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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
冒険は終わらない? グルール・アドベンチャー(スタンダード)
新セットがリリースされると、新たなカードを用いたくなるのが人情ってものだ。
それらを使用した、それまでにないタイプのデッキや、既存のデッキの別バージョンなんかがスタンダード環境にはあふれ返ることになる。そうしたデッキは目立つため、これからはそういったデッキたちが新しいデッキを作っていくんだな、と思わされてしまう。
ただ、スタンダードの奥が深いところは、新時代到来と同じタイミングで既存のデッキたちが存在感を高めることもまたあるということ。まだまだカードパワーやデッキの挙動が見極められていない状態のものに比べて、前環境で一定数の使用者がおり、リストと戦い方が確立されたデッキというのはそれだけ利点が多いというものだ。
そこに何の新カードも入らないこともあり、それはファン目線から見ると「なんだかもったいないな」といつも思ってしまうのだが……『テーロス還魂記』では、ほぼ既存のデッキのままでありながら新カードの恩恵もきちんと受けて、そしてしっかりと強い……まさしく理想的なデッキがその存在を大きくアピールすることとなった。
何のデッキかって? 「グルール・アドベンチャー」さ!
7 《森》 5 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《奔放の神殿》 2 《エンバレス城》 2 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《リムロックの騎士》 3 《楽園のドルイド》 4 《砕骨の巨人》 4 《恋煩いの野獣》 2 《運命の神、クローティス》 4 《探索する獣》 -クリーチャー(25)- |
4 《ドムリの待ち伏せ》 3 《第1回イロアス競技会》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(11)- |
2 《エンバレスの盾割り》 3 《グルールの呪文砕き》 3 《灰のフェニックス》 1 《運命の神、クローティス》 3 《変容するケラトプス》 2 《神秘の撤回》 1 《自然への回帰》 -サイドボード(15)- |
1マナという扱いやすいコストにして、出来事クリーチャーと組み合わせることでアドバンテージを生み出す《エッジウォールの亭主》。
このカードと最も相性の良い《恋煩いの野獣》とのセットを軸に、他に優秀な出来事クリーチャーのいる色と組み合わせてやることで、クリーチャーを出しても出しても手札が尽きない、そんな夢のような状況を作り出すアドベンチャー系デッキ。
『エルドレインの王権』リリース直後から環境終盤まで人気のデッキタイプだったが、その中でもグルールのものは攻撃性が特に高いものだった。1ターン目亭主からの2ターン目《リムロックの騎士》という動きは隙がなく、3ターン目からパワー3で殴っていけるので遅いデッキに対する圧力としても十分。《砕骨の巨人》ともども、コストに見合ったパワーの持ち主でありながら出来事でも打点になってくれるというのが赤の強みだ。
亭主と出来事クリーチャー、除去、そして《エンバレスの宝剣》での押し込みが合わさった「グルール・アドベンチャー」は、アグレッシブなデッキを好むプレイヤーのニーズに応えていた。
その新環境バージョンがこのリストである。上記の出来事クリーチャーでの戦略にプラスされたのは大きく2つ。いずれも3マナ圏である。
まずは、名前もイラストも雰囲気抜群な《第1回イロアス競技会》。
3マナで1/1トークンを生成と、出たターンの能力は控えめ。ただし次のターンにはクリーチャーに+1/+1カウンターを3個も置くというパワフルな強化効果が。そして続く3ターン目には、パワー4以上のクリーチャーがいるならば2枚ドロー! 理論上、これ1枚で4/4と2枚ドローが得られる。そんなカードが3マナで得られるってんだから、使わない手はない。
このカードの良いところは、1/1を生成しつつも強化するのはどのクリーチャーでもかまわないという点。つまり《恋煩いの野獣》の攻撃条件である1/1を保持できるってことだ。強化した兵士・トークンが死んでも野獣や巨人がいれば2枚ドローできるという点も嬉しい。能力が無駄になりにくく、活かしやすい。金・トークンはネタっぽく思われがちだが、《探索する獣》を出しながら《ドムリの待ち伏せ》を唱えるなどの2回以上のアクションを起こしたい時に役立ってくれて、思いのほか勝利に貢献する能力だ。
もう1つの新戦力は《運命の神、クローティス》! 新登場の神だ。
彼女は信心を7つ要求するのでなかなかクリーチャー化することはないのだが、その能力だけでも十分に強力だ。《死の飢えのタイタン、クロクサ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などの脱出カードを追放し、同時に相手に2点ダメージ・こちら2点回復とライフを突き放してくれる。クリーチャーがガンガン除去されても、クローティスが毎ターン着実にライフを詰めていってくれて勝利という展開は多々ある。破壊不能という点でも除去されにくく、早いターンに出せるコストなので対コントロールなどには頼りになる、まさしく神サマ的存在。
デッキの元の強い部分を損なわず、新しい良いものは取り入れる、美味しいとこどりを果たした「グルール・アドベンチャー」。僕もこのリストを使って一気にランクを上昇させることに成功した。
土地が止まってしまうこともあるので25枚に増やしたい気持ちもあるが、土地ばかり引きすぎると負けてしまうというジレンマもあって、調整はなかなか難しいデッキでもある。サイドボードの《灰のフェニックス》もなかなか強くて好感触だ。
とりあえず《奔放の神殿》を手に入れただけでもこの2色のデッキは大きく強化されたと言える。これは他の友好2色の組み合わせも同じだね。
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