2枚のコンボは一部プレイヤーの間では「双子」と称された。マジック歴があまり長くないプレイヤーにはなんのこっちゃとなったことだろう。
双子というのは、かつてモダンに君臨したコンボデッキのことで、キーカードが《欠片の双子》であることがその名の由来。クリーチャーをタップすることで速攻を持った自身のコピーを生み出させる能力を付与する。このコピーはターン終了時に消えてしまうのでコピーが増殖することはない……のだが、《詐欺師の総督》のような戦場に出た際にクリーチャーをアンタップさせる能力を持ったものにこれを貼り付ければ、コピー→アンタップ→コピー……と好きなだけ増殖させて総攻撃で勝利することが可能だ。たった2枚のコンボであり、その2枚のコストも現実的なものであるため非常にお手軽なものだった。
《真実を覆すもの》と《タッサの神託者》のコンボもこのコンボと同じく、手軽に決められてパイオニアに君臨するだけの強さがあることから、「双子」と表現するプレイヤーがいるってわけだ。
双子コンボはパーツが2枚あれば良いので、デッキの構成要素を圧迫しないのも特徴だ。残りのスペースにどのようなカードを投入するかでその毛色は大きく変わる。3色目を足すデッキも多かったものだ。
現代の双子である《真実を覆すもの》コンボ、通称「インバーター」にも同じことが言えそうだ。現に、緑を足したバージョンがすでにMagic Onlineでも増殖している。中には、今回紹介するリストのようにかなり個性的なリストも登場している。インバーターの可能性をご覧いただこう。
1 《森》 1 《島》 1 《沼》 4 《繁殖池》 3 《植物の聖域》 3 《花盛りの湿地》 4 《湿った墓》 1 《水没した地下墓地》 1 《マナの合流点》 4 《寓話の小道》 -土地(23)- 3 《金のガチョウ》 3 《ラノワールのエルフ》 2 《エルフの神秘家》 4 《タッサの神託者》 2 《通路の監視者》 1 《漁る軟泥》 1 《森の女人像》 2 《跳ねる混成体》 2 《悲哀の徘徊者》 1 《改革派の結集者》 1 《不屈の追跡者》 4 《首席議長ヴァニファール》 1 《ゴルガリの拾売人》 1 《真実を覆すもの》 1 《悪夢の番人》 -クリーチャー(29)- |
4 《致命的な一押し》 4 《異界の進化》 -呪文(8)- |
1 《不屈の追跡者》 1 《スカラベの神》 4 《思考囲い》 2 《突然の衰微》 1 《暗殺者の戦利品》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《究極の価格》 2 《神秘の論争》 2 《野獣の擁護者、ビビアン》 -サイドボード(15)- |
このデッキの主役はインバーター・コンボ……のパーツよりも、それをかき集める《首席議長ヴァニファール》だ。
これまたかつてのモダンデッキの話になるが、《出産の殻》というアーティファクトを用いてクリーチャーを生け贄に捧げ、点数で見たマナ・コストが1つ上のクリーチャーを引っ張ってくることで《詐欺師の総督》と《鏡割りのキキジキ》を揃えて、双子と同じ要領で無限コンボを決めて勝利するデッキが大流行したことがあった。
ヴァニファールはその《出産の殻》と同様の能力を持つので、これを使って3マナクリーチャーを生け贄に捧げて《真実を覆すもの》を引っ張ってきて、続いて1マナクリーチャーを生け贄に捧げるか素出しするかで《タッサの神託者》で勝つ、というやんちゃなコンボを狙いに行けるのだ。
このコンボ、決まればさぞ気持ちよさそうだけれども、3マナのクリーチャーとヴァニファールの両方が必要だしそう簡単じゃないのでは、と思われそうだ。そこはご安心を、ヴァニファールさえいればあらゆる角度から《真実を覆すもの》に繋げることが可能だ。
たとえばヴァニファールの召喚酔いが解けている状況で《タッサの神託者》と《ラノワールのエルフ》のような1マナクリーチャーを手札に持っているとしよう。そしたらもうコンボは成立だ。1マナクリーチャーを出してヴァニファールで生け贄に→2マナの《通路の監視者》を戦場に出し、クリーチャーをアンタップする能力でヴァニファールを起こし、そのまま監視者を生け贄にもう1回能力起動→3マナの《跳ねる混成体》を持ってきて監視者同様、ヴァニファールを起こしてこれを生け贄に→4マナの《真実を覆すもの》でゴール!!
ってな具合に、ヴァニファールさえいればそのターンの間にコンボを決めることは難しいことではないのだ。
そんなわけでヴァニファールが何よりも大事なこのデッキ。4枚投入しているだけでは物足りんとばかりに、彼女にアクセスするために《異界の進化》もガッツリ採用している。これはもちろん、ヴァニファールだけでなく、覆すものなり神託者なりコンボパーツを探すことにも使えるぞ。
これだけクリーチャーサーチに特化しているデッキなので、コンボに関わる以外のパーツも1~2枚挿しが充実のラインナップ。
《悪夢の番人》は生け贄を要求するこれらのカードと、戦場に出た時に能力を誘発させるクリーチャーと相性抜群だ。
《改革派の結集者》や《ゴルガリの拾売人》でアドバンテージを稼ぎまくって物量で勝負するという方法でも、対戦相手を圧倒できるだろう。
追加の生け贄マシーンとして《悲哀の徘徊者》もうまく活用して、コピートークンを量産しよう。
墓地利用デッキには《漁る軟泥》が大活躍。
この軟泥の能力を自分の墓地に対して使用することで、覆すものを出した時に不要なカードがライブラリーと入れ替わらず、神託者で即座に勝つことを可能とする。ライフ回復も縁の下の力持ち的にゲームを支えてくれることだろう。
この手のデッキはメインの勝ち方が強力であればあるほど、サブの勝ち方にプレイヤーの好みを色濃く反映させてもなんとかなるという点が、デッキをあれやこれやと妄想するプレイヤーにとっては嬉しいことだろう。インバーター・コンボを仕込んだ他の基軸とのハイブリッドデッキ、今後も増えていくんじゃないだろうか。
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