- HOME
- >
- READING
- >
- 岩SHOWの「デイリー・デッキ」
- >
- 単色にタッチする:白単と赤の場合(パイオニア)
READING
岩SHOWの「デイリー・デッキ」
単色にタッチする:白単と赤の場合(パイオニア)
デッキを組む際に、まずはその色を決めることになる。
これは可能であれば単色であることが望ましい。マナのトラブルが無くなり、同一の色マナを多数要求するダブルシンボルやトリプルシンボルのコストを持った強力なカードを扱えるからだ。2色や3色のデッキでダブルシンボルのカードを2ターン目にプレイできる確率はそう高いものではないが、単色であれば土地2枚さえあればいいのだから問題なしだ。
ただ、単色でデッキを組むということにはデメリットもついてくる。その色では行えないことを全くできないデッキになってしまう。
なので、多色土地に恵まれているフォーマットではタッチという形を用いることが多々ある。基本は単色なのだが、強力な多色カードだったり除去だったり、その色の弱点をカバーしてくれるカードだったり……そういったものを添えるように、少しだけ2色目を足すのだ。「X単タッチY」といったデッキ名の表記はそのような意味を持っている。
パイオニアも多数のセットからさまざまなタイプの2色土地が揃ったフォーマットなので、タッチを行っているデッキを見ることがある。グランプリ・名古屋2020#1の直前になって目立ったものは、白単に赤をタッチしたものだ。今日はそのバリエーションを見ていただこう。
9 《平地》 4 《聖なる鋳造所》 4 《断崖の避難所》 4 《感動的な眺望所》 2 《変わり谷》 -土地(23)- 4 《不屈の護衛》 3 《尊い騎士》 4 《鼓舞する古参》 4 《サリアの副官》 4 《立派な騎士》 4 《ベナリアの軍司令》 3 《軍勢の切先、タージク》 -クリーチャー(26)- |
2 《ボロスの魔除け》 2 《石の宣告》 4 《ベナリア史》 2 《議事会の裁き》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(12)- |
1 《鬼斬の聖騎士》 2 《耳の痛い静寂》 1 《精霊への挑戦》 4 《安らかなる眠り》 2 《ボロスの魔除け》 2 《石の宣告》 2 《丸焼き》 1 《議事会の裁き》 -サイドボード(15)- |
こちらのデッキは白の主要クリーチャータイプである騎士と人間にフォーカスして組まれている。白単のアグロデッキを組むのであれば必須とも言える《ベナリアの軍司令》。すべてのクリーチャーを強化しつつ、騎士であり人間であるこのカードはまさしくこのデッキにピッタリだ。
軍司令や1マナの騎士たちを唱えれば《立派な騎士》が人間・トークンを生成し、面で押すデッキの特性を強化。また、人間・トークンが並んだり毎ターンのように出てくるのは《サリアの副官》とも相性抜群だ。
手札をガンガン使って高い打点を生み出す盤面を作って一気に押し潰す! このプランを強めるために、騎士であり人間の《鼓舞する古参》のために赤を足している。
これもまた騎士を強化するので、軍司令や《ベナリア史》と絡めて高い打点を弾き出そうってなわけだ。
赤を足すことで得ているのは打点だけではなく、なんと除去耐性も上昇している。《軍勢の切先、タージク》は他のクリーチャーがダメージ呪文で除去されることを防ぐ。《轟音のクラリオン》なんかもへっちゃらだ。
《ボロスの魔除け》も全パーマネントに破壊不能を与えてくれることで《至高の評決》などを無効化する。
このインスタントはクリーチャー同士のぶつかり合いで使って一方的に打ち勝ったり、4点ダメージや二段攻撃付与で最後の一押しを担ったりと便利な1枚だ。デッキの長所を伸ばし、苦手なものに対してのお守りとなる……タッチの典型的な例と言える良いサンプルだ。
9 《平地》 4 《聖なる鋳造所》 4 《感動的な眺望所》 1 《戦場の鍛冶場》 1 《アーデンベイル城》 -土地(19)- 4 《不屈の護衛》 4 《万神殿の兵士》 4 《スレイベンの検査官》 3 《アクロスの英雄、キテオン》 4 《白蘭の騎士》 4 《サリアの副官》 3 《徴税人》 4 《ベナリアの軍司令》 3 《熱烈の神ハゾレト》 -クリーチャー(33)- |
4 《精霊への挑戦》 4 《石の宣告》 -呪文(8)- |
1 《鋭い突端》 2 《アダントの先兵》 2 《耳の痛い静寂》 3 《安らかなる眠り》 2 《ボロスの魔除け》 2 《丸焼き》 2 《集団的努力》 1 《残骸の漂着》 -サイドボード(15)- |
一方こちらは……ほぼ白単で、騎士にはこだわってはいないが《ベナリアの軍司令》《サリアの副官》で強化して殴る人間デッキである。
そこに放り込まれたメイン唯一の赤いカードが……まさかの《熱烈の神ハゾレト》!
