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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
一日のやり直し(パイオニア)
もしも人知をはるかに超えた宇宙的なパワーを持った存在……神とかプレインズウォーカーとかそういう者があなたの前に現れて、「今日一日をやり直させてやろう」と提案してきたとしたらどうするかな?
失敗したことがあったらやり直したいという人は多いだろう、同じミスはするまいと。あるいはとても楽しくて幸せなイベントを再体験するってのも良いだろう。美味しいものをもう1回食べたりね。個人的にはこのコラムの原稿をまた書き直すのはたまったもんじゃないので、仕事の日にはお断りするかな。ただ、この手の超越者が願いをかなえるお話って、昔からなんか罠がつきものというか……うまくいった試しがないね。
マジックにもその名も《一日のやり直し》という、3マナで墓地と手札をライブラリーに混ぜて7枚ドローとかいう夢のような効果をもたらすソーサリーがある。
ただし7枚引くのは相手も同じで、しかもこのカードを唱えたのが自分のターンであればそのままターンが終わってしまう。ゴリッと増やした手札を先に使って恩恵を受けられるのは相手からという点が大きなデメリットであり、工夫なしに真面目に唱えても勝利に貢献する類のカードではなかった。
でも多元宇宙には、ずる賢いヤツらがあふれかえっている。最高の形で一日をやり直すため、悪知恵を可能な限り絞り出した結果……なんとも傲慢なデッキが完成した。パイオニアにおいて《一日のやり直し》が火を噴くデッキを紹介だ。
4 《島》 4 《沼》 4 《湿った墓》 4 《水没した地下墓地》 4 《欺瞞の神殿》 3 《廃墟の地》 2 《ガイアー岬の療養所》 -土地(25)- 4 《概念泥棒》 2 《スカラベの神》 1 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(7)- |
4 《致命的な一押し》 3 《アズカンタの探索》 3 《思考消去》 2 《湖での水難》 4 《一日のやり直し》 4 《英雄の破滅》 2 《衰滅》 2 《時を越えた探索》 4 《覆いを割く者、ナーセット》 -呪文(28)- |
2 《強迫》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《漂流自我》 1 《鞭打つ触手》 1 《衰滅》 -サイドボード(10)- |
このデッキはご覧の通り、クリーチャーは最小限にとどめた形の青黒のコントロールだ。クリーチャー除去や手札破壊を中心に、相手のリソース(手札やパーマネントなどの勝つための資源)を奪っていくのが狙いである。
そこに《一日のやり直し》をアドバンテージ獲得源として採用している形になる。わざわざ相手のリソースを削ってから同じ7枚の手札にしてやるのは全くの無意味であるので、もちろん真面目には用いない。悪用する手段は2通りある。
このデッキが狙うのは「対戦相手にドローさせない」というやり直しへのアンサー。こっちだけ7枚引いて格差をつけてしまえば良いのだ。
まず1つ目の手段は、スタンダードでもお馴染みの《覆いを割く者、ナーセット》。
対戦相手は1ターンに1枚しかカードが引けなくなる。こっちが7枚、あっちは手札をリセットして1枚に。これだけの差が付けば勝負はついたようなものだ。
もう1つのドロー封じのための手段が《概念泥棒》。
こちらはより凶悪で、対戦相手は毎ターンの通常ドロー以外の手段でカードを引けず、代わりにこちらがそのドローをいただくというもの。これがいる状況で一日をやり直すと、相手の手札は空になってこちらは14枚ドローとかいうハチャメチャっぷり。ターン終わっちゃったしどれを残そうかなと7枚になるように手札を捨てる時の優越感ったらないだろう。
この泥棒、瞬速持ちなので相手のターン終了時に滑り込ませてから、こちらのターンでやり直しを叩きつけるというコンボが円滑に行えるのも魅力的、まさしくこれがしたくて作ったデッキなのだ。
ついでにこれらのカードと相性の良い《ガイアー岬の療養所》で毎ターン着実にやっていくというサブプランもある。こちらは2枚引いて1枚捨て、相手はただ1枚捨てるのみ。何なんだこの格差社会はと、嘆きながら投了していくことだろう。
やり直しで格差をつけてしまえば後はどうとでもなりそうだが、一応勝つための手段を解説。クリーチャー除去などで相手の盤面を掃除したら、《スカラベの神》でそれをこちらに仕えるゾンビとしていただいて盤面を圧倒的なものにして殴り勝つ。
墓地をライブラリーに戻す《一日のやり直し》との相性は決して良いとは言い切れないが、やり直しが使えない状況下でもこれ単体でゲームに勝てる性能なので採用されているのだろう。このように一点に集中した構成にせずに、臨機応変に対応できるフィニッシャーをデッキに潜ませておくことで、この手の無茶を狙うデッキの勝率はグンと上昇するものだ。
ところでこのリスト、Magic Onlineのリーグ戦を全勝したものなのだが……何の間違いなのか、サイドボードが10枚しか登録されていない。ちょっとしたハンデを背負った状態で勝ったというのだから、《一日のやり直し》がハマった時の強さはピカイチなのだろう。あと5枚、一体何を採用するべきか。各々で考えてみよう。
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