人間でもなく色も合っていないこのカードをわざわざ採用しているのは、「速攻で高い打点を持ち除去耐性もあるクリーチャーがいれば……」と思う場面が実際にあったからだろう。白単にその答えがなければ、他の色から足せばいい。幸いハゾレトはシングルシンボルで足しやすいカードである。手札が1枚以下でなければ攻撃できないという能力も、白単アグロであればデメリットになることはないだろう。手札を使い切ったところでクリーチャーを捌き切られて、さあここからと対戦相手が反撃してくるその前にハゾレトがとどめの一撃を叩き込む。
土地の枚数を削って1~2マナのクリーチャーを大量に詰め込み攻め手を絶やさないようにしつつ、《白蘭の騎士》できちんと軍司令やハゾレトを唱えるためのマナも確保する抜け目のない構築が施されている。
非クリーチャー呪文も最小限で、除去の《石の宣告》と除去避け兼攻撃を無理やりねじ込むプロテクション付与呪文《精霊への挑戦》のみとわかりやすい。白単をやり込んだ末にたどり着いた形なのだろう。
どちらのデッキも海外のマジックフェスト内で開催されたプレイヤーズツアー予選で上位入賞したもので、その強さは折り紙付き。おそらくは名古屋でも白単に赤なり何かを足したアグレッシブなデッキを持ち込むプレイヤーが少なからずやってくることだろう。
サイドボードを見てもわかる通り、赤を足すと《丸焼き》などのカードが取れて、単色の時よりも同型などに対する耐性がアップしている。
さあ、単色デッキに色をタッチして新たな可能性に挑んでみよう!
RANKING ランキング
NEWEST 最新の読み物
-
2024.12.19コラム
スクウェア・エニックスで「マジック体験会」を開催!?『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』に向けたインタビューも|企画記事
-
2024.12.18戦略記事
ラクドス・サクリファイス:クリーチャーともう一つの生け贄要員(スタンダード)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.12.18広報室
2024年12月18日号|週刊マジックニュース
-
2024.12.17戦略記事
魂剥ぎ参戦!トレンドは新生化との組み合わせ(パイオニア)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
-
2024.12.17お知らせ
2024年12月16日 禁止制限告知|お知らせ
-
2024.12.16戦略記事
ジャンド独創力:プランは複数、独創力のみにあらず(パイオニア)|岩SHOWの「デイリー・デッキ」
CATEGORY 読み物カテゴリー
戦略記事
コラム
読み物
BACK NUMBER 連載終了
- Beyond the Basics -上級者への道-
- Latest Developments -デベロップ最先端-
- ReConstructed -デッキ再構築-
- Daily Deck -今日のデッキ-
- Savor the Flavor
- 射場本正巳の「ブロールのススメ」
- 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
- 浅原晃の「プレミアイベント三大チェックポイント!」
- ガフ提督の「ためになる」今日の1枚
- 射場本正巳の「統率者(2017年版)のススメ」
- かねこの!プロツアー食べ歩き!
- ロン・フォスターの統率者日記
- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
- マアヤのマジックほのぼの日記
- 金子と塚本の「勝てる!マジック」
- 射場本正巳の「統率者(2015年版)のススメ」
- 週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
- なかしゅー世界一周
- 中村修平の「デイリー・デッキ」
- 射場本正巳の「統率者(2014年版)のススメ」
- 中村修平の「ドラフトの定石!」
- 浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
- 鍛冶友浩の「プロツアー観戦ガイド」
- ウィザーズプレイネットワーク通信
- Formal Magic Quiz
- 週刊デッキ構築劇場
- 木曜マジック・バラエティ
- 鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」
- 鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
- 渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
- 「明日から使える!」渡辺リミテッド・コンボ術
- 高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
- 高橋優太の「このデッキを使え!」
- 黒田正城の「エターナルへの招待」
- 三田村リミテッド研究室
- 新セットめった切り!
- シングルカードストラテジー
- プレインズウォーカーレビュー
- メカニズムレビュー
- その他記事